欅共和国2019 平手“生中継前ハプニング”を救った欅坂46の絆

こじらぶ ライター
更新日:2020-07-05 06:00
投稿日:2020-07-05 06:00

「あれ、てちがいない」ざわつく観客席に…

19年3月卒業発表後、同年4月と5月のグループ3周年記念ライブには出演したが卒業間近の欅共和国2019は欠席した長濱/(C)日刊ゲンダイ
19年3月卒業発表後、同年4月と5月のグループ3周年記念ライブには出演したが卒業間近の欅共和国2019は欠席した長濱 /(C)日刊ゲンダイ

 2日目、VTR演出明けの17曲目「キミガイナイ」を境に平手がステージに現れなくなった(初日も同曲で平手の表情が曇り、うつむき、苦悶している姿を見ていた観客がいる)。

 観客席では「あれ、てち(=平手の愛称)いなくない?」とのざわつきが伝播したが、他メンバーが代理で急遽平手のポジションを埋めるでもなく、土砂降りの雨の中、平手抜きでライブは進行していった。センターがぽっかり空いていることをほぼすべての観客が気付いたであろう、19曲目の「風に吹かれても」。

 最も明るくライブを盛り上げるこの曲で、ステージ上のメンバー全員が平手不在の動揺を決して見せることなく、またファンを不安にさせないために、全力で会場を盛り上げようと土砂降りの雨の中、笑顔全開でパフォーマンスしていた。観客もそれに応えるように大きなコールを返し、会場の一体感が増していた。この光景はとても胸を打たれるものだった。

 ラスト20曲目「サイレントマジョリティー」でライブ冒頭の乗組員の衣装に戻ったメンバーのもとに船長ルックの平手が復帰。何事もなかったように力強いパフォーマンスを見せた。

平手不在で音楽番組の生中継準備がスタート

 この2日目のみライブ後、「THE MUSIC DAY」(日本テレビ系)の生中継が予定されていたが、開始前、またしても平手は現れなかった。待機時間中、日本テレビのアナウンサーが会場を盛り上げたり、ファンサービスで観客に笑顔で手を振るメンバーもいる中、かなり遅れて平手は登場した。

 平手は端にいたが、周りのメンバーに促され、MCが行われる立ち位置、受け答えをするキャプテン菅井友香(24)の隣である中央へ移動するよう促される。

 そこでその中央付近にいた原田を見た瞬間に、平手の何かが決壊したのか、観客に背を向けて、周りのメンバーに何か助けを求めるように訴えかけた。「どうしよう、もう無理!」といった感じに地団駄を踏みながら欅坂46一期生の末っ子全開になっていた。

 そんな平手を菅井、原田や後列の渡邉理佐(21)、渡辺梨加(25)ら平手付近にいた一期生お姉さんメンバー全員が一斉に背中をさすったり、「大丈夫だよー」と諭すように笑顔でよしよししながら落ち着かせようとしていた。

平手が「キミガイナイ」で見せた苦悶の表情

菅井(左端)や渡邉(右端)ら平手周りにいたお姉さんメンバーが一斉に寄り添い励ました/(C)日刊ゲンダイ
菅井(左端)や渡邉(右端)ら平手周りにいたお姉さんメンバーが一斉に寄り添い励ました /(C)日刊ゲンダイ

 平手がそのような状況に追い詰められた理由は、もちろん本人にしか分からない。腰部のケガなどあり、思うようなパフォーマンスができない中でTV生中継が来たという重圧からだったかもしれない。

 ただ、初日と2日目に共通していることは「キミガイナイ」からうつむき苦悶の表情を見せたり、ステージに登場できなくなったりと様子が変わったことだ。同曲では大切な“君”を失い、孤独にさいなまれた“僕”の「イマ コノセカイニ ナゼ キミガイナイ?」という悲痛な叫びが歌われている。

 メンバー想いの平手はかつて、同じく親友のように仲の良かったメンバー米谷奈々未(20、18年12月卒業)が卒業予定であることを知ったと思われる翌日(18年9月22日)の「イナズマロック フェス2018」のステージでも終始、生気がなくうつむき悲しそうな表情だったと、観客からいくつもTwitter上で報告があった。

菅井友香と原田葵と手を繋いで待機した平手

 この「欅共和国2019」でも、初めて、欅坂46のライブに盟友・長濱がいないという状況に胸を痛めていた可能性もある。またライブの2週間ほど前には欅坂46内第2のグループだったけやき坂46(現・日向坂46)で大親友だった柿崎芽実(18、19年8月卒業)の卒業も発表されたばかりだった。

 平手が最初に原田を見て何かが決壊したように感情を出したことについて、思いを巡らせてみる。ライブ前年には米谷だけでなく今泉佑唯や志田愛佳(両者共に21、18年11月卒業)という仲の良かったメンバーが体調不良で休業に入ったまま卒業することが続いたり、長濱、柿崎の相次ぐ卒業発表でショックを受けた中、原田だけが休業から欅坂46の状況を分かった上で戻ってきてくれたメンバーだったから感極まったのではないだろうか。

 生中継が始まるまで、両隣の菅井と原田と手を繋いで待機した平手。そんな平手の手を握りしめていた原田自身、後のインタビューで「メンバーが卒業していったことを1番悲しんでいたのは、てちだと思いました」(「blt graph.vol.46」19年8月発売)と語っていた。

 お姉さんメンバーの支えでなんとか立ち直った平手は、生中継が始まると本番のスイッチが入り2曲のメドレーを、欅坂46の船長でありセンターとして堂々と務め上げた。

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