不倫相手は女装おじさんです。28歳ホステスが“女同士”の恋に落ちた理由「深紅のレースに目を奪われて…」#1

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2025-05-16 06:00
投稿日:2025-05-16 06:00

越路吹雪を熱唱する人物は…

 そのうち、カラオケで越路吹雪の『ろくでなし』が流れてきたという。

 菜々美さんは続ける。

「『ろくでなし』はシャンソンが好きな私の母の十八番。家族や仲間内のカラオケ大会では必ず母が歌う思い入れのあるナンバーです。

 とても歌唱力があり、とっさに視線を向けると、アラフォーと思しきスレンダーな男性客がスポットライトの下で歌っていました。

 赤いチャイナドレス姿に短髪の彼は、薄いメイクながら彫りの深い顔が魅力的なイケオジ。そのうえ、深いスリットから見える脚がほっそりとしてキレイ。店内は歓声に包まれました。それに応じるように、彼はドレスの裾をチラリとめくって見せるんです(笑)。ベージュのストッキングごしに見える深紅のレースが、これまた艶っぽくて…」

 ビジュアルと歌唱力、サービス精神に、菜々美さんは大きな感動を覚えた。

「歌い終わると、大歓声が沸き起こりました。ほろ酔いの私も、感激で大きな拍手をしていたんです」

 本来だったら、ここで盛り上がって終わりのはずだったが、思わぬことが起こった。夜中にも関わらず、塩川さんのスマホが鳴ったのだ。

2人でカウンターに

「一度、店外に出た塩川さんは『菜々美ちゃん、ごめん。仕事でトラブルがあったようだ。僕は行かなきゃいけないが、君はもう少し楽しんでいきなさい』とママに呑み代を払い、私にはタクシー代を握らせて店を出ていったんです。

 結果、ママは『せっかく来てくれたんから、もう少し吞んでいって』と、『ろくでなし』を歌っていた彼を紹介してくれて…」

 2人はカウンターに並んで、呑みはじめた。

――はじめまして、塩川さんの連れの菜々美と申します。

 私はいつもの習慣で、店の名刺を渡したんです。

――ありがとう、直樹と申します。この店ではナンシーって呼んでね。

 直樹さんはオネエ言葉ですが、丁重に名刺を受け取ってくれました。

――歌がお上手で聞き入ってしまいました。ろくでなしは母の十八番なので、特別な思い入れがあるんです。

――まあ、お母様、素敵な趣味ね。私も大好きな歌なのよ。

――あの…このようなお店は初めてで、失礼な質問かもしれませんが、いつもオネエ言葉なんですか?

蒼井凜花
記事一覧
官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
オフィシャルサイトYouTube

関連キーワード

ラブ 新着一覧


彼の心が欲しい…! いくら貢いだら私のものになってくれるのか問題
 最近、男性に貢ぐ女性が急増しています。ホストや出張ホストや、メンズコンカフェスタッフ(コンカフェは「コンセプトカフェ」...
内藤みか 2023-05-04 06:00 ラブ
友達止まりはもうたくさん!恋愛対象だと意識してもらう方法
 好きになるなんて思ってもいなかったのに、一緒に飲んだり、話したりするうちに好きになってしまった……。しかし、どうも自分...
若林杏樹 2023-05-03 06:00 ラブ
恋愛向きの男と結婚向きの男 私の選択は正しかったはずなのに
「恋愛と結婚は違う」    これは昔からよく言われているので、一度は耳にしたことのある言葉ではないでしょうか。 ...
豆木メイ 2023-05-02 11:32 ラブ
「婚活やめる」と宣言したい…心がポキッとなる“根本”理由と解決策3つ
「本気で婚活を頑張っているのに全然うまくいかない!」「成果がでなくてモチベーションがはだだ下がり」「もう、婚活やめたい!...
恋バナ調査隊 2023-05-01 06:00 ラブ
引き出物は夫婦のフィギュア♡ 新婚から届いた“脳内お花畑”LINE3選
 結婚は、女性の人生の中でも幸せの絶頂といえます。愛する彼と一生を添い遂げる誓いを立て、まさにラブストーリーの主人公のよ...
恋バナ調査隊 2023-04-30 06:00 ラブ
慰謝料を払う覚悟はある不倫妻 それでも夫の離婚宣言に“無反応”なワケ
「冷酷と激情のあいだvol.140〜男性編〜」では、年下の男性と不倫関係を続けている妻・楓さん(39歳・仮名)に対して強...
並木まき 2023-04-29 06:00 ラブ
「妻は年下男と不倫中」財産と親権は絶対死守したい夫の離婚大作戦
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2023-04-29 06:00 ラブ
夫婦で“子なし”の人生を選んだけど…それでもDINKsのデメリットは?
 今は、「結婚するのが当たり前」という時代ではなくなりました。結婚したとて、子供を持つかどうかも自由。DINKsを選択す...
恋バナ調査隊 2023-04-27 06:00 ラブ
ChatGPTに「既読スルーする彼へのLINE」を考えてもらったら
 話題のChatGPT。チャットで依頼すると、AIがさまざまな回答をしてくれる、とてもありがたいサービスです。まるで人間...
内藤みか 2023-04-27 06:00 ラブ
長年彼女がいない男は狙い目? 付き合うメリットとデメリット
 イケメンやモテ男との恋の駆け引きって疲れますよね。  次の恋愛はどんな人がいいか考えた時、長い間彼女がいない男性...
若林杏樹 2023-04-26 06:00 ラブ
レス夫婦ドラマ「あなたがしてくれなくても」は自分事過ぎて身が入らない
“夫婦のセックスレス”がテーマのドラマ「あなたがしてくれなくても」(フジテレビ系、木曜22時~)の放送が始まりました。皆...
豆木メイ 2023-04-24 16:41 ラブ
一生に一度の大恋愛のはずが…別れた後の“ズタボロ”から立ち直る方法
 禁断の恋や、憧れだった彼との恋に略奪愛……燃えるような大恋愛でも、別れを迎えることはあります。いつもの失恋とは比べもの...
恋バナ調査隊 2023-04-24 06:00 ラブ
返信は「笑」の一文字!男と女「別れの匂わせ」LINE実例3選
 これまで付き合ってきた彼氏に「別れよう」と切り出すのは、勇気がいるものですよね。「逆上するんじゃないか」「ひどく傷つく...
恋バナ調査隊 2023-04-23 06:00 ラブ
バツ2男性との恋愛はやばい?ソッコーで探りを入れたい3カ条
 好きになった男性がバツ2だった場合、「離婚したのには、それなりの理由があるはず……」と構えてしまう女性は多いですよね。...
恋バナ調査隊 2023-04-22 06:00 ラブ
「体の相性、最悪だよね?」4年間、週1の“務め”に耐え続けた妻の限界点
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2023-04-22 06:00 ラブ
「週1で妻を抱く運用が苦痛」仮面夫婦を終わらせたい男のわがままな作戦
「冷酷と激情のあいだvol.139〜女性編〜」では、結婚当初からずっと体の相性が悪い夫に対して限界近くまで嫌悪感が増して...
並木まき 2023-04-22 06:00 ラブ