綾瀬はるか&池田エライザ…NHKは美女の魅力を引き出すのがうまい!
この夏は2人の美女がステキだ。ともにNHKの「ひとりでしにたい」(土曜夜10時)の綾瀬はるかと、「舟を編む~私、辞書つくります」(火曜夜10時)の池田エライザ。
綾瀬演じる山口鳴海は39歳、独身、子なしの美術館学芸員で、タワマンで愛猫と暮らしている。気ままな1人暮らしを満喫していたのに、憧れていたおしゃれで生き方もかっこいい伯母さんが孤独死して、湯船の中で“スープ状態”で発見される。「このままでは私も二の舞い! ひとりでしにたくな~い」と焦って始めた婚活は轟沈。さらに、年下の同僚男子から「結婚で老後対策って昭和の発想」とズバリ突かれて気づく。「よりよく生きた結果がよりよい死」だと。そして、「ひとりでよりよく死ぬ」ために「よりよく生きよう」と、今度はアラフォーで終活を始める。そこで起こるドタバタ……。
「綾瀬は身体能力が高く、アクションやしぐさにスピード感がありますが、このドラマでもラップ、ズッコケ、妖怪に追いかけられと体を張った“怪演”は見どころです。また、驚いたり悲しんだりの大げさな変顔も、美人だから映える。まさに綾瀬のためのコメディーですね」(テレビドラマ評論家)
“本物”を並べて、実力の違いを見せつけたNHK
一方、「舟を編む」は昨年春にBSで放送されて内外で高い評価を受け、短縮版になって地上波初放送。コメディーではないが、「七色の笑顔を持つ」と共演者も魅了される池田の豊かな表情が素晴らしい。日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」(TBS系)で演じた悲しい歌手とは真反対の、明るいキャラをコケティッシュに演じてうまい。軽妙なやりとりの間が絶妙なのである。
物語は人気ファッション誌から地味な辞書編集部に異動となった出版社勤務の岸辺みどり(池田)が、言葉一つ一つの意味や用例を集めていく語釈の魅力にはまり、辞書は言葉の海を渡る舟だと知って、辞書づくりに夢中になっていくお仕事ドラマだ。
「NHKが好感度の高い女優のドラマを並べたのは偶然ではありません。倍速視聴が当たり前になって、役者の微妙な演技やせりふの妙を味わうのではなく、アイドル系を起用して、ストーリーばかりを追うドラマが増えています。おかげで、本当のドラマファンのドラマ離れが広がってしまった。そこでNHKは、テレビドラマとはこういうものだという“本物”を並べて、実力の違いを見せつけたわけです」(テレビ情報誌編集デスク)
猛暑日が続く夏に、2人の美女は涼やかでありがたい。
(コラムニスト・海原かみな)
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