後遺症ほぼ100%「尿意の喪失と尿閉」障害について考える

コクリコ 編集者
更新日:2019-10-22 10:30
投稿日:2019-08-27 06:00
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー2年生です(進級しました!)。がん告知はひとりで受けました。誰にも頼れず、心の内側にずっと不安を抱えながらがんと闘うのはとてもつらいこと。なぜ私が……と思う気持ちと向き合って、そして不確かな情報に惑わされないように、私の体験がお役に立てれば幸いです。

障害が一生涯残るケースもある

切実な問題(写真:iStock)
切実な問題 (写真:iStock)

【Note.17】

 T先生による手術の後遺症の説明は続きます。

 広汎子宮全摘出術を受けた人が抱える大きな後遺症、リンパ浮腫と排尿障害。リンパ浮腫については前回ご説明しましたが、一方の排尿障害は、手術の際に排尿機能を調節している神経を触る以上避けられず、程度の差はあるけれどもこちらもほぼ100%の人に後遺症として残るとのこと。具体的には、尿意の喪失と尿閉(自分で排尿ができなくなる)です。その場合、外出先などでもカテーテルを用いて自己導尿することになります。

「尿意は徐々に回復する人がほとんどだけど、一生戻らない人も中にはいます。できるだけ神経に触らないように手術するけど、術後は100%自分で排尿できないので、排尿トレーニングをしてもらいます。排尿トレーニングで成果が出せないと入院が長くなるから頑張ってね」とT先生。

 予想されている入院期間は3週間です。トレーニングを頑張らないともっと伸びてしまいます。

 ところで「尿意なんて別になくても困らないじゃん!」と思われるかもしれませんが、これってつまり知らぬ間に漏らしてしまうんですよ。膀胱に満タンに尿を溜めてしまって膀胱炎や腎盂炎になることもあります。困るんです。

クオリティ・オブ・ライフは二の次

 この2つの後遺症ですが、どちらも重篤な状態で残ってしまうとQOL(Quality of Life クオリティ・オブ・ライフ)が著しく下がってしまうもの。程度の差があれど、いずれもほぼ100%の人に残るのに、なぜ改善されないのだろう?

 そう考えると、がん治療におけるベストは「命がつながること」であり、QOLは二の次なんですよね。

 死なないんだからいいでしょう、と。

 がんが治せる時代になってきて、長く生きられるサバイバーたちが増えているので、きっとこの先は新たな術式が取り入れられたり、後遺症の治療法ができたり、改善されていくのではないかと願っています。

コクリコ
記事一覧
編集者
実用書の編集者(社畜)。アラフォー未婚のがんサバイバー2年生(進級しました!)。2018年、子宮頸がんにて広汎子宮全摘出術を受ける。現在ホルモン補充療法をしながら経過観察中。SNSをパトロールするのが趣味。“Twitter探偵”とも呼ばれる。でも幸せになりたい。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


夫婦別財布をやめたい! 断固拒否する夫を誘導する方法は?
 結婚後も夫婦別財布のままの家庭は少なくありません。夫婦別財布には、お金を自由に使える反面、貯金ができない、信頼できない...
昭和生まれの40女LINE、不適合にもほどがある?「おばさん構文」なのネ
 時代の流れは、移り変わりが激しいですよね。ファッションや食べ物、話し言葉だけでなく、現代ではLINEの送り方の流行りも...
我がスナック人気NO.1イケオジの回答 イライラMAX時に“凪”になるコツ
 まあまあの確率でお客さんのグチを書き連ねる私ですが、実はそれ以上にお客さんから人生の教訓を教えてもらっています。  ...
メンタル限界!子なし夫婦の帰省が憂鬱すぎる件、回避策は?
 子なし夫婦にとって、お正月や夏休みの長期休暇に実家に帰省するかどうかは悩みの種ですよね。なぜなら、子なし夫婦には実家に...
要警戒!「40代地雷女」の5大特徴 人の振り見て我が振り直せ
「地雷女」という言葉を耳にすると、地雷系ファッションをして歌〇伎町付近にたむろしているメンヘラな若い女性を思い浮かべるか...
一般家庭でも“お抱え占い師”がいる!占いを信じる台湾人、旅で試すなら?
 突然ですが、あなたは占い師のお告げって、信じてしまいますか?  2年ほど台湾に住んでいた筆者が、とてもびっくりし...
2024-03-14 06:00 ライフスタイル
「大きくなぁれ」ほわほわかわいい“たまたま”の成長を祈る
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
目からウロコ!白菜、大根、ブロッコリーも菜の花になるの?
 猫店長「さぶ」率いる愛すべき我がお花屋は、神奈川のカントリー風情たっぷりな立地にあります。  そんな土地柄なので、春...
「人はひとり」だからこそ「みんな」が楽しいんだろうね
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
シンママのお泊り出張事情 子どもの世話どうする問題に5つの選択肢
 夫がおらず、一人で働きながら子育てをするシンママ。でも、職種によっては、お泊まり出張が入ることもあります。そんな時、世...
初の顔出し告白!1日最高40万円稼ぐ 格闘技好きギャラ飲み女子の私生活
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...
カメラマンの執念の1枚! 完璧な見返りポーズの“たまたま”
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
上州の春、いいね。
 青空に染まり流れる利根川。  彼方には赤城山を望む。  まだまだ冷たい上州の春の空気の中、走る自転車はとて...
大谷翔平選手の出身地「姉体(あねたい)」の由来は?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
ほっこり癒し漫画/第69回「ブンブンブン イェ キバタン」
【連載第69回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 「しっぽ...
ハンカチ貸しただけで?いちいち細かいお礼LINEが面倒くさい
 誰かにお礼をされて嫌な気持ちになる人は、あまりいないですよね。  でも、お礼を大切にする人の中には、些細なことで...