「芸歴=人生」子役のイメージをフリにしながら鈴木福が見据える30、40代の自分
【今週グサッときた名言珍言】
「『21歳です』って言うと、こうなります」
(鈴木福/TBS系「A-Studio+」11月21日放送)
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2011年のドラマ「マルモのおきて」(フジテレビ系)の大ヒットで国民的子役となった鈴木福(21)。いまだにその「福くん」のイメージが強いが、もう成人でお酒も飲める年齢。それを聞いて驚きの声をあげた観客を見て語った言葉を今週は取り上げたい。
鈴木福が驚異的なのは、1歳で出演した「いないいないばあっ!」(NHK・Eテレ)以降、毎年、途切れることなく何らかの番組に出続けていることだ。
3歳の頃、「やめてもいいよ」と言われたが、自分の意思で「続けたい」と言って続けてきた。中学の頃は、野球に熱中し、それに加えて学業と仕事の両立に苦しんだが、両親からの「やめてもいいと思うけど、今やめたらもったいなくない?」という言葉で精神的に楽になった。
「今となっては本当にその通りだと思うので、続けてきたことに価値があるなって思います」(LINEヤフー「Yahoo!ニュース特集」25年8月12日)
ちょうど「子役」と「俳優」の境目の中学の頃。「子役と思ったら子役でいいし、俳優と思っていただけたら俳優と呼んでもらえたら」という心持ちだったが、19年公開の映画「決算!忠臣蔵」(松竹)に出演した際、監督に「もう子役じゃないんだから」と言われ、俳優としての自覚が足りなかったことを実感(ローソンエンタテインメント「クランクイン!」21年7月18日)。それから「俳優」と呼ばれるようになりたい、ならなきゃいけないと思うようになった。
とはいえ、世間は「福くん」のイメージを求めてくる。「言いたいことも言えないというのはありますね。発言に気をつけなければならない。そういうもどかしさがあって。『好きに生きていいよ』と言うけど、じゃあホントに僕が好きなようにしたら、世間の人たちはどんな顔になるんだろう」(扶桑社「週刊SPA!」25年11月18日号)と感じていた。
「小学校のときも、中学校のときも、高校のときも、最初は物珍しい目で見られてましたし。そういう人生だと思って生きているので」(「Yahoo!ニュース特集」=前出)と、常に自分と取り巻く状況を俯瞰で見ることができるのは、物心つく前から芸能の世界に身を置いてきたからこそだろう。
「芸能生活20年とか言われますけど、僕にとってはただの人生なので」(同前)
そんなことをサラッと言える人物はなかなかいない。芸歴=人生なのだ。鈴木福は「福くん」というイメージをフリにしながら「30代、40代になったときに、自分が自分に納得できる場所にいられたらいい」(同前)と未来を見据えている。
(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)
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