虎に翼の脚本は朝ドラ特有の“中だるみ”なし!塚地出演「あさイチ」との連携プレイにも救われた

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-09-02 17:30
投稿日:2024-09-02 17:30

第23週「始めは処女の如く、後は脱兎の如し?」#111

 昭和34年、優未(毎田暖乃)は高校1年生に。直明(三山凌輝)と玲美(菊池和澄)の間に子供が産まれ、猪爪家はますますにぎやかになる。片や星家では、寅子(伊藤沙莉)が百合(余貴美子)の様子がおかしいことに気付く。

 11月、「原爆裁判」は約4年間、27回にも及ぶ準備手続を終える。いよいよ始まる口頭弁論に向け、弁護士の雲野(塚地武雅)は気合いを入れ直すが…。


【こちらもどうぞ】なぜ塚地武雅、藤井隆はドラマ出演が続く? 不人気芸人との決定的な違い

直治役・今井悠貴のあっぱれな役作り

 ※※以下、ネタバレあります※※

 週が明けたら、もう3年経っていました。この疾走感が「寅に翼」の良いところ。朝ドラにありがちな“中だるみ”とは一切無縁。逆に、こちらが振り落とされないようについていかなくては、と必死なほどです。

 道男(和田庵)も一人前の寿司職人になり、約束の特上寿司の出前を自ら猪爪家に持参。優未は高1で、花江(森田望智)の長男・直人(青山凌大)は1浪の末、司法試験に合格して司法修習生に。次男・直治(今井悠貴)はダンスホールで働き、演奏の仕事も増えているそう。

 ところで、この直治ですが、初登場の時からずっと思っていたのですが、喋り方や声のトーン、ちょっとしたリアクションまでもが、父・直道(上川周平)にそっくりです。

 直道のお得意セリフ「俺にはわかる!」を継承しているだけでなく、何気ない仕草までもが直道に似ていて、おかげで彼を見ていると、直道が思い出されます。

 直道役の上川さんの演技を徹底的に研究し、取り入れたとしか思えません。だとしたら、今井悠貴、恐るべしです。まだ25歳ですが、デビューは3歳、芸歴22年は伊達じゃありません。

雲野先生がまさかの…

 話は戻って。星家では百合の物忘れが気になります。そしてもうひとり。雲野(塚地武雅)先生の突然死には驚きました。梅子(平岩紙)がもってきたおにぎりの差し入れに、「いつもありがとう。いや~、私はおにぎりが大好きなんだ」と言って、手にとったところで、パタンと倒れてしまいました。

 塚地の当たり役、「裸の大将」の山下清を彷彿させる台詞ににんまりしていたら、急降下。まさかそれが最期だなんて…。

 悲しんでいたら、「あさイチ」のゲストに塚地が登場。「天国からお届けしております」とご挨拶。しかも番組の終わりには、視聴者からのリクエストに応えて、食べられなかったおにぎりを食べて「お、おにぎりはおいしいんだな」と山下清ふうに。

 この日ばかりはNHKさんの連携プレイに救われました。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む
【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】 「やはり持つべきものは良き友だ」  テレビ界から“追放”された国分太一(51)...
2025-12-14 17:03 エンタメ
TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり
 日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」(TBS系)は14日が最終話。ロイヤルファミリー号は、有馬記念優勝という夢を果たすの...
2025-12-14 17:03 エンタメ
新会長を迎えるNHKにやってほしいこと 自局番組の宣伝やCM、再放送が多すぎる
【桧山珠美 あれもこれも言わせて】  NHKの新会長に井上樹彦氏が決定した。NHK出身。報道記者として入局、政治部長、...
2025-12-14 17:03 エンタメ
「ジャストミート!」「ファイヤー!」 福澤朗が求めた熱狂と明快さ
【今週グサッときた名言珍言】 「ちなみにジャストミートはギャグではないんです」  (福澤朗/テレビ東京系「伊集院光&佐...
2025-12-14 17:03 エンタメ
芦田愛菜"好感度トップレベル”でも女優で空振り続きのナゾ…映画「果てしなきスカーレット」が危険水域
 芦田愛菜(21)が主人公・スカーレットの声を務めた11月21日公開の映画「果てしなきスカーレット」が、事前予想を大きく...
2025-12-14 17:03 エンタメ
松任谷由実「納税額が最高時から8000万円もダウン」のナゾ…今年も「恋人がサンタクロース」の季節到来
 どうしてこれまで“無傷”で来られたのか。今年も松任谷由実(71)の「恋人がサンタクロース」が流れる季節がやって来た。松...
2025-12-14 17:03 エンタメ
草彅剛がもったいない!「終幕のロンド」鬱展開に感動の押し売り…それでも1つだけ“再確認できた”こと
 多くの作品が最終回に向けクライマックスを迎える2025年の秋ドラマ。その中でも、屈指の演技派・草彅剛さん(51)主演作...
こじらぶ 2025-12-14 11:45 エンタメ
【芸能クイズ】2025年「今年の漢字」は熊! クマは訓読み、では“音読み”では何と読む?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...
【エディントンへようこそ】コロナ騒動で現代アメリカの病理を描いた問題作
【孤独のキネマ】  エディントンへようこそ   ◇  ◇  ◇  原題は「EDDINGTON」。日本の関係者は「エ...
2025-12-13 17:03 エンタメ
由美かおるさんに「全編関西弁でいきません?」と提案すると頭を下げられて…
【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#270  由美かおるさん   ◇  ◇  ◇  元祖「美魔女」といえば由美かおる...
2025-12-13 17:03 エンタメ
手越祐也は小6で12時間の猛勉強の末に明大中野中学に合格 =大学は早大人間科学部eスクール
【続続・あの有名人の意外な学歴】#3  手越祐也   ◇  ◇  ◇ 「ヤンチャなイメージが先行している手越祐也(...
2025-12-13 17:03 エンタメ
国分太一の活動再開とTOKIO復活のための起死回生の一発
【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】  元TOKIOの国分太一(51)のコンプライアンス違反による日本テレビの番組降板...
2025-12-13 17:03 エンタメ
羽鳥慎一アナが「好きな男性アナランキング2025」首位陥落で3位に…1強時代からピークアウトの業界評
 オリコンニュースによる「好きな男性アナウンサーランキング2025」が12月12日発表され、1位になったTBSの南波雅俊...
2025-12-13 17:03 エンタメ
やす子の毒舌芸またもや炎上のナゼ…「だからデビューできない」執拗な“イジり”に猪狩蒼弥のファン激怒
 お笑い芸人やす子(27)の毒舌芸が、またもや物議を醸している。12月8日放送の「呼び出し先生タナカ」(フジテレビ系)で...
2025-12-13 17:03 エンタメ
横浜流星は自作の小説でプロデューサー業を宣言…佐藤健や岡田准一は? 俳優が続々と進出する“裏方業”の成否
 俳優の横浜流星(29)が12月11日に都内で行われた「2025 小学館DIMEトレンド大賞」に出席し、「20代も今年最...
2025-12-13 17:03 エンタメ
渡部建「多目的トイレ不倫」謝罪会見から5年でも続く「許してもらえないキャラ」…脱皮のタイミングは佐々木希が握る
 2025年も残すところあとわずか。そんな中、騒動から5年以上たっても“許してもらえない芸人”がいる。アンジャッシュの渡...
2025-12-13 17:03 エンタメ