“レス夫は同居人”と割り切る40代主婦の告白「まさか女性に惹かれるなんて…」#1

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2025-03-03 19:13
投稿日:2024-11-15 06:00

片思いでもいいから恋がしたい

 弥生さんはその日をきっかけに、丁寧にヘアメイクをするようになったという。

「夫の出勤後、時間をかけてヘアメイクをし、レッスン着も韓流スターを意識したショート丈のTシャツにラフなパンツに変えました。レッスン室に入ると、音響を調節していた美和子先生が『弥生さん、素敵。見違えたわ!』と褒めてくれたんです。

 キュンとしました。先生のキラキラした瞳に見つめられ、どうしようもなく鼓動が高鳴って…。自信を持った私は、その日、最前列でレッスンを受けました。いつもは後ろの目立たない位置だったのですが、少しでも先生のそばにいたくて…(笑)。

 ステップやターンをするたび、先生の甘い香水の匂いが鼻腔をかすめて、緊張や嬉しさがさらにエスカレート。美和子先生の気を引きたい一心で、必死に振りを覚え、首の角度やターンのタイミング、手指の先まで意識を届かせて、頑張りをアピールしたんです。

 レッスン後、先生は私に『格段にうまくなってる。サビのチャールストンステップやBメロの体重移動、アイソレーションも完璧』と皆の前で褒めてくれて…すごく幸せでした。

 先生ほどの美女にパートナーがいないはずはありません。でも、片思いでもいいから、恋したかったんです(笑)」

渋谷でまさかの事態に遭遇

 恋愛対象だと認識したとたん、恋心は膨らむばかり。弥生さんは生徒として「特別な存在」になろうと自宅でもYouTubeを見ながら自主トレをし、レッスンに励んだ。

「ある日、買い物で渋谷に行った際、雑居ビルの前で美和子先生を見かけたんです。私の通うカルチャースクールは都内にいくつも会場があるため、『今日は渋谷でレッスンだったのね』と声をかけようとした時、連れの女性がいることに気付いたんです。

 2人ともショートヘアでスラリとした美女ですから、とても目立ちました」

 弥生さんが声をかけようか迷ったところで、事件が起きた。

「なんと、美和子先生が連れの女性の頬をひっぱたいたんです。しかも泣きながら…。大声を上げて連れの女性をなじっているのが遠目でも分かりました」

 周囲の人の多くが関りを避けるようにで女同士のケンカを横目に素通りしていったという。

ネットカフェで話を聞くことに

 しかし、弥生さんは見逃せなかった。

「そばに歩み寄り、遠慮がちに『美和子先生…?』と声をかけたんです。名を呼ばれた先生は目を見開いて呆気に取られていましたが、『弥生さん…私、裏切られたの』と泣きながら抱きついてきたんです」

 予想外の事態が起きて困惑したものの、彼女の柔らかな体に、弥生さんはドキッとしたという。

「あの時はあまりにも驚いて記憶が定かではありませんが、先生の背中に手を回し『別なところに行きましょう』と、2人を引き離したことだけは覚えています。

 すすり泣く先生の背中に手を回したまま、渋谷の街を歩いていると、先生が『ここでいい。ここで話を聞いてほしい』とネットカフェの看板を指したんです」

 2人はエレベーターで6階まで行き、カップルシートをリザーブした。

 続きは次回。

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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