「シン・エヴァ劇場版」興収100億円も…何がすごいのか?

更新日:2021-04-18 17:03
投稿日:2021-04-18 17:00
コロナ禍で興収を伸ばし続けている(C)日刊ゲンダイ
コロナ禍で興収を伸ばし続けている(C)日刊ゲンダイ

「エヴァンゲリオン」シリーズの最新作のアニメ映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(3月8日公開)の興行収入が74億2624万3700円、観客動員数484万8041人を記録した。興行収入、観客動員数ともにシリーズ最高記録を更新中で、総監督の庵野秀明氏も「こういったニッチな(分野の)ロボットアニメで100億を目指せるというのはありがたいこと」と100億を目指す意欲を見せていた。

 『新劇場版』シリーズは、テレビシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』をもとに再構築され、アニメ版とは全く違う展開を見せる全4部作として打ち立てられた作品。今作は、2007年公開の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』、09年公開の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』、12年公開の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』に続く作品であり、完結作である。

■理解できないからこその「エヴァ」の魅力

 エヴァという作品の考察記事を、と言われたが正直「無理だ」と思った。エヴァという作品においては、考察しようがないという「考察」以外、正解がないような気がしていたからだ。だからこの記事は、いちファンの戯言だと思ってどうか読んで欲しい。「エヴァンゲリオン」という作品を一言で表した時、「愛を知る物語だ」という人もいれば「トラウマを抱えた子供が大人になる話だ」という人もいるだろう。「希望と絶望の話だ」、「全ての人への救済の物語だ」という人もいれば「親子の再生だ」という人もいるだろう。そしてそのどれもが正解であり、間違いでもあると思う。

 100人いれば、100通りの「エヴァンゲリオン」がある。それがこの「エヴァンゲリオン」という作品の魅力であり、恐ろしさだと感じる。理解したくて新作が公開されるたび足を運ぶが、理解しようとすることが”そもそもナンセンスである”といつもどこか打ちのめされた気持ちになる。モネやルノワールの印象派の絵のように、庵野秀明監督の頭の中の世界を、感じたままの世界を私たちはただ「見るだけでいい」。そういった言語化できない”ニュアンス”の力が、エヴァンゲリオンという作品には大きく働いていると感じるし、実際にそのような作品は後にも先にもエヴァだけだと思う。だからこそ「エヴァは単なるロボットアニメではない」という主張をはじめとする様々な論争や解釈を生み、それがエヴァの「神話性」にも繋がっているのではないだろうか?

■大人になることを受け入れる物語

 かくいう筆者も、エヴァンゲリオンという作品には思い入れがあり、特に「破」は何度も映画館に通って見た。主人公のシンジやアスカ、綾波レイなどのエヴァパイロットは皆14歳の子供で、親の愛を知らず、孤独を抱えている。エヴァという作品に初めて出会ったのは10代の時で、とにかく私は主人公のシンジが嫌いだった。親に愛情を与えてもらえないことを言い訳にして、すぐ逃げようとするその弱さに腹が立っていたのだ。

 しかし今回「シン・エヴァ」を見ても、筆者はシンジに腹が立つどころか、彼はすごいと素直に思った。ある種、彼に感じていた嫌悪感は「同族嫌悪」に近かったのかもしれない。完結編を見届ける間にシンジ同様、筆者も大人になってしまったらしい。エヴァンゲリオンが完結した今、筆者にとってエヴァは「子供が大人になることを受け入れる物語」として映った。そして「汎用人型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン」から降りるということは、そのメタファーのようにも感じられた。もう2度と乗れない電車をなんの覚悟もなく降りてしまうような瞬間が、我々の人生にも多くある。

 そんな瞬間を、エヴァンゲリオンという作品は26年という時間をかけて緻密に、そして丹精に描いていたように感じる。「シン・エヴァ」のエンドロールが終わって、劇場の電気が点いているのに放心状態でしばらく動けなかった。理解することはナンセンスだと思っているのに、どうしても理解したくなって私は近々、2度目の「シン・エヴァ」を見に行くだろう。全ての子供だった大人たちに、シンジたちの姿をぜひ、見届けて欲しい。

(SALLiA/歌手、音楽家、仏像オタク二スト、ライター)

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