オダギリジョー「納得した仕事しか受けない」というこだわり。芸術家から犬の役まで!? “個性爆発”する作品5選

zash
更新日:2025-11-04 11:45
投稿日:2025-11-04 11:45

ぶっとんだ役に驚愕!『オリバーな犬、(GOSH!!)このヤロウ』

 オダギリさんと言えば、監督や脚本家としての才能もピカイチなことで知られています。その魅力が大爆発している作品は、やはり『オリバーな犬、(GOSH!!)このヤロウ』でしょう。本作は、オダギリさんが監督・脚本・演出・編集・出演の一人5役を務める、まさに‘‘オダギリジョー劇場''。

 鑑識課警察犬係に所属する青葉一平(池松壮亮)とその相棒・オリバー(オダギリジョー)の姿をコミカルに描いた脱力系警察ドラマです。正直、ここまでぶっ飛んだ作品をNHKは放送してくれるのかと驚いたことを憶えています。

 それが2022年にはシーズン2が放送され、さらに2025年には映画版となって劇場公開されるという大ヒットを記録。オダギリさんは、ハンドラーにだけおっさんに見える警察犬のオリバー役として、水を得た魚のようなコメディ演技を披露。

 やる気を感じさせない絶妙なセリフ回しだけでなく、着ぐるみを着て軽快に動き回る姿や警察犬の感情を体現した表情も大きな見どころとなっており、これこそまさにオダギリさんが俳優としてやりたかった境地なのだろうなと思わされる次第。

『時効警察』時代に培ったであろう、面白いものを面白く見せようとする演出も冴えており、オダギリさんのキャリア史上もっとも個性が爆発した作品になっています。

長編映画監督デビュー作『ある船頭の話』(2019)

 オダギリジョー監督作品の中には、オダギリさん自身が俳優として出演していない作品も存在します。とりわけ特筆すべきは、やはり2019年の『ある船頭の話』でしょう。

 本作は、渡し船の船頭であるトイチ(柄本明)と少女の交流をメインに映し出しており、『オリバーな犬』とは正反対の人間ドラマなのです。

 とある山間の村に流れる川の景色を切り取り、そこで繰り広げられる人間ドラマを静かに描き切る。日本映画というよりもヨーロッパのミニシアター系の映画を彷彿させる雰囲気を醸し出します。

 語り部となる年老いた船頭の行動を通して、観客に「人間とは何か?」と問いかけてくる様には、オダギリさんが敬愛するアメリカの映画監督ジム・ジャームッシュからの影響が強いように感じます。

 名優・柄本明の哀愁漂う名演を引き出したオダギリさんの演出力も光り、もはや本作が監督デビュー作であるということを忘れてしまうほど。

 もともと映画監督を夢見て、アメリカへと渡り、願書の記載ミスからいつしか俳優を志すようになったオダギリさん。幼き日から憧れ続けてきた映画監督としての感性にも素晴らしいものがありますね。

独特な存在感を放ち続ける

 俳優としても、監督としても独特な存在感を放ち続ける、オダギリジョーさん。約25年前のデビューから一貫して独自のルートを歩み続けている印象があり、このまま歩み続けたら、一体どんな場所に行きつくのか楽しみは尽きません。

 俳優と監督の二刀流で、これからもその才能を爆発させてほしいものです。

子どもの頃から培ってきた映画、海外ドラマ、特撮、アニメの知識を活かして活動中。各媒体でコラム、取材レポート、インタビュー記事を執筆する他、雑誌やマスコミ用リリースへの寄稿も行っている。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


自民党総裁選“YouTube討論会“に参戦したひろゆきはオワコンなのか
 自民党総裁選は、高市早苗氏(64)の勝利という結果になったが、ネット界のご意見番のひろゆき(48)が27日、自民党総裁...
2025-10-06 17:03 エンタメ
囁かれていた「Aぇ!group」は「ヤベぇ!group」の悪評判…草間リチャード敬太が公然わいせつ容疑で逮捕の衝撃
 STARTO ENTERTAINMENT(スタート・エンターテイメント)のアイドルグループ「Aぇ!group」の草間リ...
2025-10-06 17:03 エンタメ
平野紫耀らの「脱退発表」から約3年…Number_iとKing&Prince、それぞれの現在地と課題。“二大天然ボケ”不在の影響はあるか?
 2022年11月、King & Prince(以下、キンプリ)から2023年5月をもって平野紫耀(28)、神宮寺勇太(...
こじらぶ 2025-10-05 11:45 エンタメ
「ばけばけ」は“聖地巡礼”したくなる朝ドラの予感。実際にある島根県・八重垣神社の“恋占い”してみたい!
 明治19年。トキ(髙石あかり)は、借金を返すために親戚の雨清水傳(堤真一)が経営する機織り工場で働いていた。しかし、膨...
桧山珠美 2025-10-04 10:42 エンタメ
「あんぱん」アンパンマンは粒あんか、こしあんか…“お遊び”が楽しかった特別編。蘭子の“その後”はモヤモヤだけど
「あんぱん」が終了したと思ったら、早くも翌週の9月29日(月)~10月2日(木)の四夜連続で、スピンオフが放送されました...
桧山珠美 2025-10-04 08:00 エンタメ
「ばけばけ」しめこ汁に“朝から残酷”の声もあるけど…ピーターラビットの話を思い出す
 突如、トキ(福地美晴)やフミ(池脇千鶴)、勘右衛門(小日向文世)の前から姿を消した司之介(岡部たかし)。何日経っても家...
桧山珠美 2025-10-02 15:48 エンタメ
「ばけばけ」は往年の名作を越えられるか? 「虎に翼」から続く岡部たかしの“父親”像が楽しみだ
 この世はうらめしい。けど、すばらしい。没落士族の娘・松野トキ(髙石あかり)と外国人の夫・ヘブン(トミー・バストウ)。怪...
桧山珠美 2025-09-29 17:50 エンタメ
「あんぱん」最終回。半年間、2人を見守ってきた視聴者にはグッとくる場面…ま、終わりよければすべてよし!
 のぶ(今田美桜)の病室に着いた嵩(北村匠海)は、にっこり笑うのぶの姿に胸がいっぱいになる。その後退院したのぶは、嵩に自...
桧山珠美 2025-09-27 15:10 エンタメ
timeleszの演出に賛否…中島健人ら初期メンバーの歌声に込められた真意。“8人体制”はどう継承していく?
 9月15日、timeleszがファンミーティング「timelesz SUPER FAMeeting~また夏が終わってい...
こじらぶ 2025-09-27 11:45 エンタメ
「あんぱん」八木(妻夫木聡)のプロポーズにキュン! 蘭子(河合優実)のモデルがあの作家なら…無事を祈る
 2年がかりで完成したテレビアニメ「それいけ!アンパンマン」が放送され、のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)をはじめ、それぞ...
桧山珠美 2025-09-27 12:28 エンタメ
スキャンダル無縁!鈴木亮平が初期に演じた「クセ強キャラ」 4選。もっと評価されるべき“異彩を放った”役も
 現在公開中の『劇場版 TOKYO MER ~走る緊急救命室~ 南海ミッション』ではチーフドクターの喜多見幸太役を演じて...
zash 2025-09-25 11:45 エンタメ
「あんぱん」アンパンマンマーチの歌詞に込めた思い。千尋(中沢元紀)や寛先生(竹野内豊)の写真にホロリ…
 ある日、アンパンマンをテレビアニメ化したいとテレビプロデューサーの武山(前原滉)が訪ねてくる。だが嵩(北村匠海)は、ア...
桧山珠美 2025-09-25 15:44 エンタメ
【芸能クイズ】「畑芽育」を正しく読める? 他にもいる、実は“常用漢字外”の読み方をする芸能人は誰?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...
「あんぱん」石橋蓮司の“なりきりアンパンマン”が見れるとは! 登美子(松嶋菜々子)は毒親返上か
 のぶ(今田美桜)が撮ったミュージカルの写真を見ていた嵩(北村匠海)は、こっそり来ていた登美子(松嶋菜々子)が写った写真...
桧山珠美 2025-09-22 16:22 エンタメ
「あんぱん」嵩とヤムさんの再会にグッときた。でも顔をよく見たら…気になった“余計な”こと
 客席はたくさんの子どもたちで埋まり、その様子をカメラに収めるのぶ(今田美桜)。ミュージカルが終了すると、会場は大きな拍...
桧山珠美 2025-09-20 11:47 エンタメ
「あんぱん」のぶの“お手柄”総決算の回。ヤムさん(阿部サダヲ)と蘭子(河合優実)の繋がりは“前世”からの縁なのか?
 のぶ(今田美桜)は草吉(阿部サダヲ)にあんぱんを焼いてほしいと頭を下げるが、断られてしまう。蘭子(河合優実)からこのま...
桧山珠美 2025-09-18 17:16 エンタメ