【おむすびにモヤっと】またまたヒロイン結がまるっとお手柄? 高圧的だったDr.森下のあっさり過ぎる改心

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-02-08 06:00
投稿日:2025-02-08 06:00

第18週「おむすび、管理栄養士になる」#90

 潰瘍性大腸炎の入院患者・堀内が食事がまずいと言って食べないことに憂慮する結(橋本環奈)。ある日、堀内の妻から呼び止められ、相談を受ける。

 ここ最近、血便がひどくおなかも相当痛そうで、ずっと喉を気にして食べ物が飲み込みづらそうにしていると言う。

 結は、そのことを担当医師の森下(馬場徹)に伝えたかを聞く。

【こちらもどうぞ】【おむすびにモヤっと】藤原紀香(小百合先生)が消えた! 頼みの綱は情報ツウの看護師・桑原か

【最新回のモヤっと】

ドラマティックな劇伴で感動の押し売り

 ※※以下、ネタバレあります※※

 高圧的なオッサンが、結によって改心? するというこのパターン。私の記憶が正しければ今回が3度目ではないでしょうか。靴屋のナベベ(緒形直人)も、星河電器社食の立川(三宅弘城)も、最初は高圧的でとにかくおっかなく…。そんなオッサンたちもひとたび結の手にかかるとあらあら不思議、すっかり好々爺に早変わり。凄いぞ、結。

 そして、今回です。消火器内科医の森下と、潰瘍性大腸炎の入院患者・堀内、高圧的なオッサンがいっぺんに2人も登場。どうなることやらと思ったら、金曜日(#90)には見事に解決。結、今回もお手柄でした。…と言いたいところですが、湧き上がるのはモヤモヤばかり。

 まずは患者の堀内です。堀内の妻が「最近、前より血便がひどなっているみたい」とか「おなかもかなり痛いみたい」とか「ず~っと喉を気にしていて、食べもんが飲み込みづらそうで」などなど夫の病状を結に伝えます。

「こんなこと栄養士さんに相談してええんかわからないんですが」と前置きしていましたが、これも無理があります。結が「それ担当の森下先生に言いました?」と聞くと、「いえ、あの先生、怖くて。言いづらくて」と。いやいやいや、それはないでしょ。担当医師に言いづらいなら、看護師に言えばいいだけのことで、なぜ結に言うのか理解できません。

 いろいろあって、堀内は息子の差し入れの鰻を食べて窒息&昇天しかけます。なんとか一命を取り留めたところで、結の出番です。

「私たちは患者さんに1日でも早く元気になってもらいたいんです。元気になって大切な人と一緒に、おいしいごはんを食べられるようになってもらいたいんです。だから、わたしたちのこと信じてもらえませんか」って、ごく普通のことを言っているようにしか聞こえないのですが、なぜか堀内は、「わかった。もうわがままは言いません」と改心します。そして、堀内を変えた結に向かって、堀内の妻と息子は頭を下げるのです。

 ここ感動するところですよ、と言わんばかりに大袈裟な劇伴がちゃんちゃらおかしく…。ドラえもんのムード盛り上げ楽団か、と思ってしまいました。

 さらに驚いたのは、森下医師です。「ご家族が話づらい雰囲気を作ってしまい、本当に申し訳ありませんでした」とあっさり謝罪。「俺の患者は俺が決める!」と高圧的だったあの森下は何処へ…。

 終わってみれば、またしても結のお手柄。ヒロインを際立たせるために、周りを無理やり高圧的にしたり、ポンコツにしたり。そこまで持ち上げても、ちっとも好きになれないヒロインって、まったく謎過ぎます。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


「あんぱん」健ちゃん=高橋文哉が“変な髪型”だった謎が解けた。ヤムおんちゃんの過去も気になる…
 ある日、嵩(北村匠海)は銀座のパン屋で草吉(阿部サダヲ)らしき人が写る写真を見つける。朝田家では、豪(細田佳央太)の壮...
桧山珠美 2025-05-07 17:00 エンタメ
「アンパンマン」から山ちゃん降臨! あの挨拶が聞けたのは“子どもの日”のサプライズですか?
 東京高等芸術学校に入学した嵩(北村匠海)は、受験の際に出会った健太郎(高橋文哉)と再会する。担任の座間(山寺宏一)から...
桧山珠美 2025-05-05 12:06 エンタメ
「あんぱん」一瞬のヤムおんちゃんに嵩は気づいたか? 寛の名言が“友蔵の俳句”並みに楽しみな件
 東京高等芸術学校合格発表の日。嵩(北村匠海)は結果を見る勇気が出ず、ひとり座っていた。そこに寛(竹野内豊)が現れる。嵩...
桧山珠美 2025-05-03 16:00 エンタメ
田中圭の不倫疑惑にちょっと待った!「令和の価値観」で永野芽郁との騒動を見てみると…
「週刊文春」のスクープで永野芽郁との不倫疑惑が報じられた妻子持ちの田中圭。  恋愛コラムニストであり、恋愛カウンセ...
堺屋大地 2025-07-03 12:04 エンタメ
永野芽郁が「清純派」って誰が言った? 批判するのはお門違いなワケ。江頭2:50への“涙”も大正解!
 日曜劇場『キャスター』(TBS系)で共演中の韓国人俳優であるキム・ムジュンを自宅に連れ込みお泊りし、なんとその翌日に妻...
堺屋大地 2025-05-02 06:00 エンタメ
「あんぱん」蘭子と豪の秘めたる恋に“過去の名作”を思い出す。河合優実は百恵ちゃんによく似ている
 縁談の返事をしに出掛けた蘭子(河合優実)を連れ戻したのぶ(今田美桜)に、蘭子は本心を明かす。季節は巡って秋になり、うさ...
桧山珠美 2025-05-01 19:16 エンタメ
なにわ男子・道枝駿佑は“肉食女子”から守られたのか?「キャスター」男性俳優陣が気になるよ
 芸能界広しといえども清純派と呼べるのは芦田愛菜だけ。長年、そう訴えてきましたが、今回の一件が図らずともそれを証明したの...
共亜事件は「虎に翼」のオマージュか。あんぱん、ブギウギの3人が同時代を生きている
 昭和11年、家族や嵩(北村匠海)に見送られ、のぶ(今田美桜)は女子師範学校の寮に入る。軍国主義の担任・黒井雪子(瀧内公...
桧山珠美 2025-04-28 18:40 エンタメ
「あんぱん」最後まで毒親だった登美子(松嶋菜々子)。去っていく彼女に問うてみたいこと
 受験したのぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)の明暗が分かれる。静まり返った柳井家で、寛(竹野内豊)たちに頭を下げる嵩。そこ...
桧山珠美 2025-04-26 12:50 エンタメ
春ドラマの評判を調査!『最後から二番目の恋』は令和の鬼渡?『あんぱん』『対岸の家事』の感想は
 2025年4月期も話題のドラマが続々スタート! 多すぎてどれを見るのか迷ってしまう…。そんな人のために忖度なしでドラマ...
「あんぱん」千尋(中沢元紀)は本当に良い子…史実どおりの展開なのか。しょくぱんまんのようなイケメンだ
 けんかした嵩(北村匠海)と千尋(中沢元紀)に、寛(竹野内豊)は改めて後継ぎはいらないと告げる。そして、何をしながら生き...
桧山珠美 2025-04-23 17:51 エンタメ
こうでなくちゃ! 志尊淳の正解を「恋は闇」で見た。いい人よりも“妖しい姿”に妄想が駆り立てられる
 新ドラマ「恋は闇」(日本テレビ系)の志尊淳が良きです。  前クールの「日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった...
「あんぱん」なんて贅沢!今が旬、河合優実の“目で語る”表現力と色気に驚く。俳優・ソニンのEE JUMP感を消した演技も見事
 なりたい夢を見つけたのぶ(今田美桜)は、女子師範学校合格に向けて猛勉強をし始めるが、成績が思わしくなく頭を抱える。同じ...
桧山珠美 2025-04-21 14:23 エンタメ
怪演・市原隼人に「ヤバい超大物」2人が熱烈ラブコール。迫真すぎる“ガンギマリ”の演技がモテる理由か
 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)にて、盲目の大富豪にしてゾクッとする異様な雰囲気を放つ鳥山検校を怪演...
堺屋大地 2025-04-21 06:00 エンタメ
ラランド・サーヤは「名誉男性」なのか? お笑い界の“女すぎる”という悪口に思うこと
 ラランド・サーヤが参加するバンド「礼賛」が大阪で行ったライブで、痴漢行為が発生。被害女性がSNSで被害を訴えたことで発...
帽子田 2025-04-20 06:00 エンタメ