テレビはグルメ、熊、線状降水帯ばかり…もっと大事なことを放送したくないための隠れ蓑か
【桧山珠美 あれもこれも言わせて】
食欲の秋というのは昔の話で、今や朝から晩まで年がら年中、食欲モンスターが蠢いている。それに一役買っているのがテレビだ。
以前はテレビ東京の専売特許だったが、グルメ企画のうまみに気づいた民放各局も加勢し、ついには皆さまのNHKまでが手を染め、グルメ百花繚乱時代が続いている。かくいう私も三度の飯より食べることが好きなので文句を言いながらもついつい見てしまう。
テレビ局にしてみても、グルメ企画はVTR中心にすればスタジオなどのセットやゲストの数も抑えられコスパがよく、かつ視聴者の興味を引きやすいと魅力満載のコンテンツなのだろう。
9月23日、日本テレビは夜8時から「THEグルメDAY」なる3時間番組を放送した。日テレ系の人気グルメ9番組がコラボするもので「有吉ゼミ」を筆頭に「オモウマい店」「ぐるナイ」などの番組出演者が揃い、22年ぶりにヒロミと林家正蔵(当時こぶ平)の伝説の料理番組「モグモグGOMBO」が復活するという特別企画も。こうしてみると日テレのゴールデンはずっと食べてばっかりだなあ、と。
番組にも出演していたが、「ZIP!」のMC水ト麻美などは元々「ヒルナンデス!」での食べっぷりが認められ、人気になった。日テレグルメの女神といっていいほどだ。健康的で、好感も持てるし。
■日テレ、グルメ番組といえば…
日テレ、グルメ番組の女神はもう一人、「有吉ゼミ」で「チャレンジグルメ」という大食い企画のギャル曽根。世間に大食いタレントは掃いて捨てるほどいて、中にはスピード重視で食べ散らかし、目をそむけたくなる人もいるが、ギャル曽根は違う。彼女はとにかくエレガントに、実においしそうに食べる。
しかし、百歩譲っての話である。ゴールデンの番組はそれでよしとしても夕方のニュース番組など後半はグルメの嵐。今はグルメか熊か線状降水帯かという感じ。ほかに報じることはないのか。もしくは都合が悪いことを隠すために、グルメ企画に逃げてごまかしているのではないかと思ってしまう。
■都庁前では複数回の大規模デモ
たとえば、9月は都庁前で複数回デモが行われているが、デモの「デ」の字も出てこない。かと思えば、このところは自民党の総裁選に関するニュースばかり。これに対し、ふかわりょうが「このひと月、自民党のキャンペーンになっていて」と「ひるおび」で発言していたが、まさにその通り。そんなものは自民党チャンネルでやればいいことだ。
グルメを隠れ蓑に本当に伝えなければいけないことを伝えていないとしたら……。
マスゴミ、オールドメディアとこんなに言われても、テレビは自らを改めない。呆れる。
(桧山珠美/コラムニスト)
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