どうやって輸入を増やすの?
「まあ、収入を増やすしか解決策はないんですよね。だから、妻は1日も早く僕に動いてほしいみたいです。
でも僕はこれまで営業活動ってやったことがないし、ずーっと1社との取引だったから、新たに営業に行く先だってありません。
本業で売上を増やすのは結構難題です。まあ、あんまり妻がうるさいから、『仕事が入りそう』とは言ってますけど、いつまでその誤魔化しが通用するか…。
家計がかなりヤバいことは認識していますよ? でも、どうやって収入を増やしたらいいのかわからなくて」
困惑した表情でヨウスケさんは続けます。
身が持たない!
「今さらアルバイト生活もないじゃないですか。
紗希子は僕に、深夜の飲食店や休日の日雇的なバイトなら、本業と時間がかぶらないからと勧めてきますけど。
睡眠時間や休みを削って働くなんて、身が持ちませんよ。
僕は50歳間近の中年ですからね、無理をすれば体にガタがきちゃうのは目に見えているし、かえって損失が大きくなっちゃいます。
本業に影響が出て致命的ミスでもしたら、あっさり取引終了ですから、そっちのほうが怖い」
ヨウスケさんは憤りながら「妻は中年の現実が見えていない」と訴えます。
人生そんなに甘くないのに
「紗希子は5歳も年下だから、正論ばかり押し付けるんです。現実をちゃんと見てほしいですね
どうにもならないことってあるでしょう。何もかも理想通りに進めば、人生に苦労はないですよ。リアルな人生って、そんな甘くない。
今はみんなが苦しい時代になっちゃったし、生活の規模を縮小するほうが現実的じゃないですかね。
あと10年、僕が若ければ、家計の足しにバイトもできたかもしれない。
でも、今の僕には無理です。それにバイトって結局は、一時しのぎでしかないし。
これからどんどんトシをとっていくのに、月に数万増えたところでねえ…」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
ラブ 新着一覧