夏ドラマ不作か? 櫻井翔の占拠シリーズ第3弾は「嘘だろ~」と言いたくなる
【桧山珠美 あれもこれも言わせて】
櫻井翔演じる主人公・武蔵三郎の「嘘だろ~」でおなじみ「占拠」シリーズの第3弾「放送局占拠」(日本テレビ系)がスタートした。23年「大病院占拠」、24年「新空港占拠」に続く舞台は「放送局」。
前2作に続き今回もツッコミどころ満載のトンデモドラマ。櫻井のもっさりアクションシーンも含め、ある意味、期待通りの仕上がりだ。そもそもセキュリティーが厳しい放送局を簡単に占拠できるものかっていう話だが、テレビ局を舞台にすればセットの費用を大幅削減できる。劇中に登場するのは「日本テレビ」ではなく「テレビ日本」となっているが、第1話では櫻井がキャスターの「news zero」のセットを使っていた。
お面をかぶった武装集団の正体が誰なのか、徐々にその素性が明らかになっていくというのも、シリーズの目玉になっており、今回も「妖(あやかし)」9人は誰かという考察合戦が繰り広げられているとかいないとか。いじましいほどSNSで話題になりたいのがありありの「話題性最重視ドラマ」で肝心の中身は……。場所を変えただけでやってることは同じ。「嘘だろ~」と言いたいのは視聴者の方では。
伝統枠に相葉雅紀は無理過ぎる
相葉雅紀がトリプル主演の1人「大追跡~警視庁SSBC強行犯係~」(テレビ朝日系)は伝統の刑事ドラマ枠。藤田まことの「はぐれ刑事純情派」や柴田恭兵「はみだし刑事情熱系」、水谷豊「相棒」、東山紀之「刑事7人」などシリーズ化されるものが多い。
その伝統の刑事枠に相葉とは。ファンには申し訳ないが、どう考えても無理がある。百歩譲って遺失物担当や町の気のいいおまわりさんならまだしも強行犯係には見えない。テレ朝もそれがわかっていて大森南朋、松下奈緒も加えたのではないかと想像する。
脇には佐藤浩市、遠藤憲一、光石研、伊藤淳史ら。「科捜研の女」に代わるような新シリーズをなんとか作りたいという必死さを感じる布陣だ。
■「朝山家」は既視感ありあり
テレ朝系列「こんばんは、朝山家です。」は中村アン&小澤征悦が夫婦を演じるホームドラマ。今年1月期にBSテレ東で放送していた「それでも俺は、妻としたい」と酷似した内容に既視感ありあり。どちらも足立紳の脚本。1クール空けただけで同じようなドラマをやるのはどうなのか? 息子役は同じ子役。局を超えたコラボってことか?
最後に、TBS系の「初恋DOGs」。ワンちゃん見たさに視聴しているが、財閥だの御曹司だのとなんだか荒唐無稽で見る気が失せた。TBSと韓国の制作会社による初の共同制作。前クールのテレ朝系「魔物」といい好みではない。
それにしても清原果耶のドラマはどうしてこうもどんよりするのか。太陽と青空と海がもっとも似合わない女優ではなかろうか。3番手、4番手で出演する深田恭子に隔世の感あり。
(桧山珠美/コラムニスト)
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