恋人の息子となら暮らせるかも
「ちょっとおかしいかもしれないですけど、絢子とは暮らせないけど、絢子の息子となら暮らせそうな気がしますね。
まぁ、現実的には実現しないでしょうけどね。気持ち的には、そんな感じです。
絢子とは…、うーんどうだろうな…、たまに会って食事したりする程度なら大丈夫なんですけど、一緒に暮らすのはキツイだろうなあ…。
僕ね、もしかすると女性と暮らせないのかもしれないですよね。だって絢子の息子は守ってあげたいな、とか成長を手伝ってあげたいなとか思っちゃうんで。
絢子の息子は、絢子が離婚したときから父親との交流がないって聞いていて、最初はそんな境遇に同情したんですよね。ところが接しているうちに、同情以上の感情が湧いちゃって。
なんていうか、自分の息子じゃないのに、すごく愛おしいんですよ。変ですよね。まあ自分の子どもをもったことがないので、この感情がなんなのかよくわかってないですけど」
恋人の代わりはいるけど…
「批判を恐れずに話すなら、絢子の代わりはいても絢子の息子の代わりになる人はいないと思うくらい、親近感が湧いている」と口にするトシキさん。
しかし絢子さんとの距離を今よりも縮めるのは難しいとも感じており、トシキさんなりに葛藤をしていると言います。
「どうなんでしょうね、このまま僕が絢子と一緒にいても籍を入れることは多分ないから…。そうなると、あの息子とも法律上の親子になる可能性は限りなく低いですよね。
だけどあの息子とは、離れたくないなって気持ちが強いんですよ、成人になるまで僕が見届けてあげたい。
そんな都合のいい話が通るのかはわからないですけど…。これが今の素直な気持ちです」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
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