新恋人がタバコの火を…!バツ2のアラフォー地下アイドルの悲鳴 #3

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2023-05-05 09:43
投稿日:2023-04-28 06:00
42歳で地下アイドルやってます(写真:iStock)
42歳で地下アイドルやってます (写真:iStock)

 17歳でアイドルデビューし、現在も地下アイドルとして活躍中のR美さん(43歳/バツ2独身・子供アリ)。艶やかなロングヘアにキュートな顔立ち、スリムな体型はとても40代で2人の息子を持つ母には見えない美しさだ。

 だが、彼女の半生には「男運の悪さ」が付きまとっていた。DV男、アル中男、浮気男――元カレはそろってダメンズばかり。

 しかし40代になった今、R美さんは年下の男性と恋に落ちている。相手は、地下アイドルのライブを開催しているライブハウスの店長Jさん(35歳/独身)だ。

 コロナの影響で、定期的にライブを行っていたライブハウスが潰れてしまい、困惑したタイミングでの出会いだったという。

 前回に引き続き、R美さんの芸能活動や男性遍歴を簡単にお伝えしたい。

激動の20代…離婚後は高級クラブのホステスに

17歳でアイドルデビュー(写真:iStock)
17歳でアイドルデビュー (写真:iStock)

 17歳の時に某人気アイドルグループの「追加オーディション」に合格したR美さんは、高校を退学し、アイドルの道を歩み始める。

 しかし、9歳年上のバンドマンと恋に落ち、妊娠。21歳の時に「体調不良で活動休止」との名目でグループを抜け、22歳で男の子を出産した。

 最初こそ幸せの絶頂にいた彼女だが、可愛い息子と優しい夫との生活は長くは続かなかった。出産後に分かったことだが、夫はアイドルを妊娠させたことで業界から干され、ミュージシャンとしての大きなチャンスを失ってしまったのだ。

 酒浸りになる夫と離婚したのは、息子が生後10カ月の時だ。R美さんは実母の住む品川の実家に身を寄せ、24歳から六本木の高級クラブでホステスとして働き始める。「5時間勤務で日給3万円」はシングルマザーとしてありがたい金額だった。

 ホステス業は初めてだが、もともとお酒が好きなR美さんは、徐々にクラブで指名客を増やしていく。「人気アイドルグループの元アイドル」という肩書きも大いに役立った。

「担当」の黒服と恋に落ちたきっかけ

指導熱心だった(写真:iStock)
指導熱心だった (写真:iStock)

 その裏には、ホステスの仕事やプライベートの悩みを相談できる黒服Nさん(当時26歳/独身)の存在が大きかった。クラブではホステスを公私ともに支えてくれる「担当」がつくのだが、R美さんの担当がNさんだった。

 長身で野性味ある顔立ちの彼は、R美さんが所属するアイドルグループのファンだったという。ただ、公私混同せず、仕事中は厳しく、的確な指導をしてくれる。R美さんが気を抜いて仕事をしていると、「R美ちゃん、あんなだらけた接客じゃお客様に失礼だよ」という苦言とともに、リピート客から指名が入れば「R美ちゃん、その調子」と褒めることも忘れない。

 元ホストだったNさんは、接客に関してはプロで、R美さんへの指導へも熱心だった。

 そんな彼に、いつしかR美さんは惹かれていく。2人の距離が一気に縮まったのは、ある事件がきっかけだ。同伴中、酒に酔ったR美さんは、出勤時刻を1時間も遅刻してしまう。閉店後、先輩ホステスに「プロ失格よ!」と叱責された時、更衣室で一人泣いてしまったのだ。

――R美ちゃん、着替えが済んだら少し話さない? 悩みでも、文句でも、言いたいことは何でも言っていいから、話を聞くよ。スタッフもホステスも帰ったから大丈夫。

 穏やかな声だった。入店時には新鮮だったホステスの仕事だが、同伴ノルマや指名ノルマが増え、日々、お客様をもてなす業務に疲弊し始めていた。リピート客を狙って無理やり笑顔を作り、派手なリアクションで場を盛りあげる。全ては生活のため。そして息子を育てるため――。

(本当の私を晒せるのはどこなの……?)

 そう思っていたところにかけられた優しい言葉だった。更衣室を出たR美さんは思わず、彼の胸に飛び込んでしまう。

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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