更新日:2025-07-11 11:45
投稿日:2025-07-11 11:45
月に一度の祈願を欠かさない
春香さんは、彼には内緒で月に一度、縁切り榎に通い続けている。
「私は普段、スピリチュアルなんて信じないんです。でも、もし叶わなかった時に『あの時もっとお願いしておけば』って後悔したくなくて…だから、できることは全部やりたいんです」
受験は来年の秋――娘が志望校に合格するまで、先生は動かないだろう。
春香さんは、月に一度の祈願を欠かさないと決めているという。
「どんなに優しい言葉をかけてくれても、家庭に戻る彼の姿を見ると、不安で仕方ないんです。だから私が動きました」
他人の不幸を願う自分の醜さ…でも、どうしても報われたい!
春香さんのように、神頼みで愛を手に入れようとする女性に呆れる人間も多いかもしれない。だが、理屈ではどうにもならないのが人の心だ。
人は理不尽だと知りながら恋に落ち、罪悪感をいだきながら手放せずにいる。その矛盾をどうにか整理したくて、時に神に祈り、形のない何かにすがろうとする。
縁切り榎の絵馬掛けに並ぶ無数の絵馬は、人が背負う「他人の不幸を願わずにはいられない自分」という醜さをも映している。しかし、同時に「どうしても報われたい」という叫びがあるのだろう。
春香さんの願いは、はたして叶うのだろうか。
彼女が望むのは、悦也先生の「妻との別れ」だけではないはずだ。
結婚して、堂々と病院の受付を通りぬけ、外科病棟に差し入れを届ける――あの日、奥様が見せた余裕の笑顔を、今度は自分のものにしたいのだ。
◇ ◇ ◇
恋は時に人を強くし、執念深くもする。
「縁切り榎に何度も足を運ぶなんて、バカみたいですよね」と笑いながら、春香さんは切なげに目を伏せた。
筆者は願う。せめて彼女の祈りが、彼女自身を裏切らない形で報われますように――。
ラブ 新着一覧
「冷酷と激情のあいだvol.225〜女性編〜」では、妻に隠れてセルフプレジャーに励む夫に嫌悪感と不快感をあらわにする由香...
男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
共通の知人の葬儀で再会した男性と不倫に発展した春美さん(34歳主婦/子供アリ)。お相手は、春美さんがOL時代にスナック...
幸せなひとときを過ごせる恋人とのデート。でも、ぶっちゃけお金がかかる(泣)。付き合いの長い彼氏や旦那さんとであれば、低...
48歳女性のS子です。士業に就いており独立していることもあって、20代30代は結婚に憧れることはありませんでした。
...
40代を超えると途端に気になるのが夫の加齢臭。寝室の枕や洋服などの臭い加齢臭対策に奮闘している妻も多いはず。今回は、妻...
季節はクリスマス。一緒に過ごすパートナーがいない人には少し寂しいシーズンです。
しかし、この時季を逆手にとって...
「旦那が白髪を染めないので困っている」と悩む妻は多いようです。確かに、時間とお金をかけて白髪を染めても、またすぐに白くな...
「不倫は絶対ダメ」と頭では分かっていても、つい心とカラダが揺れ動いてしまう瞬間ってありますよね。
今回はそんな“不倫...
彼氏や夫からのクリスマスプレゼントには「どんなものであっても嬉しい!」と言いたいところ。ですが、正直「え…これ⁉」とが...
忙しい男性と交際中の女性に、彼とのLINEを見せてもらいました。「彼からの連絡が少ない」と不安に駆られている女性は必見...
「冷酷と激情のあいだvol.224〜女性編〜」では、夜の生活にまつわる苦痛を理由に新婚4カ月目、すでに夫との離婚を考えて...
男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
【『私の夫と結婚して』あらすじ】
たった一人の親友と浮気をした夫。それでも足りず、2人は私を殺した――。理不尽な死を...
【『私の夫と結婚して』あらすじ】
たった一人の親友と夫の浮気が発覚! サレ妻となった美紗に不測の事態が容赦なく襲いか...
【『私の夫と結婚して』あらすじ】
余命わずかと宣告された主人公・美紗。母は家を出ていき、父は早くに他界。夫には入院費...