松本人志はいまや「憧れの芸人」ではない。若手芸人が話す3つの理由

帽子田 芸人、ライター
更新日:2024-08-28 09:38
投稿日:2024-08-28 06:00

今のダウンタウンは「ロックじゃない」

 理由その2。今の若手がテレビやお笑いに夢中になっていた幼少期や思春期の頃、ダウンタウンはすでに押しも押されもせぬ大スターだったから。

「大スターにこそ憧れるだろう」と思った人。それは大きな間違いだ。お笑い芸人に憧れる傾向がある人間は、「大スターになる瞬間」を見た芸人に憧れるのだ。

 例えば今覇権を握っているオードリーや霜降り明星、千鳥やかまいたちなどは、全てが賞レースで爪痕を残し、それをきっかけにテレビへの出演を爆発的に増やした。

 そんな自分の力でスターへの切符を勝ち取る瞬間を見ることができた世代の芸人に憧れ、芸人の世界に足を踏み入れるのだろう。

 そもそもお笑いは体制をからかうことを美徳とする、ロックみたいな節がある。強いものに噛みついて、「いじる」ことで笑いを取る。恐らくダウンタウンはもう体制側で、ロックな挑戦者側じゃない。若手が憧れないのもなんとなく理解できる。

カッコ悪さを感じてしまう若者も

 あとは少数意見だが、ちょっと分かるな、と思ってしまったのが「老害感が強すぎる」という意見だ。松本さんがテレビで名も売れていない若手にはことさら強く当たってみたり、白けているイメージがあるというのだ。

 松本さんからしたら売れるかも分からない石コロみたいな若手にいちいち優しくしてられないのだろうけど、若手はそんな姿をみてリスペクトの念を薄れさせてしまうのかもしれない。これはダウンタウンが大きくなりすぎた故の弊害だ。

 性行為強要疑惑が振りかかったときの対応の悪さを「カッコ悪い」と思ってしまった若手もいる。松本さんは以前「週刊誌に突撃されたら、なんでも『ハイそうです』と認める。そしたらやりようないでしょ」と発言したことが引き合いに出されていた。

 実際にはXで擁護の声をリポストしたり、オジサン構文香る文章で釈明したりと、スマートじゃない対応が目についた。レジェンドだったら、誠意があり、かつ粋な対応をしてほしかったが、事が事だけに難しかったのだろうか。

「松本さんは戻ってくる」という認識は同じ

 とはいえ、若手も中堅もベテランも「松本さんは戻ってくる」という認識は全員一致している。若手がダウンタウンに憧れなくても、ダウンタウンのすごさは知っているからだ。

 これを機にお笑い界の新陳代謝が少しだけ進むかもしれないが、あとは問題が解決し期間が経てば完全復活するだろう。なぜなら、ダウンタウンはまだお笑い界には欠かせない存在だからだ。

帽子田
記事一覧
芸人、ライター
別名義では芸人として活動。一時期は年100本以上のライブに出演、ライブ主催の経験もアリ。一応現役の芸人ではあるが、ただのお笑い、バラエティ番組ファンでもあります。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


共亜事件は「虎に翼」のオマージュか。あんぱん、ブギウギの3人が同時代を生きている
 昭和11年、家族や嵩(北村匠海)に見送られ、のぶ(今田美桜)は女子師範学校の寮に入る。軍国主義の担任・黒井雪子(瀧内公...
桧山珠美 2025-04-28 18:40 エンタメ
「あんぱん」最後まで毒親だった登美子(松嶋菜々子)。去っていく彼女に問うてみたいこと
 受験したのぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)の明暗が分かれる。静まり返った柳井家で、寛(竹野内豊)たちに頭を下げる嵩。そこ...
桧山珠美 2025-04-26 12:50 エンタメ
春ドラマの評判を調査!『最後から二番目の恋』は令和の鬼渡?『あんぱん』『対岸の家事』の感想は
 2025年4月期も話題のドラマが続々スタート! 多すぎてどれを見るのか迷ってしまう…。そんな人のために忖度なしでドラマ...
「あんぱん」千尋(中沢元紀)は本当に良い子…史実どおりの展開なのか。しょくぱんまんのようなイケメンだ
 けんかした嵩(北村匠海)と千尋(中沢元紀)に、寛(竹野内豊)は改めて後継ぎはいらないと告げる。そして、何をしながら生き...
桧山珠美 2025-04-23 17:51 エンタメ
こうでなくちゃ! 志尊淳の正解を「恋は闇」で見た。いい人よりも“妖しい姿”に妄想が駆り立てられる
 新ドラマ「恋は闇」(日本テレビ系)の志尊淳が良きです。  前クールの「日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった...
「あんぱん」なんて贅沢!今が旬、河合優実の“目で語る”表現力と色気に驚く。俳優・ソニンのEE JUMP感を消した演技も見事
 なりたい夢を見つけたのぶ(今田美桜)は、女子師範学校合格に向けて猛勉強をし始めるが、成績が思わしくなく頭を抱える。同じ...
桧山珠美 2025-04-21 14:23 エンタメ
怪演・市原隼人に「ヤバい超大物」2人が熱烈ラブコール。迫真すぎる“ガンギマリ”の演技がモテる理由か
 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)にて、盲目の大富豪にしてゾクッとする異様な雰囲気を放つ鳥山検校を怪演...
堺屋大地 2025-04-21 06:00 エンタメ
ラランド・サーヤは「名誉男性」なのか? お笑い界の“女すぎる”という悪口に思うこと
 ラランド・サーヤが参加するバンド「礼賛」が大阪で行ったライブで、痴漢行為が発生。被害女性がSNSで被害を訴えたことで発...
帽子田 2025-04-20 06:00 エンタメ
「あんぱん」松嶋菜々子の“毒”さえチャーミングにする厄介な美しさ。ドキンちゃんにも見えてしまった
 8年間音沙汰のなかった登美子(松嶋菜々子)が突然帰ってくる。登美子に対してわだかまりが残ってはいるものの、自分の漫画を...
桧山珠美 2025-04-19 06:00 エンタメ
「あんぱん」登美子(松嶋菜々子)の登場が不穏…色っぽいけど。貴島中尉(市川知宏)は“あのキャラ”を意識?
 新聞社に出した漫画で賞金をもらい、ご機嫌の嵩(北村匠海)。一方のぶ(今田美桜)は、パン食い競走で転びそうになったところ...
桧山珠美 2025-04-17 16:02 エンタメ
カトパンへの嫌味に物議…新井恵理那は承認欲求のカタマリか、悪役を演じる聖人か?
 昨年3月、8年間出演して総合司会も務めていたテレビ朝日系の朝の情報番組『グッド!モーニング』を降板したフリーアナウンサ...
堺屋大地 2025-04-17 06:00 エンタメ
【募集】春ドラマ何見る? 面白かった&ガッカリを教えて!『最後から二番目の恋』『あんぱん』etc
 コクハクでは2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。4月よりスタートした春ドラマ、「期待している」「面白...
笠松将、柳楽優弥を超えなければと思っていた。俳優業の“わからなさ”は「自分自身にビビッている感覚」『ガンニバル』シーズン2インタビュー
“この村では、人が喰われているらしい……”    2022年の年末にディズニープラス スターにて独占配信がスタートす...
望月ふみ 2025-04-15 06:00 エンタメ
「あんぱん」嵩(北村匠海)の“ジェラシー”がなんとも可愛い! 寛(竹野内豊)の診察シーンが見たかった
 昭和10年、高等女学校の5年生になったのぶ(今田美桜)は、ある日、貴島中尉(市川知宏)と再会。祭りのパン食い競走で使う...
桧山珠美 2025-04-14 19:03 エンタメ