怒った中年の顔は「ブス」だと知った。更年期世代がイラついた時にするべき大事なアレ

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-06-11 12:26
投稿日:2025-06-11 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第34話は「メンヘラじゃないのよ、更年期は」。

更年期の思考回路はぐにゃぐにゃ

 更年期は冗談なのかと思うほど、イライラ、カリカリして、時にとてつもなく落ち込んでいる。この状態を可視化した自律神経のグラフは、きっと不規則なペースの大きな波を描いているはず……。一見するとメンヘラと勘違いされるけれど、そうではない。何かに心身を采配されてしまっていて、自分ではコントロールできないのが更年期だ。

【こちらもどうぞ】おばさん、「ストロング系」缶チューハイを初体験。悪い予感は的中…若者世代に人気でも中年は敵わない

 イライラ現象も人によって違うとは思うが、私の場合は些細な事柄を考え出すと、止まらなくなるときがある。先日もふと出版社からの未入金に気づいた。その瞬間、脳内にさまざまな思考が打ち上げ花火のようにバンバン上がる。怒っている私、怯えている私、穏やかな私とさまざまな人物が脳内に登場。

(怒)「うわ〜、これ私が計算して言わなきゃいけないんだよね」
(穏)「そもそも担当者の怠惰じゃん…」
(怯)「でも言ったら面倒くさがられるよなあ」
(怒)「私が悪いわけじゃないのに!」

 自問自答を繰り返して数十分経過して時には「あ〜、こんな面倒なら死んだほうがいいのか」と、ごくごく稀に希死念慮さえわく。で、ハッと冷静ではない自分に気づく。元々、いつも何か考えている脳の持ち主ではあったけれど、45歳を超えて、更年期に突入してからは気分のアップダウンが日々激しくなっている。自律神経は大忙しだ。

 前述のような脳内ひとり劇場だけではなく、メールの文章にも表れる。そもそもビジネスメールに愛想なんぞ無用、要件さえ相手に伝われば問題は生じない。だけど文面に滲み出てしまう怒りは確実にある。「怒ってる?」「なんか高圧的?」と相手が受け取ってしまう、こちらもそう受け取って読んだ記憶がある、あれ。

 先日もクライアントからとある案件について、メールがあった。何度も同じような質問を繰り返し、「こんな初歩的な情報も知らんのか」と思わせる質問を送ってくるメールのやり取りに辟易。気がつくと脳内には(怒)しか飛び交っておらず、無視をするわけにもいかないメールにイライラしながら返信をしていた。

「忙しいとこ、ごめんね」

 相手の一言でハッと我に返る。自律神経のグラフで言う、副交感神経が優位になってくれたらしい。

「すみません、こちらこそカリカリして。言い訳になりますけど、更年期が顔を出して。あのメンヘラとかじゃないんです…」

「いやいや全然」

 旧知の仲の編集者だったので、理解をしてくれたけれど、違う人だったら悪印象のまま、仕事を失っていたかもしれない。他にもカッと頭に来てP Cマウスを壁にぶつけて壊してしまった経験も。そう、更年期の女性とはまるで尖ったナイフ。

 怒りの情動だけではなく、最近よく泣くようにもなった。「年だから」とスルーしていたけれど、ドラマを見て号泣、情報番組では母親を葬式で見送るシーンを見て嗚咽している。そんな自分を総括すると、イヤイヤ期と思春期を経て、人生3回目の反抗期を迎えているみたいだ。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「一緒にいると疲れる人」の正体。距離を置くべき6つの特長、当てはまったら改善を!
「誰とも深い関係になれない」「付き合いが長くなると相手に距離を置かれる」と悩んでいる人は、一度自分の性格や言動を振り返っ...
それ、ミドルエイジ・クライシスじゃない? 40代の焦りや不安を乗り越える5つの方法
「40代、もう若くもないし体力もなくなってきたし、何をしても楽しく感じられない…」「毎日ルーティーンのような退屈な日々を...
並んだ猫の“たまたま”がキュートすぎる♡ シッポが上がった瞬間をパチリ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
幼き日、帰り道の記憶
 幼き日、帰り道の記憶――。  僕らのこどもの時代を思い出してみる。
嫁に「ブス!」「出来が悪い」モラハラ義母から身を守る4つの方法。なめられないために、どうする?
 義母との関係は、なかなか難しいものです。 中には、人をなめているのか、嫁いびりがストレス発散になっている姑も…。
【女偏の漢字探し】「振」の中に隠れた一文字は?(難易度★★☆☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
トホホ…義母へのLINEは後悔の嵐。「いつでも来て」は社交辞令なのに!
 今回お送りするのは「義母への後悔LINE」。送るか迷ったときは少し時間を置いてからLINEしたほうがいいかも。「あんな...
2025-05-03 06:00 ライフスタイル
“会話下手”はそこがダメ! スナックママが指摘する「3:1」の法則とは?
 みなさんは自分のことを会話上手だと思いますか? スナックなどの水商売で最も大切なスキルがこの会話力なのですが、何をもっ...
理解不能!「外出キャンセル界隈」あるある。空腹は寝て解消、高級レストランよりカップ麺…ってウソでしょ
 お風呂に入るのが億劫になり、入浴を諦めてしまうクセがついている人を指す「風呂キャンセル界隈」。SNSを中心に話題になり...
なんて経済的! タフでお得な花々5選。おしゃれ植物「ラックス」はゴミ捨て場でも美しく咲く
 本日も猫店長「さぶ」率いる我がお花屋に隣接している「ほっぽらかしラボ」(売れ残った二軍、三軍の花鉢商品の置き場)をボー...
もう嫌!「節約疲れ」する前に…ストレスなく試せる5つの貯金方法
「毎日毎日節約のために出費を抑えた生活をしていて、全然楽しくない」と感じているそこのあなた! それは、節約疲れが出てきて...
ツー“にゃんたま”撮影に成功!さらに茶色のイケ猫が…♡ 可愛いアクシデントあるある
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
お客は昔の恋人か? 傲慢な一言に「じゃあ、あんたがやってみろよ」と反論するか問題
 踊り子として全国各地の舞台に立つ新井見枝香さんの“こじらせ”エッセーです。いつでも、いついつまでも何かしら悩みは尽きな...
酔っ払い同士のLINEに爆笑! きのこたけのこ論争から記憶喪失コンビまで恥ずかしっ…
 人はお酒を飲むと日頃心に秘めている本音が出てきますよね。酔っ払い同士のLINEをのぞいてみると、本音同士の面白い会話が...
商店街で「縄張り荒らし」騒動が勃発! ムキムキお兄さんを近隣おじさまと奪い合う…顛末はいかに
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
中年のニラが歯に挟まる問題。口内インフラも老朽化するのだ。治療は保険治療か、それとも自費か
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...