「色白のお肌がいっそう映えますね」呉服屋・イケメン若旦那は熱海の旅館でマクラ営業? #2

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2025-04-11 06:00
投稿日:2025-04-11 06:00

特別な存在になりたい

 その日、静香さんは下着を工夫したという。

「着物の下にいつもつけているキャミソールとペチコートを省いていったんです。通常、着物の下は『肌襦袢と裾よけ』のみですが、航平さんが接客するようになってから、恥ずかしさゆえにキャミとペチコートもまとうようになって…。

 でも、彼に少しでも『女』を感じてほしかった。単なる客ではなく、恋愛対象として見てほしくて、その日は思いきって下着の分量を減らしました」

 帯が解かれ、袷を開いた着物が床にふわりと落ちた。航平さんが「あっ」と目をしばたたかせるのが分かったという。白の肌襦袢と裾よけに彼の手が触れると、静香さんは声を震わせながら「航平さんの特別な存在になりたい」と呟いた。

 そこからの展開は早かった。

――静香さんは僕にとって、大切な女性です。

 そう耳元で囁かれた。あっと思った時には、彼の手が下着にかかった。衣擦れの音がその瞬間ほど艶やかに聞こえたことはない。鏡に映る自分の肌がしだいに紅潮していく。あまりの嬉しさと恥ずかしさに、静香さんは目をつむった。

男女の関係になって

「ふすま一枚隔てた個室で、私たちは男女の関係になりました。航平さんは…すごく優しかった。まるで宝物を扱うように私を導いてくれました。ふすま越しに聞こえる女性客と男性スタッフの談笑がいっそう私を熱くさせて…。

 その後、何事もなかったように彼が勧める訪問着をまとったんです。美しく着付けをしてもらったのち、鏡を見た彼がまぶしそうに目を細めました。

――静香さん、とてもお似合いです。あなたを独り占めできるご主人が羨ましい。

 彼の笑顔を見ながら、私は泣きそうになりました。さっきまで男女の関係だったのに、すぐに夫の存在を出すなんてひどすぎる。

訪問着だけでなく…

――もう…いじわるな人。

 思わず眉をしかめました。

――僕はウソは言いません。

――もっとタチが悪いわ。

――ははっ、誉め言葉として受け止めます。

――もう…(笑)。

 結局、私はこの訪問着を購入。それだけではなく、帯と帯締め、帯揚げも選んでもらいました。そして『せっかく熱海まで来たのだから』と、フォーマルな色留袖、それに合う帯やバッグや草履なども購入してしまって…」

蒼井凜花
記事一覧
官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
オフィシャルサイトYouTube

関連キーワード

ラブ 新着一覧


恋愛で“キャパオーバー”になる人の特徴。「別れたい。疲れた」と相手を責める前に原因を探ってみて
 恋愛でキャパオーバーになると、好きでも別れを考えてしまったり、なんでもネガティブに考えたりしてしまうもの。そんな自分に...
恋バナ調査隊 2025-05-12 06:00 ラブ
40女が彼氏に“ドン引き”された7つの瞬間。「映え」のために借金って!
 今回ご紹介するのは、40代の彼女を持つ男性の不満。直接彼女には言えないけれど、ひそかに蛙化することがあるようですよ…。...
恋バナ調査隊 2025-05-11 06:00 ラブ
距離の詰め方でバレてるよ! 男性の「下心LINE」を見抜く3つのポイント
「真剣交際する気がない下心満載の男は、相手にするだけ時間の無駄」。そう考える女性たちに、LINEで男性の下心を見抜くポイ...
恋バナ調査隊 2025-05-11 06:00 ラブ
「浮気は絶対に許さない」夜、年下妻をチェックして…58歳夫が信じる不倫防止策
「冷酷と激情のあいだvol.245〜女性編〜」では、15歳年上の夫から「身体を見せろ」と要望を押し付けられる明美さん(仮...
並木まき 2025-05-10 06:00 ラブ
アラカン夫が気持ち悪い。43歳妻が悩む“ある要求”とは「レスは大歓迎だけど…」
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2025-05-10 06:00 ラブ
付き合う前のLINEを見せて! 相手の“脈あり”ポイントはここだった。追いメッセは好意の証?
 意中の男性とLINEをしている人は「彼は私をどう思ってるのかな?」と気になるでしょう。  そこで今回は、付き合う前の...
恋バナ調査隊 2025-05-10 06:00 ラブ
「地獄に堕ちてもいい」45歳主婦が不倫をする覚悟。義弟と決めた“愛し合うため”の3つのルール #3
 直美さん(45歳主婦/子供ナシ)は、水商売から保険会社を経て、34歳のときに資産家の勝久さん(55歳)と結婚。しかし、...
蒼井凜花 2025-05-09 06:00 ラブ
不倫男性が見せる「終わりのサイン」6つ。急に忙しくなる…もしや別れの合図じゃない?
 不倫中の女性は「彼といつか一緒になれるはず」と期待しているでしょう。でも、彼にこうした姿が見られたら、関係は終わりに向...
恋バナ調査隊 2025-05-09 09:45 ラブ
やっぱり男性と一緒のベッドで眠りたい…そんなアラフォー・アラフィフ女性が増えた切実な理由
 アラフィフやアラフォーになってから、「ひとりで眠りたくない」と言う女性が増えています。今まで別々だったベッドルームをひ...
内藤みか 2025-05-08 06:00 ラブ
「LINEやってない」は嘘バレバレ。教えたくない時の“角が立たない”かわし方6つ
「LINEを聞かれたけど教えたくない…。どうにかしてかわしたい…!」このように、連絡先を教えたくない相手からLINEを聞...
恋バナ調査隊 2025-05-08 06:00 ラブ
熟年離婚する夫婦の「残念な共通点」。今から回避する術はあるの?
 長年連れ添ってきた夫婦でも、些細な出来事がきっかけで「熟年離婚」に至るケースも。今回は、熟年離婚する夫婦の特徴と回避す...
恋バナ調査隊 2025-05-06 06:00 ラブ
不倫女に直撃! ズバリ「相手の奥さんへの罪悪感」ってあるんですか?
 夫の不倫に頭を悩ませている女性もいるはず。中には「相手の女はいったいなにを考えてんの⁉」と、夫の不倫相手のふてぶてしさ...
恋バナ調査隊 2025-05-05 06:00 ラブ
忘れたい…好きピへの「黒歴史」LINE3選。深夜のポエムで恋は終わった
 あなたには、好きな人へ送ったLINEで後悔しているものはあるでしょうか?  恋愛経験が少なかったり年齢的に若かったり...
恋バナ調査隊 2025-05-04 06:00 ラブ
義両親とは「同居NG」のはずが…夫からの要望を“離婚せずに”拒否したい(45歳・パート勤務)
 首都圏在住の45歳パート勤務です。夫は52歳の会社員、高校生の息子と中学生の娘の4人暮らしです。  夫とは結婚相...
植草美幸 2025-05-03 06:00 ラブ
「物価高でねぇ~」じゃない! バブル時代が抜けない49歳男の浪費癖。アルバイト生活が目の前に…
「冷酷と激情のあいだvol.244〜女性編〜」では、事業が下降の一途でも浪費を続ける夫・ヨシツグさん(仮名)に強い不満を...
並木まき 2025-05-03 06:00 ラブ
夫が「パパ活」してるかも…赤字でも生活水準を下げられない44歳妻の苦悩。高級車やゴルフ三昧にウンザリ
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2025-05-03 06:00 ラブ