【おむすびにモヤっと】すべては結のおかげ、動かずして感謝されるヒロインの今後は?

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-01-31 16:57
投稿日:2025-01-18 06:00

第15週「これがうちの生きる道」#75

 2012年1月17日。結(橋本環奈)は神戸で両親や商店街の人たちと17年前の阪神・淡路大震災の犠牲者を追悼して黙とうする。とはいえ、徐々に忘れられつつあるとみんな感じており、子どもたちの世代にも伝えていかないといけないと、思いを新たにする。

 一方、歩(仲里依紗)は真紀の墓前で、孝雄(緒形直人)とともに黙とうする。

【こちらもどうぞ】【おむすびにモヤっと】“不揃い”な春キャベでロールキャベツ? 平成のバカップルにこうのとりが…

【本日のモヤっと】

「これがうちの生きる道」(キリッ!)

 ※※以下、ネタバレあります※※

 1月17日は「おむすびの日」なんだそうです。「おむすび」というタイトル、そして、阪神淡路大震災での「おばちゃん、このおむすび冷たい、チンして」と言った幼き結のエピソード、さらには「困っている人を助ける米田家の呪い」などから勝手に結は東日本大震災の際にいち早く現地に駆けつけ、被災者におむすびを届けるのだろうと思っていました。

 なんなら星河電器に就職したのも温かいおむすびがいつでも食べられるような、そんな夢のホッカホカマシーンを開発することもあったりして…と。

 それがなんということでしょう。

 結局のところ、東日本大震災において結の役割はカスミン(平祐奈)に感謝されただけ。「結ちゃんにお礼を言いたい」とカスミンがアパートに訪ねてきましたが、それは差し込みで行われた炊き出し課題による影響のようです。

「大量調理については2年でやりますが…」などと先生(相武紗季)が告知した2年次の正式な授業はたいして役には立たなかったのかもしれません。

 動かずして感謝される結。すべては結のおかげ。もしかすると結は、結信教、いやおむすび教の教祖様になったほうが向いているのではないか、と。

 結局、東日本大震災の年の話はこれにて終了のようです。壮大な肩透かしをかまされた気分です。ほんとうにこれで終わりなのでしょうか。

 放送回当日(17日)は、阪神淡路大震災から17年経った2012年1月17日からスタートしました。その冒頭は一瞬、朝ドラはおやすみで追悼式のニュースをやるのかと勘違いしそうなほどにリアルな映像です。

 画面右上に<実際の映像>というテロップ、納得がいきました。場面変わって「ヘアサロンヨネダ」でも、おなじみの商店街面々が黙とうを捧げていますが、リアル映像を前にした後ではなんだか安っぽく見えてしまいます。

「徐々に忘れられてしまうんかなあ」と聖人(北村有起哉)が心配すると、「しっかりうちらの世代が伝えていきます」と頼もしい菜摘(田畑志真)。結も「うちも花が大きくなったら、あの日のこともちゃんと話そう思っとう」と言っていましたが、結に「おむすびチンして!」以外の話ができるのかはなはだ疑問です。

スーパー管理栄養士の西条さん

 病院では西条(藤原紀香)が、「あ、おむすびちゃ~ん」と結に声をかけてきました。「担当した患者さんのことはほぼほぼ覚えている」(帝国ホテルのドアマンか!)と話すスーパー管理栄養士の西条さんにすっかり感化されてしまった結。

 夜にはキラキラとした目で、「うち西条さんみたいな管理栄養士になる」と翔也(佐野勇斗)に宣言。頑張り屋さんの結ですから、来週はもう管理栄養士になっているのでは、とも思ったり…。

「育児をしながら、働きながら、管理栄養士の勉強をやる。もちろん国家試験やけん、すごい難しいし、簡単には合格できんと思うけど、それでも挑戦してみたい」というのが前振りになっているような気がしてなりません。

 視聴者が見たいシーンを見せてくれないことには定評がある「おむすび」です。超難関国家試験に合格した結はなんて凄いんでしょう~と、ギョっとするようなショートカットもやりかねないのでは。


桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


「ばけばけ」岡部たかしの“芸達者ぶり”に感心…。そして北川景子の夫・DAIGOの登場に期待したいわけ
 病に倒れた雨清水傳(堤真一)。トキ(髙石あかり)は日頃、お世話を焼いてくれる傳への恩返しのため、看病を買って出る。日中...
桧山珠美 2025-10-15 16:30 エンタメ
Snow Manが“客寄せパンダ”と物議も…無視できない多大なメリット。異様に高い“再生数”で海外の注目を集めるか
 韓国の人気音楽番組「ミュージックバンク」(KBS)が主催する12月の「2025 MUSIC BANK GLOBAL F...
こじらぶ 2025-10-14 11:45 エンタメ
【芸能クイズ】再始動のダウンタウンに期待の声。では「笑ってはいけない」第1回の“ペナルティー”は何だった?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...
“超豊作”の秋ドラマがアツい! 大泉洋×野木亜紀子に期待爆発、三谷幸喜の“クセ強ドラマ”はジワ伸びの予感?
 夏の暑さが落ち着き、心地よい夜風が吹くこの季節。ドラマの秋がやってきました!  2025年の秋ドラマは、まさに「...
「ばけばけ」お見合い相手は“べらぼう”の29歳俳優じゃないか!過去“朝ドラ”女優も登場で今後が楽しみ
 両家の親同士も良好な雰囲気で、トキ(髙石あかり)と銀二郎(寛一郎)のお見合いはうまくいきそうな空気に。このままいけば結...
桧山珠美 2025-10-11 12:30 エンタメ
フワちゃんを許すことが“大人”なのか? 非常識な人にブチギレるのは当たり前ではないのか
 Xで芸人・やす子に対して、《おまえは偉くないので、死んでくださーい 予選敗退でーす》と揶揄する投稿をしたことをきっかけ...
堺屋大地 2025-10-10 13:06 エンタメ
永野芽郁、「お兄ちゃん」呼びの“癖”を暴露されて可哀想。“妹アピ”に騙される単純な男が多すぎる件
 今年4月、田中圭との不倫疑惑スキャンダルで世間を騒がせた永野芽郁が、3年ほど前の交際相手・坂口健太郎から二股をかけられ...
堺屋大地 2025-10-09 11:45 エンタメ
「ばけばけ」トキ(髙石あかり)の妄想に一瞬、脳がフリーズ。ほんわかテイストに賛否が分かれそう?
 ついに貧乏脱出のチャンス! はじめてのお見合いに挑む、トキ(髙石あかり)。  司之介(岡部たかし)やフミ(池脇千...
桧山珠美 2025-10-08 14:34 エンタメ
藤井風、92歳の黒柳徹子を“乙女”に変えるフェロモン。ついにシニア世代まで色気がバレたか
 最近、藤井風のことが気になって仕方がありません。9月5日に3rdアルバム『Prema』が発売。それに伴い、9月はメディ...
笑顔がこわい!「ばけばけ」トキ(髙石あかり)の“顔芸”が完璧だった。見どころの一つだと確信した回
 貧乏脱出のため結婚を目指す、トキ(髙石あかり)。しかし、チヨ(倉沢杏菜)とせん(安達木乃)と行った恋占いの結果は一人だ...
桧山珠美 2025-10-06 17:13 エンタメ
平野紫耀らの「脱退発表」から約3年…Number_iとKing&Prince、それぞれの現在地と課題。“二大天然ボケ”不在の影響はあるか?
 2022年11月、King & Prince(以下、キンプリ)から2023年5月をもって平野紫耀(28)、神宮寺勇太(...
こじらぶ 2025-10-05 11:45 エンタメ
「ばけばけ」は“聖地巡礼”したくなる朝ドラの予感。実際にある島根県・八重垣神社の“恋占い”してみたい!
 明治19年。トキ(髙石あかり)は、借金を返すために親戚の雨清水傳(堤真一)が経営する機織り工場で働いていた。しかし、膨...
桧山珠美 2025-10-04 10:42 エンタメ
「あんぱん」アンパンマンは粒あんか、こしあんか…“お遊び”が楽しかった特別編。蘭子の“その後”はモヤモヤだけど
「あんぱん」が終了したと思ったら、早くも翌週の9月29日(月)~10月2日(木)の四夜連続で、スピンオフが放送されました...
桧山珠美 2025-10-04 08:00 エンタメ
「ばけばけ」しめこ汁に“朝から残酷”の声もあるけど…ピーターラビットの話を思い出す
 突如、トキ(福地美晴)やフミ(池脇千鶴)、勘右衛門(小日向文世)の前から姿を消した司之介(岡部たかし)。何日経っても家...
桧山珠美 2025-10-02 15:48 エンタメ
「ばけばけ」は往年の名作を越えられるか? 「虎に翼」から続く岡部たかしの“父親”像が楽しみだ
 この世はうらめしい。けど、すばらしい。没落士族の娘・松野トキ(髙石あかり)と外国人の夫・ヘブン(トミー・バストウ)。怪...
桧山珠美 2025-09-29 17:50 エンタメ
「あんぱん」最終回。半年間、2人を見守ってきた視聴者にはグッとくる場面…ま、終わりよければすべてよし!
 のぶ(今田美桜)の病室に着いた嵩(北村匠海)は、にっこり笑うのぶの姿に胸がいっぱいになる。その後退院したのぶは、嵩に自...
桧山珠美 2025-09-27 15:10 エンタメ