赤いミサンガの女・美佐江、来た~!“放置エピソード”の回収がお見事

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-07-29 16:45
投稿日:2024-07-29 16:45

第18週「七人の子は生すとも女に心許すな?」#86

 寅子(伊藤沙莉)と優未(竹澤咲子)の姿を見ていきなり号泣した杉田(高橋克実)。実は杉田は昭和20年の長岡空襲で娘と孫を失っていた。

 そんな中、ある放火事件が発生。火災があったスマートボール場の経営者である朝鮮人の金顕洙(許秀哲)が逮捕される。寅子は傍聴席に三条支部の事務員・小野(堺小春)が座っていることに気付く。


【読まれています】「ごめんなさい」を連呼する航一。“戦時中の何か”は判明する?

【本日のツボ】

寅子・優未の母娘関係に異変アリ?

 ※※以下、ネタバレあります※※

 先週、杉田号泣で麻雀大会が中止になり、「食事だけでもしますか」と寅子と優未と航一(岡田将生)は3人で食事をしました。

 そこで、寅子が航一に、戦時中に何かあったのでは? とたずねて、例の航一の「秘密です」発言を引き出してしまったわけですが、今週、まさかその続きがあるとは思いませんでした。

 航一が部屋を出たあと、「はて?」と寅子が言えば、「はぁ」とため息をつく優未。寅子が「少し、無神経だったかしら?」と優未に聞くも、「少し?」と咎めるように言われ、「ごめんなさい」と謝る寅子。

 このオープニング前の寅子と優未のやりとりに、なんでも言い合える親子になってきたなあと、嬉しくなりました。優未は寅子よりずっと大人なのかもしれません。

赤いミサンガ美佐江の再登場に震える

 そして、放火事件です。火災があったスマートボール場の経営者、朝鮮人の金顕洙が逮捕されました。逮捕状を請求に来た警察官の心ない言葉、裁判官の入倉始(岡部ひろき)の差別的発言を注意する寅子。彼らに悪気はないのはわかりますが、それを曖昧にしない寅子の正義感は見習いたいところです。

 傍聴席の小野が、突如、わめきたてる被告人の弟・金広洙(成田瑛基)に対して、朝鮮語で話しかけ、諫めたことも気になりましたが、なんといっても赤いミサンガの美佐江(片岡凜)の再登場に震えました。

 こちらの案件、先週、そのまま放置されていたので、あれはどうなったのか、と思っていただけに、「美佐江、来た~!」と思わず叫んでしまいました。この引っ張り、お見事です。


桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


夕飯のカレーで描いた星家の“遠慮のない家族”への変化。入山法子の名場面を振り返り
 昭和37年1月、「原爆裁判」の原告のひとり、吉田ミキ(入山法子)が法廷に立つことを承諾。広島から上京してきたミキを、原...
桧山珠美 2024-09-05 17:30 エンタメ
虎に翼の脚本は朝ドラ特有の“中だるみ”なし!塚地出演「あさイチ」との連携プレイにも救われた
 昭和34年、優未(毎田暖乃)は高校1年生に。直明(三山凌輝)と玲美(菊池和澄)の間に子供が産まれ、猪爪家はますますにぎ...
桧山珠美 2024-09-02 17:30 エンタメ
東出昌大“狩猟系イケメン”面目躍如。通り過ぎていった女性たちは何を思う
 期待に応える男、東出昌大(36)がまたまたやってくれました。今度は“デキ婚”ですって。いつかやってくれるだろうとは思っ...
第110回感動のラストシーン! 余貴美子演じる百合さんの“ある台詞”がとっても可愛かった
 寅子(伊藤沙莉)たちとの同居がつらいと本心を語り、家を出ようとするのどか(尾碕真花)。そんな彼女に、優未(毎田暖乃)は...
桧山珠美 2024-08-31 06:00 エンタメ
【写真特集】10年前の初々しい東出昌大。オールバック、ナチュラル、横流し…髪型3変化
【この写真の本文に戻る⇒】杏との離婚から4年、東出昌大“デキ再婚”で話題の養育費問題。子のために前妻が即やるべき事【弁護...
虎に翼108回目でお見事だった2つのシーン。世の中の“普通人”の理不尽な思いを代弁させた
 稲垣(松川尚瑠輝)と小橋(名村辰)にも手伝ってもらい、裁判所で中学生向けの法律の勉強会を開いた寅子(伊藤沙莉)。だが話...
桧山珠美 2024-08-28 17:15 エンタメ
松本人志はいまや「憧れの芸人」ではない。若手芸人が話す3つの理由
「生きるお笑い界の伝説」ことダウンタウン松本。還暦を迎えた今も大人気の冠番組を複数抱え、お笑い界で最も大きな発言権を誇る...
帽子田 2024-08-28 09:38 エンタメ
なんて賢い子!“星家イチのオトナ”が優未だった件。27日あさイチに“料理男子”井上祐貴が降臨
 寅子(伊藤沙莉)と優未(毎田暖乃)は星家で暮らし始めるが、航一(岡田将生)の長男・朋一(井上祐貴)、長女・のどか(尾碕...
桧山珠美 2024-08-26 17:35 エンタメ
木戸大聖が世間に見つかってしまった!月9「海のはじまり」スピンオフでファン急増中
 めめ(目黒蓮)の体調不良が心配でなりません。現在、フジテレビ系月9「海のはじまり」に主演していますが、Snow Man...
寅子の「心が躍るような」結婚式。放送残り1カ月ちょっと、NHKにスピンオフで描いてほしいこと
 お互いそれぞれの名字を名乗ったうえで、「夫婦のようなもの」になることを決めた寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)。猪爪家...
桧山珠美 2024-08-24 06:00 エンタメ
平手友梨奈がHYBEと契約終了、2度目の退所で訪れる転機。神童が“本物”に返り咲く日
 平手友梨奈(23)が今月8日、韓国の大手芸能事務所「HYBE」日本本社のレーベル「NAECO」との専属契約を終了した。...
こじらぶ 2024-08-24 06:00 エンタメ
【写真特集】女子アナ時代、初々しい浴衣姿の田中みな実
【この写真の本文に戻る⇒】 なぜ田中みな実は「いらん一言」を放つのか。女優ヅラ発言の真意を考察
なぜ田中みな実は「いらん一言」を放つのか。女優ヅラ発言の真意を考察
 放送中のドラマ『ギークス〜警察署の変人たち〜』(フジテレビ系)にて、3人の主要キャラのうちの1人に抜擢されている田中み...
堺屋大地 2024-08-23 06:00 エンタメ
航一は本当に明治生まれなのか?「夫のようなもの」を許容できる男に疑惑
 航一(岡田将生)から、そこまで悩むのなら結婚をやめようと告げられた寅子(伊藤沙莉)。それは婚姻届を出す結婚をやめようと...
桧山珠美 2024-08-24 00:23 エンタメ
『ラヴィット!』に疑問の声。違和感たっぷりでもギャル曽根の「超ギャルル」を推すワケ
「日本でいちばん明るい朝番組」をコンセプトに、平日の朝に笑いと情報を届けている人気番組『ラヴィット!』(TBS系)。 ...
寅子版「自分会議」はユニークな演出だった! “ラスボス”百合さんに俄然注目
 結婚したら、自分か航一(岡田将生)のどちらかの名字が必ず変わることに、改めて気付いた寅子(伊藤沙莉)。  自分が...
桧山珠美 2024-08-20 15:30 エンタメ