渋谷はちょっと苦手になった更年期おばさん。着実に老化現象が進む予感!

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-04-09 06:00
投稿日:2025-04-09 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第25話は「渋谷はちょっと苦手」。

渋谷が苦手という老化現象

「渋谷はちょっと苦手」そんな歌詞の曲が90年代に流行ったことを思い出す。あれから30年近く経って、立派な中年になった私はちょっとどころか、渋谷は苦手になってしまった。これも老化現象なのだろうか。

 20代で上京してから世田谷区内を転々と住んでおり、渋谷は比較的よく出かける街だった。東京都内には他に新宿、池袋も合わせた副都心という繁華街が存在するが、断トツで渋谷派。というのも出版社社員時代、私の配属先は渋谷ギャルファッション誌で、ギャルといえば渋谷が聖地であり、主戦場。女子高生たちの生態を追いかけることが恒常化していたので、自然と編集部員の私も渋谷に入り浸り、街に詳しくなっていた。

 打ち合わせ、買い物、ブレイク、食事。「とりあえず渋谷に行こうか」と出かけていた街だったのに、ここ数年でなぜ足が遠のいてしまったのだろう。都内に住んでいる40~50代の女性であれば、少しは感じたことがあるかもしれない。

【こちらもどうぞ】おばさん特有の顔のたるみ対策。松たか子を目指し「ウ・イ・ス・キー」を唱えてみようじゃないか

JR渋谷駅は巨大迷路

 自分がなぜ渋谷を避けるようになったのか理由を考えてみた。まず挙げたいのが、渋谷駅の迷路化である。ここ数年間、東急電鉄による渋谷駅の都市開発が止まらない。地上を見上げれば同じような見た目のビルが、ニョキニョキとつくしのように並び、青空を消している。「一体、どこを開発しているのか…?」と疑問に思いながら、足早に駅へ向かうと響き渡る工事音。ただでさえ中心部は騒音にまみれているのに、止まることのない工事も相まって、友人との話し声も聞き取りにくい。

 釈然としない気持ちを抱えたまま、移動のために駅へ辿り着くと今度は頭脳戦が始まる。JR線に乗って移動したいだけなのに、すべての乗り場は工事のため、分散化。少し気を抜くと目的とは違う乗り場に到着している自分がいる。通勤、通学で毎日いたら慣れるのかもしれないが、私のように時々JR線を利用する身にとって、ここは巨大迷路。80~90年代にかけて全国で大流行したレジャー施設である。当時、家族や友人と出かけていたけれど、毎回苦戦したうえに、クリアできなかった不器用な私には大して楽しくはなかった。あれから40年以上過ぎたのに、また同じ気持ちを生活圏内で味わうことになろうとは。

 しかも渋谷駅の怖さは出かけるたびに、少しずつ出口や乗り場が変わっていることだ。やっと私鉄からJRの乗り換えルートを記憶したのに、わずかな期間でまた新工事が始まっている。これはおばさんに向けた脳トレか。

 駅の迷路化もさることながら、渋谷駅が苦手になっている理由に観光客の増加がある。聞こえてくる会話の言語は多種多様、私のようなぼんやりした風貌のおばさんは容赦なく道を尋ねられて、時間を取られてしまう。

「Hi,Excuse me」

 すみませんと言われましても、こっちだって急いでいる。

 アルコールを片手にスクランブル交差点を闊歩する外国人たち。ここは異種文化の交流地点か。故・エスパー伊東が入っていそうなビッグサイズのスーツケースを転がしながら、スマホで動画を撮っている観光客を見ていると、なんとも言えない気持ちになる。「…ここ、ただの交差点だよ?」。件の渋谷ギャルファッション誌の編集部員時代、この交差点で数えきれないくらいスチール撮影をしていたと言ったら、誰も信じてくれないだろうな。単に混んでいることが苦手なわけではなく、胃もたれするような混雑にどうも納得できていない。

これが私のアーバンライフ

 他にも道玄坂の治安が急に悪くなってしまったこと、中年には買い物がしやすかった東急百貨店の閉店なども、渋谷との疎遠を加速させていると感じる。それなら「行かなきゃいいじゃん」と言われて、ハイ、それまでよ。でもね、おばさんたちにとっては大人の青春を過ごしてきた愛しい街。今までのように「何かといえば渋谷」とはならないけれど、これからは適度な距離と、渋谷へ出かける目的を持って付き合っていきたい。世田谷区に引っ込む率が年々加速しているけれど、これが我流のアーバンライフ。東京都民だからといって、毎日渋谷にいるわけではないのです。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「夜職だって立派な仕事」それ、本気で言ってる? 水商売への “本心”に気付いてしまったスナック嬢の独白
 最近は本当に“キラキラ夜職”が表に出る時代になりましたね。が、私は本当に危ないと思っています。 「そんなことない...
私が『愛の、がっこう。』に重ねた親との苦しい関係。振り返ってわかる“完璧じゃない”からこそ得られたもの
 フジテレビ系で放送されたドラマ『愛の、がっこう。』を観ながら、ふと「わたしの親も、今で言えば“毒親”だったのかもしれな...
スター猫になれるかな? 夢見るハチワレ“にゃんたま”の練習風景をチラリ☆
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
浮気を警戒したら逆ギレ!?  私が「絶対に謝りたくない」と思った瞬間7選。何でこっちが悪者なの?
「仕方なく謝ったけど…これ私、悪くないよね?」誰しもそんな気持ちになったことがあるのではないでしょうか。  今回は...
30代はご褒美ボディケア、中年女は塗り薬まみれ。色気から進化した風呂上りの「おばケア」事情
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
定時で帰っていいよ→役立たずってことですか!? 職場で出会った「めんどくさい女」図鑑。扱いに困るよ~
 あなたの周りに“めんどくさい女”はいませんか? 今回は体験談を交えながら、接し方に困る女性の7つのケースをご紹介します...
女性の“性”は「下ネタ」なのか? タブー視する社会に言いたい、語り合うことで生まれる安心感
 性の話題は「恥ずかしい」「隠すもの」とされがちですが、思い切って触れてみると、不思議と距離が縮まります。普段は口にしづ...
45歳、いつになれば楽になる? 自由に生きてるはずの私が、定食屋の秋刀魚で涙を滲ませた理由
 踊り子として全国各地の舞台に立つ新井見枝香さんの“こじらせ”エッセーです。いつでも、いついつまでも何かしら悩みは尽きな...
月経不調はストレスで悪化する? “脳疲労”と生理痛を軽くするセルフケア【専門医監修】
「生理痛はいつものこと、仕方ない」「PMSは気のせい」--などとガマンしてそのままにしていたり、鎮痛薬でやり過ごしたりし...
“推し”は最初から決まっていた…元芸能人が明かす「オーディション番組」の過酷な裏側と選ばれる子の共通点
 世間を揺るがす芸能界のさまざまな噂。ニュースとして報じられ、真実が明らかになることも増えました。現在は清浄化が行われて...
「お尻トントン、もっと~!」可愛すぎる“にゃんたま”の甘えに抗えない♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「寝てるカナ!」「ぁりがとぅ」それ、なんとかならん? Z世代が震えた“大人のクセ強”LINE6選
 流行り言葉は目まぐるしく移り変わりますが、やっぱり受け入れられない言葉はあるもの。今回は、どうしてもモヤモヤしてしまう...
「生理痛で婦人科に行くなんて大げさ」は間違い。月経不調の陰に潜む病気のリスク【専門医監修】
「月経前や月経中の腹痛がひどい」「頭痛や気持ちがわるくなったりする」「イライラが止まらない」…そんな月経にまつわる不調を...
【動物&飼い主ほっこり漫画】第103回「みんなで百物語ニャーン!」
【連載第103回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽの...
【漢字探し】「鎌(カマ)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★☆☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
40代、気づいたらぼっち…まぁ、仕方がない3つの理由と“新しいつながり”の見つけ方
 40代を過ぎてから「友達が減った」と感じていませんか? 学生時代に親友と呼べるほど仲の良かった友達でも、気がつけば年賀...