転職10回以上、それでも非正規雇用から抜け出せない。51歳独女が語る『就職氷河期』の理不尽な現実

mirae.(みれ) ライター
更新日:2025-02-24 06:00
投稿日:2025-02-24 06:00

突然閉ざされた就職の道

 私が専門学校を卒業したのは1993年。バブル崩壊は1991年と言われていますが、企業の倒産が本格化したのは1993年で、ここから「失われた10年」が始まりました。バブル期には新卒の就職先が豊富でしたが、就職氷河期になると状況が一変。専門学校の同級生の約80%が就職できないという厳しい現実に直面したのです。

 1歳上の先輩たちは普通に就職できていたため、私たちも未来に希望を持っていました。しかし、卒業のタイミングで状況が急変。自分たちではどうにもできないバブル崩壊の影響をもろに受け、絶望を味わうことになりました。

 求人票は学校に届くものの、いざエントリーしようとすると履歴書すら受け取ってもらえず門前払い。私自身、一社もエントリーできず、仲の良い友人5人のうち就職できたのは、バイト先のコネを使った1人だけでした。結局、私を含めたほとんどの同級生がフリーターやパートタイマーとして社会に出るしかなかったのです。

 新卒で正社員になれなかった影響は、その後の人生にも大きく影響しました。私は転職回数10回以上、それでも非正規雇用から抜け出せず、同級生も同じような状況でした。卒業から10年後に開いた同窓会では、15人中13人が非正規雇用、正社員はわずか1人。さらに、結婚していたのはたった3人で、その後も結婚したのは2人だけ。まさに、就職氷河期世代の現実をそのまま映し出した光景でした。

「努力が足りない」と言われる理不尽さ

 そんな私たちに対し、その他の世代からは、「氷河期世代は甘えている」「努力不足だ」などと言われることがあります。しかし、そもそも就職活動すらまともにできず、ようやく仕事を得ても非正規雇用しかない状況でした。

 非正規雇用は、企業にとって都合が悪くなればすぐに切られ、キャリアも築けず、低収入で生活が不安定。これは専門卒の私だけでなく、当時の大学生ですら同じ状況だったのです。

 1993年当時の大学生の就職率は77%。つまり、4人に1人は正社員になれなかったことになります。一方、2023年の就職率は97.3%。これと比べると、当時の就職環境がいかに厳しかったかがわかります。さらに、その後就職率は急激に低下し、2003年には過去最低の55.1%まで落ち込みました。この数字からも、就職氷河期の過酷さがうかがえます。

 また、今は「第二新卒」として再チャレンジの道がありますが、当時は新卒で就職できなければお払い箱。そんな社会の仕組みの中で、フリーターや派遣社員になった人たちに「努力が足りない」と言うのは、あまりにも無責任です。

 だからこそ、私は声を上げたい。

 就職氷河期を生き抜いてきた人たちの苦労が、なかったことにされるのが怖い。このまま忘れ去られた世代にならないためにも、私はライターとして、この現実を発信していきたいと思うのです。

mirae.(みれ)
記事一覧
ライター
アラフィフのフリーライター。ライター歴は15年以上。いろいろこじれて48歳で処女卒業。現在は性に奔放で貪欲に、独身生活を謳歌中。
X

ライフスタイル 新着一覧


7月大災害説が怖いよ~!一応、100均の「防災グッズ」で備えとこ。旅行にも災害時にも使える救世主3選
 旅行前は100円均一のトラベルコーナーへ行き、使えそうなアイテムをピックアップ。今回手に取ったのは、災害時にも活躍して...
やっちゃってない? 部下に嫌われる上司の「絶対NG」な7つの言動。20代の目はシビアですよ
 今回ご紹介するのは働く若者の声! 20代を中心に「上司にされて嫌だったこと」を聞いてみました。部下に嫌われたくない方は...
「ありがたく拝むがよい」眩しい“神たま”を見せつけるにゃんたま族をパチリ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
侮るなかれ! 花屋が「ホントは教えたくない」名脇役の植物たち。見た目地味だけど外したくない4つの条件
「あまり目立たないけど、そういえばよく見るね」  お花屋さんで購入した花束やアレンジメントの中に、そんなお花やグリ...
うーん…友達と「金銭感覚が合わない」と感じた瞬間。疲れたらタクシーに乗る? 我慢する?
 30年、40年と生きていれば、友達と距離を置いたり縁を切ったりしたこともありますよね。関係が続かなかった友達に対して「...
この倦怠感は自律神経? それとも…更年期の症状は神出鬼没。妊活アプリのように「通知」が来る方法はないのか
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
離婚で「実母と義母」のバトル勃発! 嫁を“敵認定”した義母が放つ衝撃的な一言【身内のありえない発言】
 嫁と姑の付き合い方が見直され、昔ほどフィーチャーされにくくなった「嫁姑問題」。ですが、実際はトラブルが発生しているもの...
「ミスっても死なない!」優柔不断とおさらばする“前向きマインド”5つ
「優柔不断な性格を直したい…」「いつもクヨクヨ悩んでしまう」こんな悩みを抱えている優柔不断な方、集合! 優柔不断を改善す...
“神たま”のそば、羨ましいでしょ? 進むたび揺れる「にゃんたま」をソッと撮るお仕事です
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
わかるけど…LINEの「疲れた」アピールにウンザリ。愚痴って対応に困るんです!
 何気なくする“疲れたアピール”は、ときに人を困らせてしまうもの。相手に遠慮や我慢をさせてしまったり、無理させたりする場...
仕事一筋の私が『対岸の家事』詩穂に共感した理由。くだらない「専業主婦vsワーママ」対立してる場合じゃない
 多部未華子さん主演のドラマ『対岸の家事』が6月3日に最終回を迎えた。毎回放送されるたびに話題になり、SNSを中心に視聴...
ストゼロでも消えない死への恐怖。介護に離婚…友人それぞれが歩む人生に救われた夜。人が最後に行きつく先は
 学生時代から今に至るまで赤羽に20年住む百恵。非正規雇用、独身だが、行きつけのスナックが居場所となり、不自由なく暮らし...
48歳、乳がん検診の「要精密検査」に衝撃。独居暮らし男の孤独死に重なる…誰にも看取られない恐怖
 学生時代から今に至るまで赤羽に20年住む百恵。非正規雇用、独身だが、行きつけのスナックが居場所となり、不自由なく暮らし...
40代は“知人の訃報”がくる年齢だ。憎んだ男の「死亡通知書」で20年ぶりに集う同級生、独身の私はどう映る?
 板チョコのような重い扉を百恵が開けると、真っ赤な口紅を施したママさんがいつものように明るく出迎えてくれた。 「い...
「20年モノのフライパン」がかっこいい? 貧乏戦線に異状あり!
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...
お酒の席の“あのルール”に物申したい! グラスに注ぐベストタイミングは…
 働く側としても、お客さんとしても大好きなスナック。今後も良いところをどんどん書いていければと思っているのですが、今回は...