吉本社長“グダグダ会見”は甘すぎる危機管理と準備不足がアダに

更新日:2019-07-27 11:28
投稿日:2019-07-27 11:23
大失敗だった吉本興業の岡本社長の会見(C)日刊ゲンダイ
大失敗だった吉本興業の岡本社長の会見(C)日刊ゲンダイ

城下尊之【芸能界仕事術】

 芸人の闇営業問題を通り越し、今や芸人6000人を抱える大手芸能プロ、吉本興業が、この先どうなってしまうのかという問題にまで発展している。闇営業にかかわっていた雨上がり決死隊・宮迫博之(49)とロンドンブーツ1号2号・田村亮(47)が謝罪会見の中で、早期会見を望んでいたのに会社に止められていたこと、その際、「辞めて会見したらいい。それなら全員クビにする」というパワハラと取られる発言があったと明かした。そのため、岡本昭彦社長(52)が記者会見せざるを得ない状況となってしまった。

 この会見、誰が見ても“大失敗”だった。何しろ、5時間半に及ぶ“長講”で、途中、10分程度の休憩を取ったのだが、その時から300人ほど集まっていたマスコミの2~3割がゾロゾロと引き揚げていった。トク落ちを警戒するマスコミの常道としては珍しい。それほどグズグズで内容が分かりにくく、同じことの繰り返しだった。これは、ハッキリ、吉本興業のイメージダウンとしか言いようがない。

 SNSが発達した今では、世論がマスコミ報道のみに誘導されるわけではないため、ここではあの会見での吉本の対応に限って私見を述べたい。

 吉本には社内弁護士がいて、会見までに1日半以上の余裕があった。当然、想定問答集で練習していたはずだ。ただ、これを事務所上層部と弁護士だけで行っていただろうことが失敗の原因だと考えられる。

 通常、大手芸能事務所なら、親しいリポーターや記者の一人や二人はいるものだ。その中で本当に味方してくれる記者を選び、想定問答の場に呼んで相談すべきだった。そうすれば、「その答えではマスコミは納得しない」と厳しく言ってもらえたはずだ。これを癒着とする意見もあるだろうが、エンタメ企業のリスク管理として、まっとうだと僕は考える。少なくとも、弁護士は法律のプロではあっても、危機管理広報のプロではない。

 岡本社長は「おまえら、テープ回してないやろな」「全員クビだ」といった一連の発言を、「冗談」「父親が息子に勘当という感覚だった」と苦しい言い訳をしていた。この一例でも事前準備をしていないことが分かる。

 もう時効だから言うが、故・松方弘樹さんが隠し子発覚で会見したことがある。パイプカットさせられたと言って話題になった会見だった。その時、僕は会見前の打ち合わせに呼ばれた。どんな質問が出るのか教えて欲しいというわけだ。僕は「一例を挙げれば、『養育にかかる金銭はどうしているのか?』と聞かれます」と答えた。松方さんは「毎月30万円だ」と説明したが、その時、事務所社長が「金額は言いたくないなぁ」と顔をしかめたこともあり、僕は「親子が生活に困らないくらいの金額を子が成人するまで責任を持って支払います」という言い方をアドバイスした。他にも尋ねられる質問のポイントを伝え、マスコミが納得できないまでも、理解できる回答を考えて欲しいとアドバイスした。

 一般企業も同じかもしれない。信用でき、会社の秘密の一部を漏らしてもいいぐらいの記者を掴み、相談できるのも危機管理対策のひとつではないか。もちろん、吉本の今回の会見は、岡本社長が不祥事にいかに真摯に向き合っているか、その姿勢を見せることが第一義だった。

(城下尊之/芸能ジャーナリスト)

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