「俺を見捨てるのか!」DV男に脅された34歳女性、“報復”は成功したはずが…待っていた恐怖の日々

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2025-10-03 11:45
投稿日:2025-10-03 11:45

全てを暴露することに

「友人が働く探偵事務所に依頼して、奥様に暴露することにしました。『奥様はかなり気が強いようなので、罵詈雑言は覚悟して』って釘を刺してね…。

 そして、和樹さんを熱海旅行に誘ったんです。 彼は家族に『出張』と告げ、私と一緒に一泊二日の温泉旅行へ」

 そのすきを見計らって探偵が彼の自宅を訪れ、こう告げる段取りだった。

 ――ご主人は社員と不倫中。今まさに熱海にいます。

「一日目の夜、温泉に入って食事を終えた頃です。彼のスマホが鳴って…『アンタ、女と一緒なの?』って奥様の怒鳴り声が聞こえてきたんです。私が仕組んだとはいえ、背筋がゾッとしました。彼はしどろもどろで、一方的に通話を切っていましたが、私はおびえた表情で告げたんです。

『どうして奥様が旅行のことを知ってるの? もしかしてバラした?』って。彼は慌てて否定しましたけど、私は『怖いから帰ります』と一人で新幹線で帰りました」

 七海さんは、すでに人事部に「部下が辞めるのは、支店長の言動が原因では?」と異動希望を出していた。準備は万端だった。

「こじらせ報復」を選んだ理由

「探偵の費用は友人価格でも15万円。でもプロに任せたほうが安心ですから。奥様は『不倫女から慰謝料を取ってやる!』と息巻いたそうですが…私はホテルでのDVを動画と音声で残していました。

 最悪、それを出して『脅されて無理強いされた』って言えばいいだけ。あの夫婦には…もっともっと不幸になってほしい。ふふっ」

 七海さんの笑みは、氷のように冷たかった。

 確かにDV被害は気の毒でしかない。

 だが、一度は愛し合った相手に、さらに地獄を与える「こじらせ報復」を選ぶ七海さんに、筆者は背筋を冷たくした。

 その後、和樹さんはしばらく会社を休んだようだ。家庭では揉めに揉めたことが察せられる。

まさか復讐? 駅のホームで誰かが背中を…

 七海さんは続ける。

「私の異動は叶ったものの、ある出勤日に恐ろしいことが起きたんです。駅のホームで電車を待っていると、電車の到着と同時に、誰かが私の背中を思いきり押してきたんです」

 一瞬、視界がグラッと揺れ、足元の黄色い線が目の前に迫った。間一髪で足を踏ん張り、ホームへの転落は免れたが、両膝と腕には今も痛々しい打撲の跡が残っている。

 もし、あのままホームに落ちて轢かれていたら…そう思うだけで、背中に冷たい汗がにじむ。以来、七海さんは「常に誰かに見張られている」という感覚に苛まれる。

 脳裏に浮かぶ二文字はただひとつ。

 ――復讐。

 精神的不安におびえながら暮らす日々は、もはや因果応報なのだろうか。

蒼井凜花
記事一覧
官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
オフィシャルサイトYouTube

関連キーワード

ラブ 新着一覧


【漫画】「家には帰りたくない」クズ男との別れ…“魔王”と呼ばれるイケメンは何者?『できても、できなくても』#2
【『できても、できなくても』あらすじ】  「桃生翠さん…残念ですがあなたは不妊症です」――ブライダルチェックで発覚した...
「寄生虫としか思えない」47歳男性が“専業主婦 希望”を一蹴。更年期の妻を受け入れない複雑事情
「冷酷と激情のあいだvol.267〜女性編〜」では、仕事への活力が下がり、退職して専業主婦になりたい夏菜子さん(仮名)の...
並木まき 2025-10-11 11:45 ラブ
専業主婦になりたいのに…貯金ナシの44歳妻、夫が意地悪すぎると嘆き「結婚の“特権”ですよね?」
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2025-10-11 11:45 ラブ
【漫画】「あなたは不妊症です」婚約者も仕事も失って…私は女として“失格”なの?『できても、できなくても』#1
【『できても、できなくても』あらすじ】  「桃生翠さん…残念ですがあなたは不妊症です」――ブライダルチェックで発覚した...
順風満帆だった45歳 経営者の転落。美人CAから若い女に乗り換えるはずが…地獄の「三者面談」の顛末
 世の中、不倫の話題で持ちきりだ。2024年に実施された調査によると、既婚男性の約2人に1人、既婚女性の約3人に1人が婚...
蒼井凜花 2025-10-10 11:45 ラブ
閉経前にもう一度…“癒し”を求める50代女性「ただ話を聞いてもらいたい」男性を求める切実な理由
 ドラマやネットなどで「女性用風俗」が取り上げられることが増え、一般の女性たちにもその名が浸透してきました。  ア...
内藤みか 2025-10-10 11:45 ラブ
「恋愛は効率か、それとも不要か?」タイパ世代に広がる新しい恋愛観。20代で結婚相談所に登録も
「最近のJ-POPは、前奏が短すぎて歌いにくい」カラオケでそう感じたことはありませんか?  我々、40代が青春時代...
男の「私たち付き合ってるよね?」への本音。告白はなくても“彼女認定”されるきっかけ
「彼からの告白はないけど私たちって付き合ってるのかな?」と、曖昧な関係性に不安を抱えている女性もいるでしょう。  ...
恋バナ調査隊 2025-10-08 08:00 ラブ
早く帰りたい…! 初デートで使える“テッパン話題”とさっさと“切り上げる”コツ。やさしいウソで後腐れなく解散♡
 マッチングアプリ内でやり取りを重ねていても、いざ初デートの日程が決まると「会話で失敗したくない」「話が弾まなかったらど...
恋バナ調査隊 2025-10-08 08:00 ラブ
絶対言えない! 夫婦が隠してる“秘密”を大暴露6連発。裏アカ妻はSNSで夜ごと発散を…
 ひとりの大人として生きていれば「他人には知られたくない秘密」が出てくるのは自然なこと。「自分のすべてをさらけ出せる」な...
恋バナ調査隊 2025-10-07 08:00 ラブ
それで別れる!? ドラマの感想で大ゲンカ→まさかの破局…恋が終わった“マジでくだらない理由”5選
 彼氏とケンカしたあと「なんであんなしょーもないケンカしたんだろう」と反省することもあるはず。そんな“くだらない原因”で...
恋バナ調査隊 2025-10-07 08:00 ラブ
なんでそうなるの!? 夫婦の“温度差”あるある6選。早く寝たい派vsいちゃつきたい派の終わらない攻防
 結婚して一緒に暮らすようになると、些細なことに「え、なんでそうなるの?」と驚く場面が増えるものです。恋人時代には気づか...
恋バナ調査隊 2025-10-06 08:00 ラブ
「無職の彼氏」最高じゃん! 私たち、お金で買えない“幸せ”を手にいれました♡ 8人の意外な告白
「無職の彼氏」というと一般的にはネガティブなイメージがありますが、中にはそれでも幸せに過ごしている人もいます。今回は彼氏...
恋バナ調査隊 2025-11-02 09:47 ラブ
「彼女もふてぶてしい」夫が明かす、義母が妻を嫌う“仕方のない”理由。再婚夫の身勝手な責任論
「冷酷と激情のあいだvol.266〜女性編〜」では、近居の義母から夫の元妻と比較され、文句を言われ続ける奈々美さん(仮名...
並木まき 2025-10-04 11:45 ラブ
「君が出ていけば?」に絶句…前妻と比べられる45歳新妻の苦悩。地主の息子と離婚か、それとも我慢か
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2025-10-04 11:45 ラブ
「勝手に不安になられてもw」でブロック確定! 女が別れを決意したLINE3選。愛する彼女にそれ言うか?
 いくら相手のことが好きでも、不満や不安が我慢の限界を迎えたとき、別れを決意する人が多いようです。恋人と別れたくないので...
恋バナ調査隊 2025-10-04 08:00 ラブ