NSC格安講師 NON STYLE石田の道端から始めた漫才への愛情

更新日:2025-11-23 17:03
投稿日:2025-11-23 17:00

【今週グサッときた名言珍言】

「(1カ月)2時間が7コマ。で、9万!」
(石田明/フジテレビ系「さんまのお笑い向上委員会」11月8日放送)

  ◇  ◇  ◇

 2008年の「M-1グランプリ」(テレビ朝日系)王者にして、いまでは審査員も務めるNON STYLE・石田明(45)。お笑い界屈指の理論派だ。そんな彼は現在、吉本興業の養成所NSCで講師も務めている。その驚きの報酬を明かした一言が今週の言葉だ。

 そのあまりの安さに周りの芸人から「嘘?」という声が上がり、せめてキリよく10万円にしてもらえと言われると「もともと8万やった。もうちょっとあげてくれって言ったら9万になった」と補足し、笑わせた。ちょうどその場にいたナイツ・塙が、所属先のマセキ芸能社の学校では1回で同額の9万円だと明かしたため、その格安っぷりがあらわになった。

 石田がNSCの講師に加わったのは、21年に行われた「NSC大改革」のときだった。吉本は外部のアドバイザーから「NSCはどの学校でもやっていることをこの学校だけやっていない」と指摘されたという(日本テレビ系「しゃべくり007」22年3月28日)。それは生徒に「教えてない」こと。それを聞いた吉本の当時の社長は「盲点やった」と石田らに講師を頼んだ。

 石田は社長から「NSCを学校法人にしたいから、NSCを変えてくれ」と懇願された。石田は講師を引き受ける上で、「発想」に優れた笑い飯・哲夫と「構造」に優れたパンクブーブー・佐藤哲夫も講師にすることを要請し、08~10年のM-1王者揃い踏みという、かつてない豪華講師陣となった。

 石田は「見せ方」に重点を置いた授業をしている。「面白いことをやっている人はめちゃくちゃいる。面白いことをやっているだけで伝えてない、伝えきれていない人が多い」(テレビ朝日系「証言バラエティ アンタウォッチマン!」22年12月20日)と。NON STYLEはどれだけ弱いボケを強いボケに見せるかしか考えていないと石田は言う。演じ分けや目線の向け方などを実演を交えて教えていく。サンドウィッチマン・伊達はその授業のごく一部だけでも「1万円の価値あるよ!」(同前)と驚いていた。

 石田は漫才についてこう語っている。

「めちゃくちゃ漫才を安く見れる世界にしたい。なんか、崇高なものになっていってて、それが嫌やねんな。もっと漫才って身近なもんな気がする。俺ら道端でスタートしてるから」(朝日放送「やすとものいたって真剣です」24年2月8日)

 石田はストリート漫才からキャリアをスタートさせ、王者にまでなった男。格安でも講師を務めるのは、漫才に対する愛情に他ならない。

(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)

エンタメ 新着一覧


田中麗奈、45歳。心も体も変化するなか、ずっと変わらない“芝居”への気持ち
 多くの人の心をつかんだ「なっちゃん」のCMの初代キャラクターに始まり、映画『がんばっていきまっしょい』『はつ恋』、近年...
望月ふみ 2025-08-24 11:45 エンタメ
『あんぱん』のぶ、山に登って「ボケー!」は“征服欲”の成せる業か? アンパンマンの原型がついに爆誕
 のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)の別居生活が続く中、登美子(松嶋菜々子)から嵩の名前の由来を聞いたのぶは、ひとり山へ向...
桧山珠美 2025-08-28 15:04 エンタメ
ラウール、22歳の色気が破壊級!「愛の、がっこう」は“代表作”になると断言してもいい
 夏ドラマも中盤にさしかかりました。そのなかでも回を重ねるごとに盛り上がっているのが、木曜劇場「愛の、がっこう」(フジテ...
【芸能クイズ】松本人志が福山雅治と「HEY!HEY!HEY!」で作った“オリジナル料理”の名前は?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...
「あんぱん」羽多子らの“あの言葉”にあんぐり…のぶも感動してる場合か。落語家の年齢も気になる
 嵩(北村匠海)は「まんが教室」という番組に出演してほしいという健太郎(高橋文哉)の頼みをしぶしぶ承諾する。そして第1回...
桧山珠美 2025-08-28 15:06 エンタメ
「あんぱん」のぶ、議員のコネ入社なのに“クビ”の謎。急成長したアキラ君と老けないオトナ達に酔いそう…
 嵩(北村匠海)が書いた詞にたくや(大森元貴)がメロディーをつけて生まれた「手のひらを太陽に」は、「みんなのうた」でも紹...
桧山珠美 2025-08-28 15:06 エンタメ
スキャンダル続出の花田優一、美女にモテまくるのは何故? 不誠実男に学ぶ「悪名は無名に勝る」メリット
 元横綱・貴乃花光司と元フジテレビアナ・花田景子を両親に持つ“親の十四光り”の花田優一。  現在、元テレビ東京アナ...
堺屋大地 2025-08-17 11:45 エンタメ
「あんぱん」八木(妻夫木聡)と蘭子(河合優実)、“何か”が始まっちゃう? 嵩は作詞能力をいつ見抜かれたのか
 舞台公演は成功裏に幕を閉じる。数日後、なぜかぼんやりした様子の嵩(北村匠海)。そこに、また一緒に楽しい仕事をしようとた...
桧山珠美 2025-09-04 12:26 エンタメ
カズレーザー、山里亮太…芸人はなぜモテる? 業界人が分析する「メロい」現象が起こりやすい納得の理由
 カズレーザーさんと女優の二階堂ふみさんが結婚した。週刊誌にも撮られなかったどころか、噂すらなかったので世間はびっくり&...
帽子田 2025-08-15 11:45 エンタメ
島崎遥香31歳、40代を迎えても「幸せの更新」方法は変わらない。カテゴライズせず“ぱるる”として生きていく
 昨年、初めての著書『ぱるるのおひとりさま論』(大和書房)を出版するなど、このところ「ひとりが好き」「結婚願望はナシ」と...
望月ふみ 2025-08-14 11:45 エンタメ
ドラマ『しあわせな結婚』の奇妙な違和感。松たか子らの“ちぐはぐさ”は計算どおりなのか?
『光る君へ』『ふたりっ子』『大恋愛』などで知られるベテラン脚本家・大石静さんの完全オリジナル作品として、夏ドラマの中でも...
「あんぱん」六原永輔=永六輔の“言葉”に違和感が…。いせたくや(大森元貴)らの記憶力も凄すぎる
 のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)は互いに隠していたことを打ち明け、新たに前を向く。それから7年の歳月が流れ――、未だ漫...
桧山珠美 2025-08-13 18:06 エンタメ
【芸能クイズ】ヒントは有名コンビ!「佐藤嘉彦・粋子」が本名な芸人は誰でしょう?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...
空前のオカルトブーム! 大人も楽しめる「夏のホラーアニメ」3選。平成の“トラウマ級”作品が令和にリメイク
 近年、小説や映画を中心に巻き起こっているホラーブーム。Web記事から単行本化された小説を原作とし大ヒット映画となった「...
ヒカキンは本当に“聖人”だったのか? 炎上騒動で見えたトップYouTuberの人間くささ
 日本を代表するYouTuber・HIKAKIN(以下、ヒカキン)が、パクリ動画を公開したことで炎上しました。  ...
堺屋大地 2025-08-14 10:37 エンタメ
「あんぱん」のぶの不器用設定はどこへ? ボツ原稿を持ち歩く嵩…まだまだあるクエスチョン
 独立した嵩(北村匠海)は独創漫画派という集団に所属し、そこで割り振られた仕事をこなしていた。だが、決して順調とは言えな...
桧山珠美 2025-08-11 17:03 エンタメ