アイドルの上履きを補充し…バラエティーで花開いた松本明子の献身的な気遣いとサービス精神
【今週グサッときた名言珍言】
「上履きをチェックして、盗られてる子には、購買部に行って買って補充をする係を(してた)」
(松本明子/フジテレビ系「ぽかぽか」7月8日放送)
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アイドルとしてキャリアをスタートさせ、バラエティー番組を中心に長きにわたり活躍し続けている松本明子(59)。そんな彼女だが、デビュー当時は苦しんだ。デビュー曲はオリコン最高順位131位。伸び悩むさなか、「オールナイトフジ」(フジテレビ系)で放送禁止用語を口にしてしまう、いわゆる“四文字事件”で仕事を失った。
通っていたのは堀越学園の芸能コース。授業を休むことの多いことが“売れている”証しだが、松本は“皆勤賞”。仕事ゼロで芸能コースはツラかった。同じクラスには早見優や堀ちえみがいたが、たまに学校に来ても、校内にファンがおり、上履きを盗まれてしまう。冷たい廊下を靴下で歩いているのをふびんに思い、松本がとった行動を明かした言葉を今週は取り上げたい。
誰にも頼まれることなく自主的にやっていたという。さらには「テスト範囲も全部ノートをコピーして」ファクスで送ってあげたりもしていた。
松本は15歳で上京し、東京・国立にある事務所の寮で暮らしていた。仕事がなく寮と学校を往復する毎日。寮にいても居場所がなかったため、駅のホームで時間を潰していたという。そんな彼女を“救った”のが、1年後輩の中山秀征だった。彼は「ABブラザーズ」としてデビュー後すぐブレーク。あっという間にスターになった。一方、松本は“四文字事件”を起こして以来、他の女性アイドルから「干され菌」がうつるなどと言われ、女風呂に入ることができなくなり、仕方なく男風呂に入っていた。「ヒデちゃんと背中洗い合った」(テレビ朝日系「路線バスで寄り道の旅 2022年新春スペシャル」22年1月2日)こともあったという。
中山はそんな彼女にバラエティー番組で活躍できる素地を見たのだろう。あるとき、「ネエさん、よかったら、俺もいるし、バラエティー班に来ませんか?」(Yahoo!ニュースオリジナル「THE PAGE」15年6月7日)と声をかけてくれた。当時、2人が所属する渡辺プロは、バラエティー班、ドラマ班、歌手班に分かれていたのだ。そこから、会議室で発声、コントやトークの練習を中山やホンジャマカらと行うようになった。
元来、「周りから変な子と思われたい」「笑われたい」(テレビ東京系「あちこちオードリー」22年9月28日)という願望があった上、自主的に「補充係」をやるような献身的な気遣いとサービス精神旺盛な彼女が、バラエティーで花開くのは必然だったに違いない。
(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)
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