秋の京阪神「穴場あり」グルメ旅。外国人観光客にバレていない!? 胃で溶けるカツレツ、会館飲み…

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2024-11-15 06:00
投稿日:2024-11-15 06:00
 何もかも揃っているような東京に住みながら、関西でいただく食事はなんであんなにうまいのか。そんな気持ちにかられて、先日、神戸、大阪、京都を食べ歩きしてきました。
 どの店も本当に良かったので、おばさんの井戸端会議風にここで披露させてください。紹介する店のテーマは「あれ? 観光地なのに外国人がいなかった?」。

オーバーツーリズム状態とはいえ…

 インバウンド狙いの観光業。もちろん悪いとは言いませんが、あまりにも日本へ観光客が集中しすぎではないでしょうか…。

 というのも私、薄顔のせいなのか中国人によく間違えられるんですね。表参道のスタバや沖縄のレンタカーショップで、英語メニューを出されたときは軽いショックを受けました。

 他にも、都内で道を歩いているだけなのに、韓国語で喋りかけられることも。そんな理由から最近では東京の中心部へ出かけることも、憚れるようになってしまいました。日本人が好きなのよ。

 他にも使用中だらけのロッカーに、乗れないバス、それから、それから…と言いたいことは尽きませんが、今回はそんな話題から少し離れましょう。選りすぐりの良い店をご案内したいと思います。

【前編『「う、うまい…」秋の京都で“当たりだけ”グルメ! コッペパン天国から地元民太鼓判の街中華・餃子まで』はこちら

噛まない牛カツレツに笑みが止まらず

 まずは神戸市内の西元町にある『洋食の朝日』から。神戸はパンや洋食が有名ですが、そのトップオブトップに君臨する“ザ・洋食店”がこちらです。

 店舗に到着したのは13時過ぎ。平日ですが、40分ほど待ちました。この店では1時間くらい並ぶ心積もりで参りましょう。大丈夫、並んだ時間が報われるほどのうまさが待っています。

 ああ、この熱量を自著の執筆に向けたらいい文章が書けそうなのに、動くのは胃ばかりなり。

 メニューはチラ見しましたが『ビフカツ』一択。ビーフカツとは普段、そんなに食べないし、都内で見かけないかもしれません。自分で作るなんて選択肢にもありませんね。ここはプロの味を堪能したいところ。

 着席してから20分ほどでしょうか。白飯、味噌汁と一緒に運ばれてきた『ビフカツ』(1,800円)。写真、よーくご覧ください。カラッと揚がったパン粉に包まれた熟成肉は、ほどよくレア。どうしたらこんな芸術品のように仕上がるのか。特製のデミクラスソースをつけていただきます。

「…あれ? 私、噛んだ?」

 そう思うほど柔らかな食感! これは歯を気にせず、老若男女、すんごい体験ができますね。その後、来て良かったとホクホク顔で、カツレツを食べ進めるわけですが、なくなってしまうのが悲しくなるほどのうまさでした。昔、焼き肉ばかりを食べていた先輩に、

「いい肉はね、胃で溶けるのよ」

 と、ドヤ顔で豪語されたことがありましたが、今なら先輩の気持ちがわかります。このカツレツは胃で溶ける。

 時折、白飯をソースにワンバウンドさせながら完食。ちなみに平均単価が1,000~2,000円。夜営業はなし、土日は休みというなかなかのハードルの高さです。

 でもこの店のためなら有給取っても悪くないんじゃないかしら。

昭和レトロな喫茶店でゆったり、のんびり

『洋食の朝日』で満腹となりまして、次に徒歩で向かったのが元町商店街にある喫茶店『元町サントス』

 神戸は喫茶店やカフェ、多いですよね。中でも創業が昭和35年という老舗店です。こういう喫茶店でゆったりするのが、オツというもの。

 こちらの店、元町商店街の一角にあります。店に向かうまで、神戸色が強く打ち出た個人店を眺めながら歩くのも楽しかったです。

 普段は行列もしているそうですが、この日は待ち時間ゼロで入店。カツレツがまだ消化しきれていなかったので、コーヒー(550円)だけ注文。店内はベロア素材のソファー席が並んで、昭和の香りがしました。マスターらしき人が、ずっとフライパンを回していたようです。

 というのも、『元町サントス』はパンケーキがおいしいらしいのですが、私の胃袋に余白はございませんでした。

 しばらくして私の隣席に70代と思しき、ご婦人2名が着席。「最近、食べられなくなったのよ」と言いつつも、バニラアイスがガッツリのったパンケーキ2枚を見事に平らげていました。老後に食の太さ、大事かもしれません。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「風呂キャンセル界隈」失敗談 足の臭いでバレ!自分を奮い立たせる方法
 ネットスラングで「風呂キャンセル界隈」というワードが話題になっています。読者の皆さんの中にも、その日の入浴をキャンセル...
丸見え族、参上! うさぎシッポの“たまたま”君にロックオン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
何をそんなに怒っているのだ?
 何をそんなに怒っているのだ?  東京都庁近くにて。
ほっこり癒し漫画/第75回「ヘルプみーこ」(後編)
【連載第75回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
【難解女ことば】「小女子」ってなんて読む? ヒントはご飯が進むもの。
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
最新「グダグダなLINEやり取りの終わらせ方」知らないのは無防備すぎる
 仕事からプライベートまで、コミュニケーションツールとして使えるLINE。便利かつ気軽ではありますが、それゆえにダラダラ...
スマホを持たないサブカル老人の願い「本屋に行く楽しみを奪わないで~」
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
クレクレママの実態 買い換えるなら「車くれない?」っておねだりする!?
 人のものをすぐに欲しがるクレクレママ、あなたの周りにはいませんか? おさがりなどをもらってくれて助かることもあるけれど...
44歳独身、今からでも遅くない?ズル休み→大学進学を決めた“無敵の女”
 八王子の居酒屋で契約社員として働く由紀は、信じていた学生バイトに蔑まれ、客の若者にも罵られる日々。見かねた学生バイトの...
私の時給はパフェより低い…置き去り氷河期世代の苦悩「感覚死んでる」
 八王子の居酒屋で契約社員として働く由紀は、特段面白みのない毎日を過ごしている。元気な学生バイトたちに囲まれ慌ただしい日...
八王子の居酒屋社員で月給18万円、腰かけ学生バイトの尻拭いをする日常
 八王子は21の四年制大学・短期大学・高専があるという。  全国でも学園都市として広く名が知られ、学生の数はおおよ...
大人の「友達がいない問題」はスナックで解決!?常連同士が仲良くなるわけ
 みなさんは大人になってからできた友達、どのくらいいますか? 「言われてみればもゼロ」なんてこともあるのでは?  ...
自分の選択に誇りを持って。子どもを産まない理由、そして6つの決断
「DINKs」という言葉があるように、「子どもを産まない」ということが近年では夫婦の選択肢の一つとして普通になってきまし...
気高いオーラにゾクゾク! コワモテ“たまたま”の意外な素顔
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
お店で見かけたら幸運! 超レア「バードネスト」の正体は野良ニンジン!?
北海道出身の主人とは衣食住、風習や慣習など折に触れ、関東で生まれ育った者(ワタクシ)との違いを感じます。結婚当初は行き来...
銀座で“750円のみほ&時間無制限”の「AOU銀座の森」がまさかの改悪!?
 コロナ禍以降、基本在宅勤務な方も多いのでは? 出勤のわずらわしさから解放されるのはいいけれど、たまには気分転換をしたい...