「紀州のドン・ファン事件」裁判で須藤早貴被告に一審無罪 検察は控訴しても勝てないこれだけの理由
【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】
「もうちょっと死に方を考えてほしかったです。社長があのタイミングで死んだせいで、私は何年も人殺し扱いなので。クソッ」
“紀州のドン・ファン”といわれた野崎幸助が「急性覚醒剤中毒」で亡くなった件で、殺人と覚醒剤取締法違反容疑で逮捕・起訴された3番目の妻・須藤早貴被告(28)が、和歌山地裁で「元夫に言いたいことはあるか」と問われ、こう言い放ったと週刊文春(12月26日号)が報じている。
また、須藤は野崎と結婚する前にいくつかのAVに出ていたが、それが野崎に知られそうになったことも殺害の動機ではないかという検察側の質問に、こう反論したという。
「社長からAV出演を確認されたことはありませんでした。もし知られたとしても、社長自身が交際クラブなどに登録して、お金で女性を買っているんです。そういうところから紹介される女性って、私も含めて、みんな売春婦じゃないですか。だから、そんなの気にするかって話です」
■腹の据わり方が違う
これほどの“タンカ”を切れる腹の据わった被告に、自白も取れず物的証拠も示せなかった検察側が勝てるわけはなかった。12月12日、検察は「無期懲役」を求刑したが、裁判長は「無罪」を言い渡した。その上、野崎の死が覚醒剤の量を間違えた「事故死」の可能性もあると指摘したのである。
検察側には“屈辱的”な判決だった。検察側は控訴したが、新たな決定的証拠を示せなければ、有罪を勝ち取るのは難しいと、私は見ている。
1審無罪になった須藤だが、すぐ“シャバ”には出てこられない。野崎とは別の男から留学費用などと偽って現金約3000万円をだまし取った詐欺罪で、懲役3年6月の判決を受け確定しているからだ。刑期から未決勾留日数を差し引いても来年11月までは出られないといわれている。
だが、晴れて無罪を勝ち取れば、13億円ともいわれる野崎の遺産の半分を受け取ることができるそうだ。
須藤が生まれたのは北海道札幌市。高校時代までは地味で“陰キャ”だったそうだが、市内の専門学校に行きだしてから変身したという。キャバクラでアルバイトをし、ブランドものに身を包んでススキノを闊歩(かっぽ)していたそうだ。その後上京してからは、高級デートクラブに所属しデリヘルで働きながら、インスタに「セレブのような生活ぶり」をアップしていた。
野崎と初めて会った時「モデルをしている」という彼女に、野崎は「会いに来てくれてありがとう」と、帯封付きの100万円を渡したそうだ。だが、須藤が法廷で明かしたところによると、「野崎は既に性的機能が衰えていて勃起しなかった」(文春)という。
裁判員の前で閨房(ねや)の男女の行為が赤裸々に明かされたケースで思い出すのは、同じ北海道出身の木嶋佳苗である。彼女は根室中標津空港から車で40分の別海町というひなびた町で生まれた。
太り気味で美人とはいえないが、多くの男たちを引きつけカネを貢がせた。だが、そのうちの何人かが「不審死」していた。木嶋は逮捕され最高裁で死刑が確定するのだが、法廷で木嶋は、「男性たちには褒められました。具体的には、テクニックというよりは、本来持っている機能が、普通の女性より高いということで、褒めて下さる男性が多かったです」(北原みのり著「毒婦。」朝日新聞出版)と語った。
自分のアソコは“名器”だから男たちが放っておかなかったのだと堂々と宣言したのである。
私は2人のような“悪女”に出会ったことはなかったが、一度会ってみたかったな……。 (文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)
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