「ギャラ飲み」初体験女子が港区で受けた洗礼。富裕層おじがニヤつくワケは…

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2024-12-14 06:00
投稿日:2024-12-14 06:00

確かに「パトロン」がいてもおかしくない…

 友梨佳は母親に女手一つで育てられ、貧しい幼少期を送っていたと以前サロン紹介のインタビューで語っていた。

 よく考えたら、そこから20代半ばで、恵比寿の一等地にこれだけのスタッフと広さを揃えた店を、腕一つでオープンすることができるのだろうか? 相当の実力があれど、パトロン的な人がいたと考えた方が自然だ。

「晴乃チャン、記憶なくさないうちに、LINE教えてよ~」

 いつの間にか、華やかな狂騒の中に晴乃はいた。隣には、パリッとした高級スーツに身を固めた、自称40代の初老のおじさんが密着している。

 まひなは離れた席で男の肩にしなだれ、助けを呼べる雰囲気ではなかった。

富裕層の優越感を煽る道具になっていた

「LINEですか、ええとスマホが今壊れていて」

「うっそだぁ。バッグの中で光っているのが見えるよ」

 おじさんの指摘に、晴乃は素直にスマホを出しだす。彼の瞳に蜘蛛の巣状の亀裂が映った。ミラーボールのような画面は店の照明を反射し、細やかな光を放つ。

「コレ、ほんとに使ってるの?」

「ええ。ほぼ壊れていますけど、通話は出来ますので」

 目の前の男がドン引いているのが肌で分かった。

 よほど珍しいのか、ボロボロのスマホは瞬く間に注目の的となった。この場の男たちは医者や経営者だという。彼らの口元はニヤついている。

 晴乃はこの場の人々の優越感を煽る道具になっていることに気づく。

 実際、それ以降は高いシャンパンやフォアグラ、キャビアなどを晴乃は執拗に勧められた。口にしたことはないだろう、と。

 かりそめの笑顔で繕いながらも、心が削られていた。

高級品が一瞬で手に入る世界なんだ

 ほどなくして、宴が行われている個室の扉が開く。スーツ姿の若い男性が小さな白い紙袋を晴乃の隣のおじさんに手渡し、すぐに去っていった。

「君にあげるよ」

「え…」

 差し出された袋の中には、スマホが入っていた。若い男性はおじさんの会社の部下だという。

「すっごーい。カジタさんやさしー」

「うっそ、最新型のiphoneじゃないすか」

 晴乃は無言で笑顔を浮かべた。瞳に表情はない。

 ただ、もらえるものはもらいたい自分がいた。おじさんはアタッシュケースに入っていた鮮やかな色のシャンパンを雑にラッパ飲みしている。

「…ありがとうございます」

 どうせ、はした金。

 そう考えると、嬉しいと思わねばもったいないような気がした。

#3へつづく:「おじたちから評判いいよ」で得た自分の価値。パパ活女子の末路は惨め一直線なの?】

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


秋の京阪神「穴場あり」グルメ旅。外国人観光客にバレていない!? 胃で溶けるカツレツ、会館飲み…
 何もかも揃っているような東京に住みながら、関西でいただく食事はなんであんなにうまいのか。そんな気持ちにかられて、先日、...
「う、うまい…」秋の京都で“当たりだけ”グルメ! コッペパン天国から地元民太鼓判の街中華・餃子まで
 先日、遅めの夏休みとして京都を中心に旅行へ出かけました。京都は「ここが私のアナザースカイ!」と両腕を広げたいほど、大好...
ツンデレorガチ避け? つれない“たまたま”太郎についてゆきます!
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
年末年始に増えるご不幸と葬儀。花屋が心底思う「後悔しない直葬」とは?
 寒くなり、アノ不思議現象がボチボチ起こり始めております。それは、年末から年明けにかけて頻発する「お亡くなり現象」。...
「卓越下着術」「胸囲ない」セクハラかと思いきや…!職場&家族へのおもしろ誤変換LINE7連発
 日常の連絡ツールとして欠かせないLINE。気軽に送れるぶん、おもしろ誤変換が生まれます。特に職場LINEや家族への誤変...
「オレ忙しいアピール」って何様よ? 昭和オヤジの怠慢さに怒りの沸点越え
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
更年期、私はこれで対処しています②賛否両論のプラセンタ、筋肉注射で痛みもこの上ないが…
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
40歳、セルフプレジャーより睡眠が優先!?フルタイム正社員に転職で痛感
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方をテーマにブログやコラムを執筆している豆木メイです。  つい先日ま...
仕事ができないけど愛される人の特徴5つ。ポンコツなのになんで?
 あなたの職場にも仕事ができないポンコツなのになぜか周りに愛されている人、いませんか? 今回は、仕事ができないけど愛され...
気は優しくて力持ちってこんな感じかな
 そして、  思わずほっこりしてしまうのはなぜ?  
ダークヒーロー参上! 木の上から睨みを利かせるアウトロー“たまたま”
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
息抜きは絶対必要!忙しいワーママが自分時間を確保する4つのアイディア
 世の中のワーママは、仕事や家事、育児と朝から夜まで大忙し! 自分の時間なんてほとんどありませんよね。しかし、人には息抜...
「糟糠の妻」の意味は? 出世しても〇〇してはいけないんだゾ
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
ほっこり癒し漫画/第85回「食べる! 食べるでござるーッ!」
【連載第85回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
酔っ払い同士の胸熱&ちょっと恥ずいLINE3選。きのこたけのこ戦争の和解にもおすすめ?
 人はお酒を飲むと日頃心に秘めている本音が出てきますよね。酔っ払い同士のLINEをのぞいてみると、本音同士の面白い会話が...
お互いの「子どもの共通点」に愕然。平凡になったのは元彼と私、どっち?
 新川崎の大規模マンションに暮らす真央。「量産型主婦」を自覚しているが、かつての真央はバリバリの個性派女子だった。そこで...