カネを返してほしいと思うのは当然
興奮した様子で、美里さんへの不満を口にするマサシさん。
美里さんとの関係は、妻との関係が悪いマサシさんにとっては、仕事だけでなく、生きる原動力になっていたと強調します。
「離婚はできないですけど、心はすべて美里に捧げてきました。だから小遣いを切り詰めてまで、美里にお金を渡していたんだし…。
月にたったの3万円って笑われるかもしれないけれど、俺にとっては大変な額ですよ。昼食を抜いたり、本当は行くべき同僚との飲み会も断ったりして、やっと捻出していたカネですから。
でも、こうやって美里が一方的に俺を捨てるなら、そのカネは返してほしいっていうのは当然じゃないですか?
俺は、将来にわたって美里との関係がずっと続くものだと信じていたから、無理を重ねてきたのに。
こうやって俺のことを捨てるっていうなら、俺だって黙ってはいられませんよ」
みんなに知らしめてやる!
マサシさんは、美里さんに対する強い怒りの感情を口にしながらも、ふと冷静な表情になり「もしこのまま美里が強行的に別れるっていうなら、俺にも考えがあるんですよね」と言います。
「カネを返してくれるなら、別れてもいいっていう気持ちは変わりません。
でも美里がカネも返さないし、俺とも別れるっていうなら、美里はそういうズルい女なんだってことをみんなに知らしめようと思っています。
美里って、見た目は清潔感があって、とてもじゃないけど不倫とかしなさそうに見えるタイプなんですよ。だから俺がすべてをぶちまけたら、きっと美里の周りはびっくりしますよ。
自分のほうがダメージのほうが大きい
そこまでしないと、美里が俺にしてもらってきたことの重大さがわからないかもしれないと思うと悲しいですけど…。
一生をかけて、美里と一緒に過ごそうと思っていた俺の気持ちを踏みにじっているのは美里だから、このくらいはしてもバチは当たらないと思うんですよね。
それよりも、俺が今受けている精神的ダメージはもっと大きいですから!」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
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