北野大さん 短大学長をはじめ数々の要職につく多忙な日々

【あの人は今こうしている】
人気バラエティー番組「クイズダービー」の名解答者、情報番組「関口宏のサンデーモーニング」ほか、ワイドショーのコメンテーターとして注目を浴びた。北野武(ビートたけし)さんの兄、北野大(まさる)さんだ。だが、ここしばらくテレビで姿を見ない……。
◇ ◇ ◇
西武新宿線・航空公園駅から徒歩7分。創立70周年の懸垂幕が掲げられた秋草学園短大へ行くと、陽光が降り注ぐ学長室に案内された。ニコやかに迎えてくれたのは北野大さん、その人。同校の学長なのだ。
「2017年4月に就任しました。学校全体のマネジメントを任されていまして、会議や打ち合わせ、校内行事にも必ず参加してますから、出勤は週6日前後になります。これに加えて江戸川総合人生大学の学長、明治大校友会(同窓会=編集部注)会長もしており、とにかく忙しくてね。時間的な問題と、ちゃかされるのは立場上良くない、ってことでテレビ出演は控えているんです」
保育士や幼稚園教諭などを目指す学科が3学科、文系1学科の計4学科あり、学生数は約1000人。姉妹校に高校や専門学校、系列法人に保育園がある。
「自宅? 以前と変わらず都内足立区です。朝8時ごろに出て1時間50分ほどかけて電車通勤。これが運動不足になりがちな僕にはうってつけ。あえて階段を使い、1日1万歩を心がけてますね」
また、地域密着をうたい、学校ぐるみで地域活動に取り組んでいる。
「所沢市役所と締結した『官学連携に関する基本協定』の一環です。例えば、東京五輪・パラリンピックの入賞メダルの原材料を集める『都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト』。地元の方々のご協力もあり、携帯電話を約7000個収集しました。ほかには、毎水曜にオープンしている子育て支援ルーム『ぽっぽ』で、お母さんとお子さんをサポート。学生にとっても教室以外の現場で学ぶことは多いものです」
短大は少子化や4年制大学志向により、ピーク時は全国に598校あったが今や約330校。その影響は?
「確かにあるでしょう。ただ、確固とした目標を持たずに大学に入学し、途中で迷いが生じて退学に至る学生は少なくありません。それなら、短大で勉強しつつ将来設計を考えてもいいのでは? 新しい目標ができたら大学編入も可能です。短大は高校と大学のクッションでもあるので、需要はなくなりませんね」
■映画出演のオファーは「まったくないです」
さて、1942年5月29日に足立区に生まれた大さんは、4男1女の三男。5歳下の末っ子が武さんだ。明治大工学部を卒業後、72年に都立大(現・首都大学東京)大学院で博士号を取得。その後は分析化学の専門家として化学品検査協会(現・化学物質評価研究機構)などに勤務した。
テレビデビューは87年10月。「関口宏のサンデーモーニング」(TBS系)のゲストコメンテーターを手始めに、翌88年から「クイズダービー」(同)のレギュラー解答者に。「親ならぬ、弟の七光」(大さん)も追い風となり、学者タレントとして人気を集めた。その後も、「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)、「ひるおび!」(TBS系)といったニュースバラエティー番組のコメンテーターとして活躍。柔和な笑顔と温厚な口調が好評だった。
一方、94年に淑徳短大教授に就任したことを皮切りに、淑徳大、明治大で教壇に立ったほか経済協力開発機構と国連環境計画で専門委員、経済産業省と環境省の審議会委員などの公職を歴任。化学者としての評価も高い。
ところで、武さんから映画出演のオファーは?
「いやー。まったくないですね。まずセリフが覚えられない。もちろん演技なんて論外です。弟はちゃーんと見てますよ。アハハハ」
それにしても声や話し方、イントネーションは武さんソックリ。目をつむって聞くと勘違いしそうだ。
「よく言われます。骨格とか声帯が似てるんじゃないでしょうか。やはりDNAなんですね」
なお、同校では推薦入学の試験が始まっており、来月15日には今年最後のオープンキャンパスを予定している。
(取材・文=高鍬真之)
エンタメ 新着一覧