マグロを超えてトド!
「いやぁ…、郁美があそこまで床下手だとは思わなかった。結婚歴が2回あるって聞いていたから、アッチのほうもそこそこの経験を積んでいるだろうと読んでいた僕が甘かったです。
まるでマグロ。いや…、言ってはいけないけれどトド。僕は毎回、トドのぬいぐるみを抱いているような夜を過ごしているわけですよ。
トトロだったら可愛いけれど、トドですからね。考えると悲惨でしょう?」
ヒデナリさんにとって、恋人との肉体関係は「恋愛の真髄」とのこと。
そのため、夜の生活がとことん合わない郁美さんとの関係については、今後どうすればいいのか悩みが深まっていると言います。
恋人を通じてできた人間関係に未練
「本当は、スグにでも別れたほうがいいと思うんですよ。
でも、ちょうど僕らは今、付き合って3ヶ月くらいで、お互いの人間関係も交わり始めた段階だから、ちょっと厄介なんです。
僕は郁美の男友達で気が合う人も見つけて、ふたりで飲みに行ったりもしていますから、そういう関係を築いてきたところで『はい、さよなら』っていうのも、よくないかなって気がするし。
郁美は郁美で、もともとは僕の女友達だった子と気が合ったみたいで、今ではLINEを頻繁にやりとりしているみたいだし。
周囲とはいい雰囲気になっているのに、僕らがここで別れちゃったら、まわりだって興醒めするでしょう?」
なんで恋人がほしいの?
理屈だけなら「もうちょっとうまくやっていきたい」と考えていると話すヒデナリさん。しかし現実には「肌が合わないんだから、もうどうしようもないよね」と諦めていると話します。
「どうやって別れればいいのか…。僕らはもう大人だから、周囲の人間関係はこのままで、恋愛関係だけ終了にしたいけれど、そのためにはどうすればいいのか。
ほら、このトシになると新しい友だちって出来にくいから、郁美の関係で広がった友人関係は僕にとって貴重なんです。
それにしても、そもそも郁美は、肉体的なつながりを求めていないくせに、なぜ恋人が欲しいなんて思っていたのかも僕には理解不能です。
マッチングアプリで相手を探しているくらいだから、そっちのほうだって求めているんだと思っていたのに。
なんだかね、言っちゃいけないけど貧乏くじを引いてしまった気分ですよ」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ、100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
ラブ 新着一覧