ロンブー淳が“吉本興業再生”を提言「今は劇薬が必要」

更新日:2019-08-14 16:14
投稿日:2019-08-12 17:00
田村淳(左)と原田曜平氏(C)日刊ゲンダイ
田村淳(左)と原田曜平氏(C)日刊ゲンダイ

原田曜平【令和のトップランナーに訊く】

ロンドンブーツ1号2号 田村 淳さん(前編)

 “笑いの総合商社”が揺れに揺れた1カ月だった。芸人の“闇営業”問題から騒動は飛び火して吉本興業の企業体質に批判が集中。ここぞとばかりに所属芸人から不満が噴出した。吉本は対応策として「経営アドバイザリー委員会」を設置。8日、同委員会から日本の芸能プロとしては初の専属エージェント契約の導入が発表された。これで100年を超える歴史を持つ老舗は変わるのか――。かねて会社に対してギャラの可視化を求めるなど積極的に発言してきたロンドンブーツ1号2号の田村淳さん(45)に吉本再生プランを“訊く”!

  ◇  ◇  ◇

原田 闇営業問題に端を発する吉本興業の一連の騒動ですが、淳さんは吉本に対してどういう思いを抱いていますか?

淳 岡本社長が会見をした後に、経営アドバイザリー委員会を設置するなど、企業統治のためにすべきことは今動いているのかなと。僕がずっと進言してきた「ギャラの可視化」も動いてくれているみたいだし。ただ、それだけでは、芸人、タレントにはまだ響いていない。待遇を手厚くしてほしいなどではなく、会社がどのように芸人・タレントに寄り添っていくか、気持ちの部分の話し合いがまだできていないと感じます。

原田 芸人・タレントにヒアリングをするそうですが所属が6000人もいるとなると、難しくないんですかね?

淳 これから吉本が芸人・タレントと対峙するときに大切なのは、今、不満を抱いている人たちから積極的に話を聞くこと。圧力をかけずに。大きな芸能事務所なので、「文句を言えば、干されるかも」「自分の意見を言えば、仕事を減らされるかも」などと危惧をして、言いたいことも言えずに我慢している芸人・タレントが多いんじゃないかと思います。

原田 岡本社長の会見を機に、ツイッターなど個人で意見を発信したり、給料明細を出したりする芸人さんも多かったですね。これまで言えなかった意見が噴出した印象です。

淳 世代によって考え方が全然違うことをしみじみ感じました。ベテランの先輩たちがいたからこそ発展して、今の吉本があるのは間違いない事実。ですから、そこに物申すつもりはまったくありません。100年企業って、100年続いてきたからすごいのではなく、100年続いてきたからこそ、いろいろなひずみもあるんだなと……。

原田 現在、日本は少子化のうえに人手不足。人手不足が深刻な企業は毎月、目安箱を設けて若手の不満を聴取し、それがそのまま経営陣に飛んでいくシステムをとっている会社もあります。淳さんは吉本が変わると思いますか?

■「ファミリー」という幻想

淳 正直、変わるかどうかはまだ実感できていません。ただ、このままだと改革は進まない気がします。「吉本はファミリーだ」と言う上層部は多いのですが、ファミリーだと思っていない芸人・タレントのほうが圧倒的に多いのが現実です。むしろ「ファミリーじゃなくてもいいから、会社としてちゃんとしてほしい」と思っている人たちがほとんど。例えば、仕事現場にマネジャーがいないケースも多いですが、僕は一人の人間を雇えるくらいの売り上げを稼げるようになったら、一人の芸人に対して、一人のマネジャーをつけるべきだと思っています。

原田 人口が減り、単身世帯が最多世帯になり、日本全体で「ファミリー」が減り、企業も欧米のような契約社会になりつつあるので、むしろそちらを望む若手が多くなっているんですよね。

淳 もちろん吉本社員も人数だけではなく人材不足の問題もある。会社のシステムと芸人の先輩後輩システムを、今後どうするかという過渡期に直面しているのかな。

原田 社員と芸人・タレントの関係、芸人同士の先輩後輩の関係と、両方難しい問題ですね。

■外部のフレッシュな人材を投入

淳 変わってほしいという人がほとんどだと僕は思うんですよね。新しいことをクリエーティブしていくべき会社なのに、根幹がすごく保守的だっていうのは、恥ずかしい話ですけどね。これまで芸人が面白おかしく会社の不平不満を言ってきたのも、そういうイジリ方しかできなかったんですよ。

原田 例えば、社外取締役や第三者のアドバイザーなど、外部のフレッシュな人材を投入するのも一つの方法ですよね。若い芸人さんも多いから若者目線を取り入れていくシステムをどうつくるかもポイントですね。

淳 こんなに古い体制でやってるのかってビックリすると思うんですよ。ひっくり返るんじゃないかな(笑い)。利害関係のない人が入ってくれて、ガンガン意見を言って、ダメなところをガンガン晒してくれたら、吉本は次の100年も見えてくる。今はそれだけの劇薬が必要なのかもしれません。 =後編につづく

▽たむら・あつし タレント。1973年、山口県下関市生まれ。94年、銀座7丁目劇場のオーディションに合格して吉本興業入社。相方は田村亮。テレビ出演は「ロンドンハーツ」(テレビ朝日)、「田村淳の訊きたい放題」(TOKYO MX)ほか多数。

(原田曜平/マーケティングアナリスト 構成/高田晶子)

エンタメ 新着一覧


FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM