テレ東・深夜ドラマ枠で再注目「秋元ブランド」の強さに終わりがないワケ

テレビ東京「ドラマプレミア23」枠が話題だ。4期連続で秋元康氏(64)の企画・原作で、昨年10月期の「じゃない方の彼女」を皮切りに、今年1月期は「ユーチューバーに娘はやらん!」、4月期は「吉祥寺ルーザーズ」。そして現在は、Sexy Zone佐藤勝利(25)主演の史上最恐ミステリー&ラブサスペンス「赤いナースコール」を放送中だ。
同作は無機質なナース役のベッキー(38)の怪演も話題。TikTokで公開する小ネタ動画が軒並み100万回再生を超えているお笑いコンビ「ラバーガール」の大水洋介(39)は、佐藤と同室の患者役で出演し、首なし殺人の犠牲者となり、鮮血まみれで“暗殺”された。
秋元氏原案の近年のヒット作といえば、2019年に2クール(4〜9月)で放送された「あなたの番です」(日本テレビ系)だろう。田中圭(36)と原田知世(54)のダブル主演で、最終回の平均視聴率は19・4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。映画化もされた“あな番”のおかげで、秋元氏がマルチプロデューサーだったことを知った若いアイドルファンも多い。
秋元氏といえば、ご存じの通りAKB48の生みの親。「神7」と呼ばれた前田敦子(31)や大島優子(33)ほか人気メンバーが揃っていた2009年以降は、ミリオンヒットを連発した。ところが、古参メンバーが卒業し、韓国発のガールスユニットやももいろクローバーZといった新規グループが台頭すると、緩やかに下降線。秋元氏が手がけた「AKBの公式ライバル」の乃木坂46が勢力を拡充し、日向坂46、櫻坂46ら“坂道グループ”が幅を利かせると、人気は逆転した。
AKBは現在、本田仁美(20)を中心とした本格的なダンス&ボーカルユニットとなったが、ホールクラスのコンサート会場でも満員にできない。乃木坂からは白石麻衣(29)や西野七瀬(29)が卒業しており、2020年のコロナ禍を境に離れたファンを取り戻せないでいる。
頭痛のタネは、坂道グループ以降の頭打ちだ。デジタル声優アイドルの「22/7」、演劇集団の「劇団4ドル50セント」、バンドスタイルの「ザ・コインロッカーズ」、テレビ朝日と手を組んだ「ラストアイドル」、テレビ東京との「青春高校3年C組」、吉本興業との「吉本坂46」、日本テレビとの男性声優ユニット「ハイスクールチルドレン」などはコロナで行く手を阻まれ、大半が活動を終了した。
稀代のヒットメーカーの勢いにもブレーキが、と思われた矢先に、“あな番”がヒット。昨秋からドラマの原案が再評価と、“秋元ブランド”の生命力の強さを感じずにいられない。それは「キャスティングと引き込み力が巧みだから」と分析するエンタメライターの伊藤雅奈子氏が、こう続ける。
「ベッキーや佐々木希、斉藤由貴のように、かつては芸能スキャンダルの渦中の人となったタレントを、演じ手として再生させたキャスティングが絶妙。高い予算をかけられないテレ東深夜ドラマ枠の中で、元となる企画案、次週にも視聴者を引っ張り込む物語ラストの畳み掛けが秀逸です。深夜枠という緩い規制も功を奏していますね」
昭和時代のおニャン子クラブにはじまり、平成、令和の3時代にわたってトップアイドルを生み続けてきたエンタメ界の奇才。秋元ブランドに終わりはないようだ。
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