「報ステ」「WBS」が共存共栄…日テレとTBSが抱える危機感

この4月からテレビ界の耳目を集めているのが2つの人気報道番組を巡る視聴率バトル。放送時間を1時間早め「報道ステーション」(テレビ朝日系)に堂々と戦いを挑んだのがテレビ東京系の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」。当然、視聴率で圧倒的に勝るテレ朝サイドは余裕綽々かと思いきや、意外にも蜂の巣をつついたような騒ぎに陥ったという。
「テレ朝上層部は苦虫を噛み潰したような顔をして『割の悪いバトルだ。テレ東はこの際、どちらに転んでも損がないから。すでにメディアにバトルを取り上げられたこの段階でテレ東には大きなメリットがある』と語り、報道部の幹部を参集し檄を飛ばしたそうです」(キー局関係者)
テレ朝は局内から有望な若手を番組スタッフに編入し、取材チームを新たに創設したという。30年以上も続いた老舗看板番組をあえて未知の枠に編成したテレ東が気味悪く映ったようだ。
すでにバトル開始から1週間余りが経過したが、番組視聴率を比較してみると意外な結果が読み取れる。
「先週の月曜(3月29日)が報ステ12.2%、WBSが4.2%。火曜(3月30日)13.3%対4.4%。水曜(3月31日)12.5%対4.5%。木曜(4月1日)が13.3%対5%。金曜は11.6%対4%(金曜のみ23時スタート)。これを見てわかるのは、両番組とも視聴率減はない。ともに0・1~0・3ポイント増加しているんです。むしろ、2つの報道番組が22時台に編成されたことで“セットインユース(視聴者層)”が増えたんです」(制作会社関係者=数字はすべてビデオリサーチ調べ、関東地区)
つまり「報ステ」と「WBS」はライバルではなく、共存共栄という珍しいポジションを確立していたのだ。
「お互いの足りないところを補っている感じなんですよ。2つの本格的報道番組が22時にあることで視聴者がさらなる視聴者を呼んだことになった。今後もこの相乗効果は続くと思われます」(大手広告代理店関係者)
■23時台にニュースを見る人は激減か
もっともこの意外なコンビ誕生に、危機を感じているのが、「news zero」(日本テレビ系)と「news23」(TBS系)の2番組だという。
「22時台に濃い報道番組2つをザッピングした後で23時台にあえてニュース番組を視聴する人は今後、激減するでしょう。コロナ禍で在宅が増えれば、この傾向はさらに顕著になります」(前出の制作会社関係者)
皮肉にも、一番危機感を持ち、テレ東対応策を練らなければならなかったのは日テレとTBSだったというわけだ。
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