竹内まりや「マンハッタン・キス」に涙するアラサー不倫OLの夏 #1

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2023-08-25 16:13
投稿日:2023-08-18 06:00

2日間でもいい。彼を独り占めできるなんて

ずっと一緒にいられる(写真:iStock)
ずっと一緒にいられる (写真:iStock)

 2人で日程を決めたのち、彼は沖縄本島の中央部にあるリゾートホテルを予約してくれたんです。東シナ海をのぞむホテルは全室オーシャンビューで、サンセットも美しいと評判。近くにはダイビングやシュノーケリングで行く人気の観光スポット『青の洞窟』もあり、アクティビティも充実しています。

 彼との旅行に心躍らせながら、水着やリゾートドレスを買い、ランジェリーもネットで検索して……。とにかく、幸せいっぱいでしたね。

 たとえ2日間だけでも、情事のあとに彼がそっと服を着て帰っていくのを、寝たふりでやり過ごすことはないと思うと心が熱くなって……」

まさかのドタキャン

30万円もの現金が(写真:iStock)
30万円もの現金が (写真:iStock)

 まさに幸福の絶頂にいたミクさんだったが、それはあっけなく裏切られた。

――悪い。急な出張が入ったんだ。フライトチケットとホテル、レンタカーの予約はしているから友達を誘って楽しんでおいで。

 手渡された封筒には30万円もの現金が入っていた。淡々と言い放つ部長に、ミクさんは言葉を失った。すでに彼とは半年以上の付き合いがあった。

(もしかして、私に飽きたの……?)

 ミクさんの心は掻き乱された。だが、そう思いたくない自分もいる。

(いえ、彼に限ってそんなこと……本当に大事な出張が入っただけよ)

 彼なら埋め合わせをしてくれるはずと思う自分もいる。

 こうなったら、ひとりで沖縄に行こう。ミクさんは手にした封筒をギュッと握りしめた。

 次回に続く。

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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