死者が結んだ恋、彼との再会は葬儀の場だった…。34歳主婦の告白 #1

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2025-03-03 19:13
投稿日:2024-12-06 06:00

車で送るとの申し出に

 そして、春美さんが帰路に就こうとした際、思いがけないことが起こった。

「弘道さんが、車で送ると言ってくれたんです。ママはお通夜の会場から店に行かねばならず、私はお言葉に甘えて送ってもらうことにしました。

 彼の愛車はSAAB。車には疎い私ですが、それが高級車なことぐらいは分かります。ドキドキしながら助手席に座りました。

 車が走り出すと、私は不思議な思いに駆られたんです。息子を産んでから、男の人と2人きりで車に乗るなんて…。

 ドライブデートみたいな甘酸っぱい気持ち。弘道さんとは最初こそ昔話に花を咲かせていたのですが、次第に彼の口数が少なくなってきたんです」

 信号で一時停車した際、弘道さんの口から放たれた言葉は想像を絶するものだった。

明かされた死の真相

「一瞬、言葉を失いました。弘道さんは『実は、Fさんが亡くなったのは自殺なんだ』って…。表向きはくも膜下出血だということにしているけれど、一人暮らしのマンションで縊死していたと…。

 Fさんがバツイチで独身なのは知っていましたが、まさかそんな最期を遂げたなんて…」

 事情を知った瞬間、春美さんは言葉を失い、手足の震えが止まらなかったという。

「弘道さんは『この件は親族と一部の人間しか知らない。ママにも黙っていて欲しい。春美さんはFさんが娘のように可愛がっていた人だから知らせておくよ』と告げられたんです」

 車が青山あたりに差しかかった時、弘道さんのほうから「せっかくだから、Fさんとアフターでよく行ったバーに行かない?」と誘ってくれた。

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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