悠仁さんの成人会見は秋篠宮家の数々の危機をいっぺんに救った
【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】
秋篠宮悠仁(ひさひと)さんの成年会見には秋篠宮家の命運がかかっていた。
長女・眞子さんの「皇室としては類例を見ない結婚」(秋篠宮)から始まった秋篠宮家バッシングは、母親・紀子さんの従業員たちに対する厳しい接し方が「ご難場」と揶揄され、邸の改修費用が、当初予算から大幅に増額され50億円にもなったのに、次女の佳子さんが別居生活というのはおかしいではないかと、SNS上では読むに堪えない悪口が飛び交った。
皇位継承順位は秋篠宮に次ぐ2位の長男・悠仁さんについても、文学賞に入賞した作文が“盗作”ではないかと報じられたこともあった。
筑波大学付属高校に入学してからも、「紀子さんは息子を東大に推薦入学させ、初の東大卒の天皇にする」という“物語”が週刊誌を中心に流布され、昨夏、東大入学反対の署名運動まで起こった。一部週刊誌では、悠仁さんの学力は東大に推薦入学できるほどのレベルではないという“臆測”報道もあった。
また、悠仁さんには「帝王教育」がなされていないのではないか。天皇の長女・愛子さんこそ天皇にふさわしいのではないかという国民の声も次第に大きくなっている。
愛子さん人気が沸騰したのは彼女が20歳の時の成年会見だった。何も見ずに堂々と記者たちの前で話し、母親の雅子さんが出産直後、「生まれてきてくれてありがとう」といった言葉を引用し、「私からは生んでくれてありがとう」と言いたいと話し、多くの国民の心を捉えたのである。
しかも、悠仁さんはまだ18歳。最近は一人で伊勢神宮などに参拝しているとはいえ、常に両親の陰に隠れている印象があり、彼の肉声はあまり伝わってこなかった。トンボなど昆虫への造詣は深いようだが、人間に対する興味は薄いような印象がある。生身の人間、それも皇室担当記者という猛者たちがズラリと並ぶテレビカメラの前で、親の助けも借りずに一人で会見をこなせるのだろうか。
この会見が不評に終われば、秋篠宮家のさらなる地盤沈下は避けられない。秋篠宮家にとってこの会見はまさに「我が家の興廃この一戦にあり」だったのだ。
私も自分の孫を心配するジジイの心境だった。
だが、テレビで悠仁さんを一目見て、そんなもろもろは杞憂に終わったと思った。少し緊張しているのはテレビからも見て取れたが、意外といっては失礼だが、口調に震えはなく、メモも何も見ずに、目線は常にすべての記者たちに流しながら、はっきりと答える姿には“ある種の感動”を禁じ得なかった。
皇室のあり方については、「天皇陛下のお考えのもと、人々の暮らしや社会の状況に目を向け続けていくことが重要であると思います」と、そつなく答えた。結婚や理想の女性像については、「まだそのようなことを考えたことはない」と答えるにとどめた。
父親・秋篠宮の「導火線の短さ(短気)」について話が及ぶと、「以前よりは幾分か丸くなった」と笑いをとる場面もあった。
愛子さんのような「名言」はなかったが、18歳の青年らしい好感度と、将来の天皇になる片鱗が垣間見えた、爽やかな初会見だったと思う。
悠仁さんは秋篠宮家の危機を救った。(文中一部敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)
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