5歳で“天才子役”と呼ばれた渡邉このみさんは現在19歳…芸能界を一時離れていた事情
【あの人は今こうしている】
渡邉このみさん
(俳優/19歳)
◇ ◇ ◇
2011年公開の映画「八日目の蝉」で井上真央さんの幼少時代を好演、5歳にして「日本アカデミー賞」新人俳優賞を史上最年少で受賞したのが渡邉このみさん。NHKの朝ドラでも子役として注目されたが、今どうしているのか。
“天才子役”と呼ばれた渡邉このみさんは、身長155センチの“かわいらしいお嬢さん”に成長していた。しばらく日本のテレビで見なくなったのは留学していたからだという。
「中学で1年半、マレーシアのインターナショナルスクールに単身留学しました。留学したときは芸能活動をやめて、そのまま海外で学校を出て、海外で生きていこうと思っていたんです。でも、コロナ禍でロックダウンになり帰国しました。帰国後は日本で中学、高校と通っていましたが、17歳のとき、知り合いのプロデューサーに声をかけられ、『本を綴る』という映画に出演したら、創造する楽しさや、初めて大人と認めてもらえた喜びが大きく、もう一度俳優をやってみようかな、と思いました」
この5月公開の映画「80年後のあなたへ」で主演を務め、「俳優を続ける決意をした」という。
「オーディションだったので、メインキャストに選ばれなかったら、俳優は諦めよう、と思っていました。それが主演に選ばれ、自分と相性の良さそうな事務所の代表と出会えたので、これは俳優をやれ、ということだな、と。マレーシアで英語が鍛えられたので、海外作品のオーディションにも挑戦しています」
12月10~12日には、「座・高円寺2」(東京・杉並)の「歓喜の歌~よろこびのうた~」の舞台に立つ。
「中学に上がるとき、芸能活動をやめずに続ける選択肢もあった。留学せず続けていれば、今、もっと大きな仕事がバンバン来ていたかもしれない。今も活躍している人を羨ましく思う自分もいるけれど、これが私の人生なんだ、私が幸せと感じながら活動できることを今は大切にしています」
■キャパオーバーになり中学生で単身マレーシアに留学
そもそも、なぜ芸能活動を一度やめたのか。
「学校と撮影現場の両立などがつらかったのもありましたが、何より忙しすぎて、キャパオーバーになってしまいました。周りの大人の期待にこたえようと、ずっと自分を抑えていたので……。マレーシアでは4人1部屋の寮生活を送り、シリア人とマレーシア人の親友とショッピングに行ったり、ジャズバンドを組みトロンボーンを吹いたりして楽しかった。マレーシアはイスラム教の国なので、学校では毎日19時にアザーン(礼拝の呼びかけ)が流れるので、それを広いグラウンドのベンチに座り、夕日を見ながら一人でボーッとして聞く時間も幸せでしたね」
しっかり休めたようだ。恋愛も楽しんだ?
「まあ、フツーに(笑)。今は付き合っている人はいません。自分が書いている脚本のキャラにガチ恋しています(笑)」
脚本、演出など製作にも手を広げているのだ。
「この3月、“kotoha”という翻訳できない世界中の言葉を集めてクリエイティブにエンタメにしよう、という大学生中心の団体に加わり、コアメンバーで活動しています。10月に短編映画『DOR』で、SUPER SAPIENSS主催の映画祭『CINEMA3.0』で優秀作品賞をいただいたんですよ」
映画製作とは費用がかかるだろう。横浜の老舗イタリアンレストランでアルバイトをしているそうだが、とても賄えまい。
「企業の援助があったので、なんとか。子役時代のギャラ? 母がずっと貯めてくれていて、運転免許を取得するときに使ったくらい。お金にはあまり興味がなくて……自分の中にあるパッションをより大事にしています」
真面目なんだなぁ。
■“育ての親”役の永作博美さんと昨年再会。「がんばったね」と言われて号泣
さて、渡邉さんはオーディションに合格し映画「八日目の蝉」(原作・角田光代)に出演。誘拐犯に育てられる少女を好演し、5歳にして日本アカデミー賞に輝いた。また問題作「明日、ママがいない」(日本テレビ系)やNHKの朝ドラ「まれ」(土屋太鳳主演)、「べっぴんさん」(芳根京子主演)でも子役として活躍したものだ。
「『八日目の蝉』で私の育ての親役だった永作博美さんから、去年、私のインスタグラムに突然連絡がきて、再会しました。会った瞬間、『がんばったね』と声をかけていただき涙がワーッと流れました。芸能界で唯一、個人的に親しくしている方です」
横浜市内で、母、弟、祖母の4人で暮らす。
(取材・文=中野裕子)
▽渡邉このみ(わたなべ・このみ)2006年7月25日大阪府生まれ。3歳でキッズモデルを始め、11年、映画「八日目の蝉」で俳優デビュー。14年、野島伸司脚本の「明日、ママがいない」(日本テレビ系)やNHK連続テレビ小説「まれ」「べっぴんさん」などでも子役として活躍したが、19年引退。24年に復帰。
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