謎が謎を呼ぶ唐突なカミングアウト
全10話の中で、中川の店には純、響子、アリサがたびたび訪れ、3人それぞれの恋の進捗状況を語ってきたが、彼女たちにストレートな物言いでアドバイスしてきた中川が「アセクシャル」もしくは純に想いを寄せる「レズビアン」かもしれない、といった描写はほぼ無かった。
それどころか中川は、アラサーで男性経験が無く悩んでいた純に、「さっさとやっちまえ」「相手なんて誰だっていい」などと強い言葉で吐き捨てていた。しかし、大津に打ち明けるシーンでは、
「その子(純)も『恋なんてしたくない』ってずっと言ってたから半分同士みたいな気持ちで安心して見ていたのに」
「ある男に出会ってからあっという間に恋の渦に巻き込まれていった」
と切ない表情で回顧していた。
制作陣はアセクとアロマを混合?
この最終回残り数分での唐突なカミングアウトにTwitter上では、
「最後の最後にアセクとかビアンとか雑に扱われたっぽくてマジで観てなくて良かった……同性婚訴訟で大荒れのこの日に最悪塗り重ねられたオタクがいると思うとマジでかわいそう」
「恋マジ、最後にアセクぶっこむの絶対ちがうし、どちらかと言うとアロマでは??」
「アセクをエンタメとして消費するなよ 頼むから。しかも、それはアロマ!!!!!(大声!!)最後にちょこっと入れただけでマイノリティーにも理解あります感出されるの本当にな」
といったように、性的マイノリティという繊細な問題をサラッと雑に扱ったことや、「アセクシャル(他人に性的欲求を感じない)」と「アロマンティック(他人に恋愛感情を感じない)」を混同しているのではないかとの批判の声が相次いだ。
物議を醸し続けた「松村北斗の無駄遣い」
ドラマ全体として、ストーリーも視聴率も残念な結果に終わってしまったため、人気急上昇中の「松村北斗の無駄遣い」との指摘も相次いだ。
松村は今年4月まで放送されていたNHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」で、ヒロイン安子(上白石萌音、24)の夫・雉真稔役を演じた。稔は明朗快活で誠実な日本男児で、「稔さんフィーバー」を巻き起こしていた。
稔で松村を知った層からは、「恋マジ」開始当初、フレンチビストロでホスト対応するギャルソンという“チャラい”柊磨に「ガッカリ」との評が多かった。
また稔を演じる前からの松村ファンからも、「恋マジ」というぶっとびドラマに巻き込まれ可哀そうだとの声もあった。
もっとも、松村の俳優としての未来を考えれば、誠実な稔と、クールでミステリアスなのに色気ダダ漏れの柊磨を演じ分ける振り幅は、今後大きなストロングポイントになるだろう。
SixTONES「わたし」の奮闘が示したもの
「恋マジ」挿入歌であるSixTONESの「わたし」では、松村の美しく艶っぽい高音が印象的で、オリコン週間シングルランキングでは初週約47万枚を売り上げた。
前作の初週から約7万枚セールスを伸ばしたことからも、松村の「恋マジ」での奮闘がグループにも寄与したといえるのではないか。
「恋マジ」を視聴した層には松村の魅力は十分届いただろう。このドラマが各所方面に物議を醸し、ツッコまれ放題だったのは決して松村のせいではないことは、見た人には必ず伝わっているはずだ。
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