現地特派員が配置されていない国で世界規模の事件が起きたらどうするのですか?
【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】
そうなんです。じつは最近ずっとそんな状況が続いています。いま大きな海外ニュースといえば、なんと言ってもウクライナの戦争とパレスチナ問題だと思いますが、どちらも日本のテレビ局がふつう特派員を配置していない国なんですよね。でも、毎日のようにニュースになるわけですから、誰も特派員がいないのも困ったものです。ということで、どこかの海外支局から交代で特派員が現地に行って取材をしているのが現状だと思います。
そもそも特派員って不思議なお仕事です。世界のあちこちに海外支局があるんですが、ぶっちゃけ「毎日のように仕事をしなきゃいけない超多忙な支局」と「ほとんど日本で注目を集めるようなニュースが起きない支局」に大きく二分されるんです。
前者の代表格が、いまならワシントン・ニューヨーク・ロサンゼルスといった米国にある支局でしょうね。いまニュースに「トランプ大統領」と「大谷翔平選手」が出てこない日は「ない」と断言していいくらいですから、そうなると毎日のように在米支局が取材と中継をしないとニュースは回りません。取材のほうは、アメリカの放送局の素材を購入するという手もありますが、中継はぶっちゃけ「地獄のように大変」です。なにせ時差がヤバい。ほぼ「真逆」ですから、夕方や夜のニュースに中継しようとすると、ワケのわからない深夜から早朝に働かなきゃならないですもんね。あと、それほどではありませんが、アジアの北京とかソウルなんかもいま毎日のようにニュースの出稿があり、大変な支局だと思います。
■バンコク支局は世界で一番広いエリアをカバーする?
逆に「ほとんど日本で注目を集めるニュースが起きない支局」というと、代表格がバンコク・パリ・ロンドン・カイロじゃないでしょうか。どこも重要な都市だといえばそうなんですが、それほど日本で毎日ニュースになっている? かというとそんなことはなさそうです。「あんまりニュースがないなら特派員がいる必要がないのでは?」と思われそうですが、じつはこれらの支局にいる特派員って、暇じゃないどころかめちゃめちゃハードワークだったりします。
じつはバンコク・パリ・ロンドン・カイロにだいたい各局が支局を置いている理由は、「交通の便がいいから」なんですよね。近隣の諸国に取材に行くのに便利なんです。だからこれらの支局の特派員は、ほぼ「その国」にはいません。ずっと「いまホットな近隣諸国」にいるわけですよ。「ウクライナ」とか「パレスチナ」「イスラエル」あたりにいま行っているのはだいたい各局パリ・ロンドン・カイロあたりの特派員だと思います。あとモスクワですね。
そしてバンコク支局は「世界で最も広いエリアをカバーする支局」である場合が多いです。東南アジア・オセアニアはもちろん東アジアくらいから中東くらいまで。何かあればどこまでも飛んでいくイメージですね。いや、ホント海外特派員って大変なんです。お疲れさまです。
(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)
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