クリスマス、そして年末年始…寂しさは募るばかり
クリスマスランチの帰り道、久美さんはワインを何本も買いこみ、寂しさを誤魔化すように飲み明かした。
「不倫がここまで苦しいものだとは思いませんでした。電車で彼の娘さんと同じ制服の女の子を見ると、胸がざわついて…恨めしい気持ちになってしまって」
不安に耐えきれず、カカオに『声が聴きたい。電話していい?』と送ると、返ってきたのは『電話は無理。メッセージだけで』という冷たい返事だった。
「7歳も年上なのに、何を振り回されてるんだろうって。自分に腹が立ちました」
不安がピークに達したのは、年末年始だった。
「彼からは『妻の実家の京都に帰省する』と言われていました。私は苛立ちや不満を見せずに、『ご家族との時間を楽しんで』と、言葉を選んで送り出したんです。でも…それが大間違いでした」
勘違いしたのか、彼は、新幹線から撮った富士山の写真を皮切りに、京都タワー、清水寺、八坂神社、祇園の町並みなどの観光ガイドのような美しい写真を何枚も送ってくる。
その端には、明らかに奥さんらしき影が映りこんでいた。
「これ以上、嫉妬させないで…って思いました。彼なりに、私を寂しがらせないための写真だったのかもしれません。でも結果的に、私は12月29日から完全な放置状態。メッセージは途切れ、こちらから送る勇気もなくて…」
大みそかも独り。都内の自宅でカップ麺の年越しそばをすすりながら紅白歌合戦を流し見し、気を紛らわすように執筆をする。テレビの向こうには家族団らんの映像があふれているのに、自分の部屋だけが、取り残されたように静まり返っていた。
「こんなに空しい年越しは、初めてでした」
能天気なメッセージに涙が
彼から新年のメッセージが届いたのは、1月3日だった。
――あけましておめでとう。冬の京都は寒いけど、風情があっていいね。
「読んだ瞬間、はあ? って呆れました。12月29日~1月3日まで、私がどれだけ気を病んで、どれだけ待っていたか、想像もしない。その能天気さに腹が立って、すぐに消しました」
スマホを伏せたとたん、嗚咽とともに涙があふれでた。
久美さんは切なげに振り返る。
「好きになったら負けですね。今年は婚活も視野に入れようかなと思っています。でも…悠馬くんに『会おう』と言われたら…きっと行ってしまう自分も否定できなくて…」
年末年始、不倫中の独身女性たちは、皆、同じ孤独に直面する。
幸せにするのも、不幸にするのも、自分自身。
それが正論だとわかっていても、彼の家族を恨んでしまう自分がいる。
久美さんは、その矛盾と静かに向き合っている。
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