商業紙誌がスクープ写真をカネで買うのは本当に悪なのか

更新日:2019-07-23 17:33
投稿日:2019-07-23 17:30
緊急謝罪会見をする宮迫博之(左)と田村亮(C)日刊ゲンダイ
緊急謝罪会見をする宮迫博之(左)と田村亮(C)日刊ゲンダイ

【溝口敦の「斬り込み時評」】

 写真週刊誌「フライデー」が、このところ毎週のように吉本興業の芸人と半グレ、暴力団との癒着を報じ、テレビのワイドショーなどを騒がせている。

 先日、新聞社系ウェブ雑誌の記者から電話があり、「ああいう写真は売り込みとする説があり、編集部は有料で写真を買っているという噂がある。どう思うか」と問い合わせがあった。

 私は答えた。「私は写真週刊誌の仕事をほとんどしたことがなく、内実は知らない。推測で物を言うが、写真を編集部に売り込むにも交通費がかかり、どのような写真か説明しなければならない。だから編集部はお車代名義か何かの形で、いくらかは払っているんじゃないか。だが、出版不況の時代だ。その写真一枚で企画が立つような写真でも、せいぜい5万、10万円止まりだろう」

 すると記者は、「写真をお金で買うのは問題じゃないか」と言いだした。ずいぶんおかしなことを言うと思った。そのとき、その場にいなければ絶対撮れない写真がある。それを持ち込んだ人がいるなら、有料でも感謝して使わせていただく。当然のことだろう。

 ほとんどのメディアは商業紙誌である。金儲けのために出している。自分のところは金儲けで、その材料である写真はタダで入手しろというのか。要するに記者の狙いは、フライデーがもてはやされることへのイチャモンらしい。

「新聞でも識者に談話を求めれば、コメント料を払う。それと同じだろう。フライデーの写真と記事は芸人と反社の癒着を断ち切る上で社会に有益だ。カネを払っていると難癖をつけ、他社のスクープにケチをつける取材には協力できない」

 私はこう言って電話を切った。後で知ったことだが、フライデーは公式には写真提供者に対する謝礼は支払っていないと言っているようだ。写真提供者が反社の一員である場合、謝礼を払うと、彼らへの「利益提供」が疑われる可能性があるからだろう。

 しかし、私はそのような場合でも、写真を誌面に掲載、公表する社会的利益を考えれば、謝礼は払って可と考える。もうひとつ、これに関連して興味深いことを聞いた。

 というのは、写真誌が写真を掲載する。テレビ局はその話題を取り上げたい。そのとき、テレビ局は写真誌に写真の転載使用料を5万円程度支払うという。全国に取り上げたい放送局が20社あるなら、計100万円になる。NHKだけはなかなか払おうとしないようだが、この使用料がバカにならない数字になるというのだ。

 なるほど。自社で話題を発掘できず、活字メディアに頼っている電波メディアは大いに払うべきだろう。5万円は安すぎと思うが、払わないより数段マシである。

(溝口敦/ノンフィクション作家、ジャーナリスト)

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