内野聖陽が見せる父親の背中…15年ぶり主演ドラマ「PJ」は《パワハラ》《愛情》《ホームドラマ》の「ちゃんぽん」だ
春ドラマの中では4月24日という遅めのスタートとなった、テレビ朝日木曜劇場「PJ~航空救難団~」(木曜夜9時)。内野聖陽(56=写真)が15年ぶりのテレ朝連ドラ主演、航空自衛隊の救難員を目指す訓練生を指導する主任教官・宇佐美を演じている。
世帯視聴率8.8%(関東地区=ビデオリサーチ調べ)の好発進となった初回放送後から、《あの熱血というか暴力的な指導は時代錯誤》《完全にパワハラ肯定ですね》など辛口の意見が目立ったが、その一方で《厳しさの中にも愛情があるし、時折見せる優しさがいい》《内野さんが「きのう、何食べた?」で演じたケンジとのギャップに萌える》など好意的な声もあり、賛否両論といったところ。映画やドラマレビューサイトFilmarksでは5点満点で3.4(5月21日現在)と、可もなく不可もなくのようだが……。
「パワハラと指摘されるのはある程度、織り込み済みだったと思います。ただ、劇中で宇佐美が言っていたように、救難の最後の砦となるPJは理不尽な自然に立ち向かうのだから、厳しさは当然。パワハラに見えるような指導も、きちんとした根拠が描かれていくと思います」と語るのはテレビコラムニストの亀井徳明氏。さらに亀井氏は「それよりも内野さんの役作りの凄さに注目したいですね」と、こう続ける。
「内野さんがケンジ役でインパクトを残した後、他のドラマの現場で西島秀俊さんと共演した時に『ケンジなんだろ?』って耳元でささやかれたそうです。その時の内野さんの返しが『俺はもう細胞から変わってるから、やめてくれ』と。カメレオン俳優と呼ばれる人は何人かいますが、細胞から変わると自覚するほどの役作りは並大抵ではありません。今回の宇佐美教官も、過酷な現場で命を守ることになる訓練生に厳しく接する一方で、父親としての表情もたくさん見せてくれます」
世のお父さんたちがグッと来るエピソード
さらに亀井氏は、15日放送の第4話の展開を「GP帯のドラマとしては珍しい構成だった」と話す。
「全編ほぼ山岳訓練の描写だったんですが、足をくじいたり倒れたりする訓練生が出たりしたものの、ハラハラドキドキの展開もなく、無事ミッション終了。“八甲田山”までは無理でも、これまでの連ドラなら、手に汗握るような緊迫の場面があってもおかしくないのに、あえてそうしなかったのは新鮮でもありました。訓練生の過酷さをデフォルメするような派手が演出もなかったのは、何か意図があったかもしれませんね」
その第4話では、吉川愛(25)演じる宇佐美の娘・勇菜が父親を認めるシーンもあった。この“娘の成長”は、同じ週の「続・続・最後から二番目の恋」(フジテレビ=月曜夜9時)でも描かれた、世のお父さんたちがグッと来るエピソードだ。
「そうなんですよ。ほぼ鬼教官と訓練生の話なんですが、変に恋愛要素がないぶん、父と娘の関係性がスパイスになっていて、ホームドラマ的な側面もあるんですよね」と亀井氏。
開始当初は《海猿の焼き直し?》なんて声も一部にあった「PJ」だが、見るべきツボはいくつもありそうだ。このところオジサン俳優の活躍が目立つが、やはりドラマにも説得力が出る。《パワハラだ》なんて言ってリタイアするよりも、“リアタイ”してみるのもいいかも?
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西島秀俊(54)と内野聖陽が演じたゲイカップルには視聴者からの絶賛が集まった。【もっと読む】テレ東「きのう何食べた? season2」西島秀俊と内野聖陽の“距離感”に注目…では、当時の絶賛ぶりを伝えている。
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