劣化した妻にうんざり
「言っちゃ悪いですけど、絢音は自分だけが被害者ぶっているんですよ。俺だって被害者なのに。
出産してからの絢音は、独身時代よりずっとズボラになりました。見た目だって気を使わなくなったから、どんどんオバサン化しているし。
見た目だけじゃなくて態度とか喋り方とかも、30代とは思えないほどふてぶてしいんですよ。話しているだけでムカムカしてくるほど。俺をイラつかせるのも日常茶飯事ですよ。
それでも結婚をしたから仕方なく一緒にいますから、自分だけが被害者面するのは本当にやめてほしいなぁって思いますよ」
口調は冷静ながらも、妻への辛辣な評価を続けるマモルさん。妻に対する愛情を尋ねると「うーん、家族愛ならあるのかな? 少なくとも、女性としての魅力は感じません」ときっぱり。
浮気していないだけえらい
「それでも浮気していないんですよ、俺。褒めてくださいよ、浮気に逃げていないんだから。
不満があっても、我慢してますからね。本当ならもっと妻に厳しく言いたいけれど、そうするとモラハラだなんだって騒がれそうだから、それも我慢しています。
手を出したらDVになりますし。それも我慢です。
絢音は、自分が有利な立場で離婚したいんのだと思います。だから、俺をけしかけているんじゃないかな。
絶対に離婚しない
だから離婚は、絶対にしません。息子は妻と暮らしたがるだろうけど、絶対に避けたい。絶対に、離婚には応じまいと覚悟を決めています。
まぁ…息子がもう少し大きくなって、妻の味方をしてたらわからないですけどね。俺を悪者にするようになるかもしれないですし。
少なくとも、今の息子は可愛い盛り。今、息子と離れて暮らすっていう選択肢は、ありませんね。
絢音がどんなにギャーギャー離婚だと騒いでも、俺は屈しません。離婚をするとなれば、こっちにも考えがありますよ。あいつをギャフンと言わせないと気が済まないですね」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
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