ホスト依存と買い物依存は根っこが同じ…女性たちが貢ぐなぜ

内藤みか 作家
更新日:2019-03-07 17:24
投稿日:2019-03-07 06:00
 ホストに貢いでしまう女性のことが、しばしば話題になります。その時なぜか、ホストは常に悪者扱い。「あんなに貢がせてヒドイ……」などと言われてしまうのです。けれど、当のホストに聞いてみると「俺は特に強制してないのに、向こうがどんどん払うようになった」という声がけっこう多いんです。これはいったいどういうことなのでしょうか!?

悪いのはダマすホスト?

ホストだけが悪いの?(写真:iStock)
ホストだけが悪いの? (写真:iStock)

 私はホストクラブに行くのが趣味です。なぜ趣味と書いてしまうかというと、あちこちのホストクラブを巡り、人間観察をする私のような遊びかたをする女は、どうやら少数派のようだから。ほとんどの女性がホストクラブにハマる理由は「好きなホストができたから」なのです。

「ホストを好きになるなんて、ダマされてる! あっちはお金が目当てで愛情なんかないのに!」と、そこで、多くの人が反応することでしょう。もちろんそういう悪徳ホストもいるとは思います。うまいこと言って惚れさせて、普通の女性をフーゾク嬢にさせ、骨の髄まで搾り取ろうとするのような、そんなヒドい男がひとりもいないとは言えません。けれど、私が見聞きする限り、貢ぎの実態は「ダマされているから」だけではなさそうなんです。

ホス狂いを自称する女性たち

 ホストにハマり、貢ぐ女性たち。自分のことを「ホス狂い」と自嘲気味にそう言う人もいます。彼女たちは、まさに身を削って日夜働いています。限界まで働き、その稼ぎのほとんどを持って、ホストクラブにやってくるのです。その理由は「指名ホストをナンバーワンにするため」というのももちろんありますが、それだけではここまで頑張れません。

 ホストクラブの中にはエース争いというものがあります。指名ホストがナンバーワンになるために争っているのと同様に、そのホストの客同士はエース(最も貢いだ女性のこと)争いをしているのです。ホストクラブの中では払ったお金こそが愛の証。なので「私が一番愛しているのよ!」と無理してしまうんです。でも、エース争いも理由にはなりません。

消費欲求というもの

ギリギリに追い詰められた時に“生きてる”って実感する・・・(写真:iStock)
ギリギリに追い詰められた時に“生きてる”って実感する・・・ (写真:iStock)

 ホストたちに聞くと「お客さんが自分からお金を使い始めた」というパターンが結構多いことに気づかされます。特にお願いしていないのに、みずから「使わせてほしい」と高いボトルを入れるようになるのだとか。やがてはカードを限度額まで使い、支払いに行き詰まるようになるのだとか。これは買い物依存とほとんど変わらない現象です。買い物依存もストレスでお金を使いまくり、やがては支払いに行き詰まるわけですから。

 買い物依存とホスト依存は、支払いがモノかホストかだけの違いで、どちらも消費に依存していることは変わりないと私は思っています。根っこにはお金を使ってしまいたい、という強い衝動がどちらにもあるのです。違うのは、買い物だと部屋に買ったモノが残りますが、ホストの場合、お酒になってしまうので何も残らないというところ。

ギリギリが生きている実感

 私はホストに膨大な額を支払い続けている彼女たちと話をすることもあります。そのなかのひとりが「必死に働いている時、生きているんだなって感じる」と、印象的なことを言っていました。以前、リストカットを経験した女性に話を聞いた時も「傷の痛みを感じた時、生きていると感じた」というようなことを言っていました。

 ギリギリに追い詰められた時、人はなにかアドレナリンのようなものを出すのかもしれません。支払い依存の人はそれが病みつきとなり、日々支払いに追われるというギリギリの暮らしを続けているのかもしれないのです。支払い依存気味の人にとってホストクラブはお金をいっぱい使うことができる貴重な場所なので、みずからせっせと使い始めるのでしょう。なのでホストに貢いでいる女性がいたとしても、それが100%ホストにダマされているわけではない、ということは、多くの人に知っていただきたいなと思っています。

内藤みか
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作家
著書80冊以上。大学時代に作家デビューし、一貫して年下男性との恋愛小説を書き綴る。ケータイ小説でも話題に。近年は電子媒体を中心に活動。著書に「あなたに抱かれたいだけなのに」など。イケメン評論家として、ホストや出張ホストなどにも詳しい。
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