愛と欲望の平成グラビア史 キーワードは“巨乳”と“癒やし”

更新日:2019-04-30 16:13
投稿日:2019-04-30 15:00
細川ふみえ(C)日刊ゲンダイ
細川ふみえ(C)日刊ゲンダイ

 平成は“グラビアアイドル”という名称が誕生し、水着グラビアが全盛を迎えた時代。「巨乳」「癒やし系」「着エロ」「モグラ美女」――多くのトレンドが生まれた愛と欲望の30年を振り返る。

「榊原郁恵や河合奈保子ら、昭和の時代にも胸の大きなアイドルはいましたが、決してそれをウリにはしていませんでした。しかしAVの影響などもあり、90年代の初めに“巨乳”という言葉が定着すると、それを前面に打ち出した野田義治社長率いる『イエローキャブ』の巨乳軍団の女の子たちが次々と人気になりました。これが平成のグラビアの方向性を決定づけたと思います」(グラビア雑誌編集者)

 平成の初めから半ばまで、イエローキャブはかとうれいこ、細川ふみえ、雛形あきこ、山田まりや、佐藤江梨子、小池栄子といった巨乳美女を次々と登場させ、シーンをリードし続けた。カメラマンの野村誠一氏は当時をこう述懐する。

「ほとんどの子の写真集を撮りましたよ。特に印象に残っているのは小池栄子ちゃんかな。もちろんグラマーな体つきや、りりしい目つきは印象的でしたが、その後たまたま見に行った『劇団☆新感線』のお芝居でとてもいい演技をしているコがいたんです。よく見たらそれが栄子ちゃんでびっくりしました。野田さんの戦略もあって、その後はみんな、女優やタレントとして成功していきましたよね」

 ◇  ◇  ◇

●1989(平成元)年
 バスト96センチのかとうれいこがクラリオンガールに選出される。
 岡本夏生や飯島直子がレースクイーンとして脚光を浴びる。

●1990(平成2)年
 細川ふみえが第9回「ミスマガジン」(講談社)グランプリを獲得。

●1991(平成3)年
 宮沢りえのヘアヌード写真集「SantaFe」発売。165万部の大ヒット。
「ギルガメッシュないと」(テレビ東京系)放送開始(~1998年)。細川ふみえが司会を務め、Tバック姿の飯島愛も人気に。

●1992(平成4)年
 「フジテレビビジュアルクイーン」がスタート。

●1993(平成5)年
 ヘアヌード写真集がブームになる一方で、いわゆる80年代の「アイドル」に代わり、「グラビアアイドル」という名称が定着する。
 
●1994(平成6)年
 雛形あきこがデビュー。「雛ポーズ」で大ブレーク。所属事務所である野田義治が率いる「イエローキャブ」の巨乳美女が脚光を浴び、“巨乳ブーム”が巻き起こる。
「トゥナイト2」(テレビ朝日系)放送開始(~2002年)。岡元あつこ、しいなまお、原田里香ら、多くのグラドルがリポーターを務めた人気番組だった。

●1995(平成7)年
 バスト95センチIカップの青木裕子がデビューし人気に。

●1996(平成8)年
 深夜番組「BiKiNi」(テレビ東京系)放送開始(~1999年)。山田まりやが司会を務め、嘉門洋子や安西ひろこらが出演。

 女優やタレント、歌手を目指し、まずは顔を売るため「グラビアアイドル」としてスタートする流れができたのもこの時代。多くの“巨乳グラドル”が話題となる一方で、飯島直子や本上まなみ、井川遥ら、どこか男性をほっとさせる雰囲気を持つ美女は“癒やし系”と呼ばれ人気を博した。アイドル評論家の北川昌弘氏はこう話す。

「“巨乳”と“癒やし”の魅力をあわせ持った象徴的な存在が、97(平成9)年デビューの優香でしょうね」

 優香の登場は、野村氏も印象に残っている。

「グアムでファースト写真集を撮りましたが、童顔とグラマーな体つきのギャップがすごかった。『すごいね! 顔が3つあるみたいだね』と言った記憶があります。撮影を始めてすぐに次の写真集がその場で決まったんです」

 ◇  ◇  ◇

●1997(平成9)年
 「週刊プレイボーイ」(集英社)誌上で芸名を募集したホリプロ初のグラビアアイドル・優香がデビュー。

●1998(平成10)年
 「日テレジェニック」スタート。

●1999(平成11)年
 井川遥、安めぐみ、乙葉らの“癒やし系”グラドルが人気に。

●2000(平成12)年
 「sabra」(小学館)創刊。
 小池栄子、佐藤江梨子、MEGUMIら「イエローキャブ巨乳軍団」が話題に。

●2001(平成13)年
 トリンプの下着キャンペーンガールを務めた“癒やし系”の吉岡美穂がブレーク。

 その後、グラビアシーンは“童顔巨乳”と“癒やし系”が入り乱れる戦国時代に突入。

「そのひとつの頂点が02(平成14)年デビューの井上和香だと思いますね。圧倒的な存在が登場したことでシーンは全盛期を迎えましたが、それ以降、多様化が進んだように感じます」(北川氏)

 “童顔巨乳”は、平成グラビアの人気ジャンルとして定着。作家の杉作J太郎氏もこう話す。

「僕が好きなのは磯山さやかさん、松本さゆきさん、篠崎愛さんの3人ですね。スレンダーな方も好きなんですが、グラビアとなると迫力のあるボディーの方が好きなんですよ。見ると明るい気持ちというか、トクした気持ちになれるんです(笑い)」

 杉作氏はこの頃、深夜番組「トゥナイト2」(テレビ朝日系)にも出演し、岡元あつこや安めぐみら、多くのグラドルと一緒に仕事をしていた。

「みなさん明るくて元気な方ばかりでしたよ。深夜番組がグラビアアイドルをメジャーにした功績も大きいと思います」

 ◇  ◇  ◇

●2002(平成14)年
 過激な「M字開脚」ポーズでインリン・オブ・ジョイトイが話題に。
 井上和香がデビュー。「ワカパイ」ブームが起こる。

●2003(平成15)年
 青木りん、花井美理らが「着エロ」と言われるギリギリの衣装で活躍。

●2004(平成16)年
 知性派グラドルとして売っていた真鍋かをりが「ブログの女王」と呼ばれブレーク。

●2005(平成17)年
 2001年のデビュー後、アラサーになってもグラビアを続けていたほしのあきが、「最高齢グラドル」として話題に。
 ジュニアアイドルとして活躍していた“童顔巨乳”の紗綾や篠崎愛が人気に。

●2006(平成18)年
 「sabra」が初めて付録でDVDを付ける。
 「週刊プレイボーイ」「ヤングジャンプ」(集英社)誌上で、グラビア界の黒船“リア・ディゾン”がブレーク。

●2007(平成19)年
 男性用かつらのCMに出演した“アッキーナ”こと南明奈がブレーク。

●2008(平成20)年
 深夜番組「おねがい!マスカット」(テレビ東京系)がスタート。

●2009(平成21)年
 集英社がアイドル発掘オーディション「グラビアJAPAN」をスタートさせるも、2年後の2011年に終了。

 しかし、平成が末期に差し掛かる10年代に入ると、グラドルたちは徐々に活気をなくしていくことになる……。

「AKB48を中心としたいわゆるグループアイドルたちが水着グラビアをやり始め、人気が出てくるんです。グラビアアイドルたちは主戦場である誌面を奪われていくことになります」(北川氏)

 さらに雑誌不況のアオリを食って休刊やページ減が相次ぎ、グラドルたちの活躍の場は加速度的に減っていってしまう。それは「グラドル冬の時代」とも言われた。前出の野村氏はこう話す。

「グラビアアイドルとかグループアイドルとか、セクシー女優とか、どんどん細分化していったのが平成のグラビアの特徴のひとつでしょうね。でも、本当は一緒なんですよ。ある女の子を初めて見てドキッとする、好きになる、一目惚れする。それは男性にとって根源的なものだし、その原点を大切にしないとね。出版社もすでに売れてる子ばかり使おうとするでしょう。僕はかつて“恋写”という言葉をつくったけれど、無名の新人でも、ひとりの女の子をレンズを通してちゃんと好きになって、育てるというか、丁寧に撮っていってあげることは、時代が変わった今でも、きっとできると思うんです」

 令和時代には、次のグラビアシーンを席巻する新たな美女が現れるだろうか――。

●2010(平成22)年
 AKB48が「第2回選抜総選挙」を開催、人気がピークに。少年漫画誌、青年漫画誌、男性向けエンタメ雑誌などのグラビアに次々と進出し誌面を席巻。グラビアアイドルは活躍の場を減らし、“グラドル冬の時代”と言われるようになる。
 「sabra」休刊。

●2012(平成24)年
 “日本一美しい32歳”壇蜜がブレーク。独特のキャラクターで文化人の仲間入り。

●2013(平成25)年
 「CanCam」(小学館)の専属モデルだった久松郁実が「三愛水着イメージガール」に選出され、男性誌のグラビアにも進出。「モデル+グラビア」で“モグラ美女”と言われる。

●2014(平成26)年
 「愛人キャラ」を前面に打ち出した橋本マナミがブレーク。

●2015(平成27)年
 スマホの普及に伴い雑誌不況が加速。

●2016(平成28)年
 馬場ふみか、泉里香らのモグラ美女が登場。

●2017(平成29)年
 一部で「VRグラビア」が発売されるも、ブレークには至らず。

●2018(平成30)年
 乃木坂46の白石麻衣のセカンド写真集「パスポート」(講談社)が、累計発行部数31.8万部を突破し、女性ソロ写真集としては今世紀歴代1位に。
 “童顔巨乳系グラドル”としては、天木じゅん、浅川梨奈、大原優乃らが活躍。

●2019(平成31~令和元)年
 人気コスプレーヤーのえなこがグラビア登場。

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