現役芸人が見た『ホットスポット』のすごさ。お笑いのテクをドラマに落とし込む「バカリズム脚本」の妙

帽子田 芸人、ライター
更新日:2025-02-23 06:00
投稿日:2025-02-23 06:00

快進撃を続けるドラマ『ホットスポット』

 バカリズムが脚本を担当したドラマ『ホットスポット』(日本テレビ系、日曜22時30分~)が話題だ。毎回の放送終了後にはSNSでトレンドワード入りし、Netflixの視聴ランキングでは連日1位を獲得したりと快進撃を続けている。

 そこで今回は、かつて年間100本以上のライブに出演し、自身もライブ主催者の経験もある現役の芸人・帽子田が、「バカリズム脚本のすごさ」を芸人目線から解説する。

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バカリズム以降、コントの主流が変化した

『ホットスポット』は2025年1月から放送されているバカリズム脚本のドラマだ。

 市川実日子が演じる主人公・遠藤清美は山梨のホテルで働くシングルマザー。ひょんなことから同僚が宇宙人(東京03・角田晃広)だと知り、秘密を共有した友人たちと騒動に巻き込まれながらも、宇宙人の力を借りて人々の悩みを解決していくハートフルコメディだ。

 もともとバカリズムさんの脚本には定評があり、『架空OL日記』『ブラッシュアップライフ』などで名だたる賞を受賞している。どの作品も切り口やストーリーが面白く、今回の『ホットスポット』も個人的にとても楽しみだった。

 バカリズム脚本のすごいところと言えば、バカリズムさんっぽい「新視点が面白い精巧なコント」をドラマに落とし込んでいる点だ。

 コントにも流派があって、

【1】ぶっとんだ設定や強いキャラクターが中心となるもの(最近で言うとジェラードンっぽいもの)
【2】小道具が面白く、ボケの要となるもの(例:チョコレートプラネット)
【3】派手なキャラクターや小道具は使わないものの、新しい視点で日常や従来のものを面白くするもの(例:かが屋)

 …のようなタイプがある。一昔前はピン芸人のコントは【1】が主流だったが、バカリズムは【3】で頭角を現した。

 ピン芸人こそ強いキャラクターが必要だと思われていたが、高い演技力や高い脚本力でスタイリッシュに笑いを取るバカリズムさんのスタイルに、若手ピン芸人界は大きく変わったように思える。一時期はバカリズム憧れの若手芸人が地下であふれ、今では結構主流になっていると思う。

 このバカリズムの一人コントの魅力である「みたことない設定」「絶妙な言葉選び」「細かいところまで行き届いた描写力」「愛すべきキャラクター」。これを『ホットスポット』の中でも存分に活かしている。

帽子田
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別名義では芸人として活動。一時期は年100本以上のライブに出演、ライブ主催の経験もアリ。一応現役の芸人ではあるが、ただのお笑い、バラエティ番組ファンでもあります。

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