掛布雅之さんの一言「やっぱり野球が好きだったんでしょうね」には半端ない重み
【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#268
掛布雅之さん
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プロ野球選手としては決して大きくない体で、ヒットを打ちまくり、後にはホームランも量産され、スターへの階段を駆け上がっていく雄姿に何度となく励まされました。私事ですが1975年、高2の夏休みから7年にわたり入院・療養生活を送っていた時代があり、当時、心の支えが掛布さんの活躍でした。
それから10年が経ち、月亭八方さんの番組のゲストで出演され、仕事でご一緒できる機会に恵まれました。ヒットメーカーだった掛布さんが突然ホームラン打者に転身された理由を聞くと「トレードで田淵(幸一)さんがいなくなったので、自分にホームランを求められる、打たなきゃいけないと思って。ホームランはある角度にバットの芯を当てないとボールが上がらないから、オフシーズンにスポーツメーカーの方にスポンジボールを作ってもらって、家でほとんど無休でバットに当てる角度の練習をしてましたね」と秘密が明かされ、才能だけでは片付けられない、たゆまぬ努力があったことを知り驚きました。
ケガについても「ひどい時は膝が痛くて家の階段を這って上がってましたね。でも痛み止めの注射を何本か打ってもらって、テーピングでガチガチに固めて、“元気だよ”って笑って、心では痛みで泣いてました。プロですから弱みを見せちゃだめですからね。そういう選手は多かったですよ」と壮絶なプロの世界の一コマを語ってくださいました。そこまで体を酷使し、続けてきた理由に、「やっぱり(野球が)好きだったんでしょうね」の一言の重さは半端ないものでした。
ドラフト6位で、ご本人いわく、テスト生として“拾ってもらった選手”が誰よりも練習をして、出場機会が訪れるたびに誰もが認めざるをえない結果を残し、自らの力で掴み取った「ミスタータイガース」の称号。その根底には野球が好きで好きでたまらないからこその向上心と人の何倍もの努力。NSCの生徒たちにも掛布さんのように漫才をコントをお笑いを心底「好き」になってもらいたいと思います。
掛布さんの解説では「○○選手は~。××君は~」と呼び捨てにしないことも野球に全身全霊をかけている後輩選手へのリスペクトが表れているのではないでしょうか。現在もYouTubeなどで発信を続けてらっしゃいますが、そこには野球への愛情とリスペクトが込められています。
まだまだ後進のため、野球界のために発信を続けていただきたいと思います。
(本多正識/漫才作家)
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